JVJAがミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会 | |||||||
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10月3日、ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会が開催された。主催はJVJA(日本ビジュアルジャーナリスト協会)。APF通信の契約記者で映像ジャーナリストの長井健司さんがミャンマーで取材中、治安部隊に至近距離で射殺された事件を受け、緊急に呼びかけられた。会場になった東京・千代田区の明治大学リバティタワーには、開場一時間前から参加者が続々と集い、240人定員の教室がほぼ満席となった。 ■衝撃の未公開ビデオ映像 JVJA会員の林克明さんがあいさつし、綿井健陽さんの解説で、故長井さんの撮影したビデオ映像が流された。03年のイラク戦争を取材したもので未公開の部分も多くある。大手メディアで繰り返し流され、フリーのジャーナリストらによって何度も報告されたバグダット陥落の前後だ。 長井さんのカメラは市内の病院へ潜入する。顔面が火傷でただれてベッドで手当てを受ける少年。皮膚から沁みだす緑色の体液をナイフのような器具で削り取っていく医師。少年の絶叫が粗末な病室に響く。かたわらでなすすべもなくうろたえる母親。正視に堪えない残酷なシーンだ。こうした映像を私は何度も写真では見た。しかし動画の伝えた現実は、はるかに衝撃的だった。 ビルマの軍事政権についての発言が始まった。ポーンミントウンさん(AAPP・ビルマ政治囚支援協会日本支部代表・写真下)は、かつてアウンサンスーチー氏のボディーガードも務め、秘密警察に逮捕されて4年間刑務所に投獄された。釈放後に来日し、在日ビルマ人活動家として民主化運動を担っている。 ポーンさんは「私は、今はこんなに太っていますが、捕まった頃はやせていました」と繰り返して会場を沸かせたあと、「拷問センター」で身体中があざだらけになるほどの拷問を受けたこと。治安部隊が僧侶たちのデモに血の弾圧を加えている様子をスライドで紹介。「私の国のために、みなさんの力を貸してください」と力を込めた。 ■ビルマ軍事政権を告発 上智大学教授の根本敬さん(写真下)は、ビルマの現代史専攻。「1988年のクーデターの際には現役の学生たちが立ち上がった。今回は一般市民より先に僧侶が決起した。出家した彼らは市民と違って失うものが何もない」。「燃料費の値上げに抗議する僧侶らの静かで自然発生的なデモに、治安部隊は無差別に発砲した。僧侶らは市民の生活の苦しさを良く知っていた。信徒の生活が苦しければ、それは托鉢で暮らす僧侶にもはね返ってくる」。「市民たちは僧侶が立ち上がったことに驚き、感激した。自分たちの生活のことを本当に心配してくれているのだと」。 根本さんの主張は結論へ。「軍政はすぐには変えることはできない。しかし今回決起した人々は国際世論を待っている。今こそ、たとえば経済制裁を発動すべきである。それは彼らを勇気づけるメッセージであり、プレゼントである」。 ビデオジャーナリストの土井敏邦さんは、日本でアルバイトをしながら生活する在日ビルマ人活動家の取り組みを紹介した。 ビルマの少数民族に特に力を入れて取材しているフォトジャーナリストの山本宗補さん(写真上)が登壇。山本さんはまず、「今回の長井さんの事件でメディアも大きく紙面を割いて伝えているが、殺されたのがもし日本人ではなかったらどうだったか」と問いかけた。そして少数民族に対するビルマ兵の拷問をスライドで告発。カレン州の難民キャンプに暮らすカレン民族。酔った兵士の銃口が向いていた隣の男が、たまたま射殺されたと恐怖で振り返る村人。食いちぎられた耳の写真。都市住民を強制的に荒廃した水田地帯に移住させ、強制労働に就かせる。こうした避難民は年々増え続けている。山本さんは「国軍は兵士を標的にしているのではなく一般の農民をターゲットにしている。今回の事件は軍事政権のやり方の一端を示しただけだ」と軍の無法ぶりを厳しく非難。日本政府は一貫してビルマの軍事政権を容認してきただけでなく、国連の場においてさえ、軍政の宣伝マンであるかのような態度をとり続けてきた、と糾弾した。 吉田敏浩さん(写真上)はビルマをはじめアジア諸民族を取材するジャーナリスト。国軍に追い立てられる少数民族・カチン族の姿をレポートした。軍による村人の強制移住作戦は、まさに残虐の限りを尽くした。この行為は第二次大戦中の日本軍の「三光作戦=殺光(殺しつくす)、 槍光(奪いつくす)、 焼光(焼きつくす)」を手本にしたのではないかと思われるほどだ。事実、日本軍の軍歌の替え歌を、ビルマ軍も使っている。国家の軍隊は、侵略のやり方を継承している。 過去の延長線上に現在はある。NHKなど大手メディアは、軍事政権の表の顔だけを報道している。影の部分を見ることが重要だ。 質疑応答が行なわれた。経済制裁の是非についての質問に応答した根本教授は、「経済制裁は軍政にとってはけん制になり、国民にとっては人道援助とともに連帯のメッセージになる」と何度もその重要性を強調した。またジャーナリストの国際的な連帯についても言及された。主催者側は「今回の事件だけをことさら誇示するつもりはない。今でも拘束され弾圧されているジャーナリストは多くいる」と語った。 この日は予定していた会場をより大きな教室に変更した。その結果、大手取材陣も含む来場者全員が集会に集中できた。ビルマ情勢はまだまだ予断を許さない。反政府デモ鎮圧と「平静」の裏で、活動家に対する容赦のない粛清が進むと懸念する声もある。一人の人間が文字どおり命がけで伝えた真実を、私たちはどう受け取り、どう行動するのか。 軍事独裁政権は、民主化運動への武力弾圧を、やめろ! Created by staff01. Last modified on 2007-10-08 13:00:44 Copyright: Default |