映画『渋谷ブランニューデイズ』〜野宿者問題の真実が見えてくる | |||||||
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現在、渋谷アップリンクで公開中のドキュメンタリー映画『渋谷ブランニューデイズ』を観た。映画の主人公は、東京・渋谷区役所の地下駐車場で野宿を続ける宮沢徹雄さん(写真・52歳)。普通の日本人として仕事にも生活にも困らずにいた彼が、事故をきっかけにケガをしたことから、仕事を失い、家まで失ってしまう。最終的にたどりついたのが「ホームレス」だった。いまの日本でだれもが待ち受ける「運命」を示している。 映画は、かれの生き方にとどまらず、野宿者を取り巻く社会と歴史を描いている。それを描けたのは、監督の遠藤大輔さんが、20年近く野宿者問題を追い続けた結果だった。新宿都庁前ホームレス強制排除事件・年越し派遣村・宮下公園排除事件など、私も現場に立ち会ったシーンが多く出てきて、なつかしい。と同時に、最近の堅川河川敷問題をはじめ、この間、東京で起きたこうした事件がひとつながりとして見えてきた。 キーワードは「再開発」である。現在の野宿者が、1960年代の高度成長時代の日雇い建設労働者であり、年老いた彼らは、いままた「再開発」のもとに野宿さえ脅かされている。映画館に向かう途中にある宮下公園は、すでに緑豊かな過去の面影はなく、コンクリートむき出しの無味乾燥な姿を呈していた。東京スカイツリーを始め、渋谷駅再開発など、すでに開発された街をまたひっくり返して「金儲け」を企む資本。そんななかで、踏みつけられながらも、しぶとく闘いつづけ、渋谷区役所の嫌がらせを何度もはね返す。 支援者が区役所職員にこう諭す。「被災地で困っている人には絆と言って応援しているのに、なぜ目の前で困っている人には手を差しのべないのですか」。映画では、野宿者の日常生活、炊き出しの実際、空き缶拾いなどの仕事、仲間との交流などが丁寧に描かれている。「怠けもの、汚いもの」扱いにしかされていない今の社会の中で、かれらに寄り添い続け、問題解決に尽力する支援(共闘)者の存在に希望を感じた。(松原明) Created by staff01. Last modified on 2012-05-03 11:39:55 Copyright: Default |