『君が代不起立』を見て〜その信念はどこから来るの | |||||||
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*以下は堺上映会(2/10)の参加者から寄せられた感想です。ビデオプレスの協力で紹介します。なお2/23(金)18.30〜なかのゼロ小ホールで『君が代不起立』東京大上映会が行われます。 ―――――――――――――――――――――― 「君が代不起立」を見て−その信念はどこから来るの?乾 言子(主婦・奈良)根津公子さんは普通のおばちゃんだ。強烈なオーラを発してもいないし、見るからにパワフル!でもない。印象的なところはその穏やかな笑顔、飾り気のない素朴な人柄が表れている。 しかし...このおばちゃん、すごいのだ。94年に生徒の要望を聞いて日の丸を降ろした事により減給処分をうけ、以来都教委から9回もの処分を受け続けている。昨年9回目の処分は今までの累積処分として停職3ヶ月。新任校に3ヶ月間、入る事を許されなかった。 日々、壮烈ともいえる孤独な闘いだ。学校の敷地に入れないので校門まで毎日「出勤」する。「私が立たなかったことで誰かに迷惑をかけましたか?」「私は間違っていると思う命令には従えないのです」こう書いた抗議のプラカードを手に持ち、校門前に座っている。 この四月からの新任校は通勤に片道2時間、明らかに嫌がらせ人事。今までの中学なら、生徒も親も彼女の事を知っているから支援者も多い、校門前にいても不審者とはされない。しかし新任校では...新学期初日、校門前に校長が出てくる、明らかに根津さんの動向を確認するためだ。そしてあからさまに彼女に邪魔だから目障りだからどっか行け!と言わんばかりの対応をする。「私、ここの先生だけど入れてもらえないの、だからここに座ってるのよ」なんて言っても初対面の生徒たちは「????...(な、なんなんこのおばちゃん)」という反応なのだ。ここの先生と名乗るおばちゃんが座ってるよ、しかもビデオ撮ってる人いるし〜と校内では一騒ぎ。保護者の目も冷たい。根津さんが自転車を置いて校門前を離れたすきに「放置自転車がある」と警察に通報するのだから...。上履きのまま出てきて「キモクナ〜イ?」と大声で繰り返す女子学生の集団...。 痛い、イタイヨ〜。根津さん、なんでそこまで出来るわけ?でもまず先になんで君が代の最中、椅子に座ってただけでここまで痛い目にあわなきゃいけないの? でも根津さんは孤独じゃなかった、彼女の孤独な闘いと平行して共に闘う教師、支援する多くの人びとの姿が力強く映し出される。そして「今までは座っていたけど、私にも生活があるから処分されるのはつらいけど...でも、自分の良心に従って教師として子どもたちに真摯に向き合いたいから、勇気を持て着席する」と宣言する仲間の教師をもうみだすのだ。 すごい、やっぱ根津さんはすごい...。 でも根津さんは何も難しい事言ってないんだよね、彼女の論拠は簡潔。 「学校の中で教育活動の一環として何事かをするのであれば、その事について生徒に丁寧に授業をし、理解させたうえで、生徒自身の頭で考えてどう行動するか本人が決定すべきなのだ。「日の丸・君が代」のときだけは何も知らせず起立や斉唱させることは、明らかに教育に反すること、都教委の命令だからと言って従うことは出来ない。おかしい事に反対するのが、自分の仕事に責任を持つことなのだから...。」(根津さんの「『どうして君が代にこだわるの?』と不思議に思うあなたへ」から抜粋) しかし、しかしだよ...。教師としての誇り・自負を剥奪され続け、個人としての人権を蹂躙され続け、それでもなお座り続ける彼女の根幹にある信念はなに? それは、言うなれば「愛国心」、彼女なりの愛国心に他ならない。「日の丸・君が代」のもとに動員され、傷つき死んでいった多くの国内外の命。我が日本国はその多大な犠牲を深く反省し、戦前と決別し真に平和的民主国家の「実現は、根本において教育の力にまつべきものである(旧教育基本法)」としたのだ。根津さんは今を生きる一人の日本人として子どもの成長を導き支援する教師として、先人たちの犠牲と努力を我が身に引き受け、次世代に伝えていくことを信念として生きている。これを愛国心と言わずになんといおうか。 この映画には二種類の人が出てくる。根津さんと共に闘う教師、支援する仲間・教え子・中学生...この人たちは不当処分に怒り、泣き、そして昨年の予防訴訟の勝利判決では、弾けんばかりの笑顔と歓声をあげた。生き生きと生命感溢れる「美しい」表情を持った人びとだ。対して、上意下達に上からの職務命令を黙々とこなし、自らの言葉を全く発しない都教委や管理職の人々の表情をみよ!無表情で険しく、はっきり言って「醜い」...。 「美しい国」とはどのような人が暮らしているところなのだろうか? 映画の最後、根津さんの停職処分が終わり、初出勤の場面となる。もし私が根津さんだったら...想像つかないくらいの緊張・恐れ・不安に苛まれるに違いない。でも学校に向う根津さんの表情は活き活きとすがすがしい。校門前出勤最後の日にかつての教え子たちが会いに来てくれたのだ。「先生のおかげで平和について真剣に考えるようになった、今の自分がある」8年前の教え子の言葉だ。思いがけない励まし。この言葉が彼女の足を今、職場へと導いている。 それから2ヵ月後、「日の丸・君が代」予防訴訟の勝利判決、職員室の電話でそれを聞いた彼女とともに、なんと同僚の先生方も喜んでくれたのだそうだ。強いオーラもパワーも発しているわけではないけれど、やっぱ根津さんはすごい。針のむしろとしか思えないような職場においても、あの穏やかな笑顔で仲間をつくっていたのだ。 確かにすごい、だけどやっぱり普通のおばちゃんだ。だって普通のこと、言ってるだけなんだもん。普通であることが益々困難になっていくこの時代に、この映画でまた一つ勇気をもらった。 私も正々堂々普通に生きていきたい。 Created by staff01. Last modified on 2007-02-20 11:04:09 Copyright: Default |