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高須です。

週末の各新聞紙上で、規制改革会議の答申原案について報道されていますが、本日(5月21日)、規制改革会議は「脱格差と活力をもたらす労働市場へ〜労働法制の抜本的見直しを〜」という文章を発表しています。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0521/item070521_01.pdf

この内容は新聞報道以上にひどい内容です。以下は今晩(21日)アップされている朝日の記事。
http://www.asahi.com/politics/update/0521/TKY200705210298.html

前文にある以下の部分は到底許せない内容です。あまりにひどい内容なので、以下紹介します。

「一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている。不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながる。過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある。正規社員の解雇を厳しく規制することは、非正規雇用へのシフトを企業に誘発し、労働者の地位を全体としてより脆弱なものとする結果を導く。一定期間派遣労働を継続したら雇用の申し込みを使用者に義務付けることは、正規雇用を増やすどころか、派遣労働者の期限前の派遣取り止めを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする。長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発するのみならず、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる。」

この意見書の思想は、労働法による規制を撤廃し、労働市場を流動化させることが、労働者の真の保護のつながると言う立場を取っています。

さらには判例による規制をも否定しています。これはまさに労働者が必死の思いで立ち上がって、裁判闘争に勝利し、勝ち取ってきた解雇法理を初めとする判例法理を全否定するものです。

そして、解雇権濫用法理の緩和、解雇の金銭解決の試行導入、派遣法の見直し(派遣禁止業務の解禁)、労働政策決定における3者構成を否定し、「フェアな政策決定機関に政策決定を委ねる」こと、有期雇用の雇い止め法理を否定する立法、同一労働同一賃金の否定、職種別賃金の否定などを具体的に提言しています。

労働ビッグバンを唱えてスタートした「経済財政諮問会議労働市場専門調査会」の報告は大変トーンダウンしていましたが、こちらこそ正真正銘の「労働ビッグバン」です。ILOの国際労働基準、戦後労働法制すべてを全面的に否定するものです。

このような動きに対しては、理論的にも、運動としても反撃していく必要があると思います。

高須裕彦

Created by staff01 and Staff. Last modified on 2007-05-23 10:38:39 Copyright: Default

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