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報告:過労死110番プレシンポジウム「若者を守れ!」
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映し出された嬉しそうな笑顔は、たった6ヶ月間に200時間を超える長時間労働の末に自ら断たれた根崎慎介さんの弟だった。気象予報士になるという彼の夢は、ウェザーニュースに入社後6ヶ月にして消え、家族にもその笑顔を見せることなく命を絶った、と根崎さんは話した。2008年のことだった。

根崎さんは、6月13日大阪市内で開催された「若者を守れ!『勝ち組』さえもうつに追い込む労務管理の新たな手口」と題された「過労死110番」のプレシンポジウムで発言した(写真)。時に200時間を超える弟の長時間労働時間や、会社からの叱責、職務達成へのストレスなどが原因で、若くして亡くなった弟のような被害者を出してはいけないと、集会で呼びかけた。集会を主催したNPO法人POSSEでは、20代から30代の労働相談を主に受け、その数は、1月から5月の間だけで192件に及ぶという。

「大学新卒までの20年間、社会が投資した人材は、入社からほんの半年ほどで使い果たされている現状となり、その結果、生産性の低い社会を生み出している」とPOSSE事務局長の川村遼平さんは、参加者83名に呼びかけた。

集会で講演した昭和女子大学教授木下武男さんは、1980年代に多く見られた中間管理職や開発部での過労死が、現在では若い層へと移行していることに警鐘を鳴らした。木下さんは、企業の新しい手段として、大量採用大量解雇を紹介。新卒採用のあと、社内研修などによって過酷な労働に耐えられる人材をふるいにかけ、そこからあぶれた人を大量解雇する会社が増えてきたと話した。

働く者にとって労働時間は一番重要だが、この権利を主張することができない若者が多く、「今ほど若者が弱い立場に置かれている時代はない」と指摘した。その背景として、POSSEの川村さんは、若者の権利意識が薄いことを理由にしているが、これは長引く就職活動の中で、人格評価され続け、雇用にこぎつけるには自分を否定しなければならない風潮があるからだと話した。

米国や英国では、100年以上も前に8時間労働原則を要求した労働運動があった。しかし日本ではこれまでに一度も起こっていない。今では国際用語になってしまった「Karoshi」をなくすには、この基本を守り抜くこと、そして過労死を一度ならず二度も出した企業はつぶしていくくらいの勢いで労働組合、労働者と市民がひとつになって運動を推し進めていくべきだ、と木下さんは訴えた。 また、大阪では過労死事件のあった企業名を公表する裁判も高裁で闘われており、今後も広い連帯をもって過労死防止基本法の制定を求めていく動きへの支援と協力も呼び掛けられた。

「過労死110番」は6月16日10時から15時まで。電話番号は06−6312−0077。(松元ちえ)


Created by staff01. Last modified on 2012-06-14 07:18:57 Copyright: Default

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