新自由主義に対する若者の反発〜韓国で「市民革命」進行中 | |||||||
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安田(ゆ)です。
レイバーネットのサイトにもチャムセサンの翻訳記事を大量にばらまいていま すが、韓国の「市民」が爆発しています。これは確実に韓国の歴史に残る大事 件なので、ちょっと分量は多いですけどできるだけ訳出して掲載していきます。 ぜひウォッチしてください。 発端は、新しい李明博大統領が強引に導入を進めている新自由主義的な政策に 対する反発です。 先日は5万人集まったといって驚いていたら、10万人、そして20万人と、ソウ ル中心部に集まる「市民」が急増しています。「労働者」でも「貧民」でもな い「市民」。 今も中継を見ながらこれを書いていますが、光化門前の交差点が完全に解放区 になっていて、広い道路を占拠して思い思いに楽しんでいます。 警察のカマボコバスにロープをかけて引っ張ってみたり、機動隊と対峙したり、 歌を歌ったり、丸く座り込んで仲間どうし話をしたり。 インターネット放送の記者が、あちこち移動しながら中継しているのですが、 とても臨場感があっていい感じ。下手なスポーツ中継なんかより、よっぽど面 白い…と言ったら不謹慎? ときどき、いいところで中継が切れてしまうのが 残念です。 ここまで人数が増えると、警察も簡単には手が出せません。というか、先日、 下手な鎮圧で余計事態を大きくしてしまったので、いまは市民たちを興奮させ ないように、路地を塞いで「青瓦台乱入」さえ防げればいい、という雰囲気で す。夜明けまで持ちこたえて、人が少なくなる朝方に、なんとか解散させると いう感じです。72時間リレーデモ最終日の今日は、今から朝方にかけての攻防 が見ものです。 既成の労働組合や社会運動は、この勢いに遅れまいとしてついていくのが精一 杯です。むしろとまどっています。あの民主労総も、どうしたらいいのかわか らないといった雰囲気。いや、そもそも民主労総の動員なんて、ここにいる誰 からも期待されていないのです。 日本で言えば、「2ちゃんねる」あたりに巣食っている連中が街に出てきたよ うなもので、この大群は与野を問わず政治はもちろん、既成の労働組合や社会 運動にも期待していない人々です。指導者もなく、ただ「BSE牛肉を入れるな」、 「李明博退陣」で集まっています。 従来の組織論から言えば、こういうバラバラの烏合の衆が集まって何ができる んだ、ということになりますが、あの民主労総がいくら頑張ってもビクともし なかった韓国の新自由主義政権が、「2ちゃんねらー」みたいな烏合の衆の前 で脅えきっています。 何しろ指導者がいないので、この動きを弾圧したくても、誰を弾圧すればいい のかわからない。片っ端から弾圧すると、それが怒りを呼んで逆に事態が悪化 する。かといって、放っておけば、政権を揺るがしかねない。すでに相当、揺 らいでいますが。 しかし、中継を見ていると、「烏合の衆」とはいっても単なる群衆、暴徒では ないのがすごい。指揮者がいないのに、機動隊相手に押したり引いたり、まる で集団がひとつの心を持っているかのように柔軟に動いています。みんなが興 奮して危険になると「落ち着け、落ち着け」という掛け声が沸き上がって、余 計な衝突を避けています。警察が暴力的な行動に出ると「非暴力、非暴力」の 掛け声で牽制します。当然、無用な破壊行為なんかはありませんし、機動隊が 襲ってこなければ衝突することもありません。インターネット中継のカメラが どこにあるかわかりませんから、変な暴発は自滅に直結することをよく知って いるからかもしれません。しかし、押すときは押す。 韓国の若い人たちは、しばらく前の米軍が女学生を装甲車でひき殺したことで はじまったキャンドルデモをはじめ、何度もこうした路上の直接行動を体験し ているからでしょうか、みごとな動きです。ぼくが思うに、これは韓国の「徴 兵制」のおかげで、彼らの多くが鎮圧する側の訓練を受けているので、それが 臨機応変な判断が必要な局面でプラスに働いているんじゃないかと…。 この事件の評価は今後の成り行きを見なきゃいけませんが、これだけ明確かつ 強力な市民の意思表示があったからには、少なくとも政権は無傷ではいられな いでしょうし、今後の政策遂行への影響も小さくないでしょう。同時に、何の 力にもならず、市民から無視されまくっている韓国の労働運動をはじめとする 既存の社会運動や野党に与える衝撃も相当なものでしょう。 日本では小泉改革とやらにすっかり丸め込まれてしまった若者たちですが、今 回の韓国のような新自由主義政策に対する若者の反発は、すでにフランスなど でも表れている世界的な現象。もはや労組のオヤジ連中に何ができるってもの でもありませんが、こういう感覚は磨いておきたいもんです。 Created by staff01. Last modified on 2008-06-08 15:54:31 Copyright: Default |