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日本司法に一大汚点をさらに刻んだ高裁判決内容
    by 大地実

 さる人がこの判決の評価を簡潔に以下述べた。
「恥を知れ! 今後裁かれるべきは日本司法に一大汚点をさら
に刻んだ、阿倍文洋裁判長らだ!」「倫理知らずで恥知らずな
東京高裁判決(阿倍文洋裁判長)は嗤うしかない」と。


 「八百長できレースみたいなヤラセ裁判」との情報は以前か
らかなり入っていたが、傍聴してみると、それらの指摘は当た
っていると言えるほど、判決はひどい内容であったと私(大地
実)も思う。
 関西テレビの例を引くまでもなく「やらせ・捏造は得意だが
、まともな報道はできないのでマスゴミ」と言われるこの国の
マスコミは、この判決についてもまともな報道はしないので、
判決文を広く主権者である市民にお知らせすることにする。 

 なお、上記で「恥を知れ! 今後裁かれるべきは日本司法に
一大汚点をさらに刻んだ、阿倍文洋裁判長らだ!」と指摘され
ている人物とは以下の4人である。

裁判長裁判官  阿 倍 文 洋 
   裁判官  高 梨 雅 夫
   裁判官  森   浩 史
   検察官  大 野 重 國 



 横浜事件再審の東京高裁判決文はA4版で全7ページ(うち本
文は5ページ)の短いものだった。全文を以下掲載するので、
そのあまりにひどい内容を読まれたし。

平成19年1月19日宣告 裁判所書記官 長谷川 淳 
平成18年(う)第1036号

            判決

※特高警察のでっちあげで治安維持法違反として不当逮捕され
、拷問などの虐待を受けた上、無実なのに戦後の裁判でも大馬
鹿な検察官・裁判官により不当な有罪判決の汚名を着せられた
。この日の判決がまともならば、無罪の判決を出しその名誉回
復を図るべきであった。5人の名前を略すかどうか考えたが、
ここでは載せることにした。

(故)木村亨
(故)小林英三郎
(故)由田浩
(故)高木健次郎
(故)平館利雄
 
前記5名に対する各治安維持法違反被告事件について、平成1
8年2月9日横浜地方裁判所が言い渡した判決に対し、原審弁
護人から控訴の申し立てがあったので、当裁判所は、検察官大
野重國出席の上審理し、次のとおり判決する。

             主文
         本件各控訴を棄却する。
 
             理由
 弁護人は、要するに、再審の公判においては、実体的審理、
判断が優先されるべきであるから、その判断をすることなく免
訴とした原判決は誤りであり、免訴とした原判決に対し、被告
人の側にこれを是正し無罪を求める控訴の利益が認められるべ
きである、という。

 そこでまず、本件各控訴に至るまでの経緯をみることとする
。被告人らは、各治安維持法違反被告事件について、横浜地方
裁判所に控訴を提起され、同裁判所は、昭和20年8月29日被
告人小林英三郎に対し、同月30日被告人由田浩及び被告人高
木健次郎に対し、同月9月15日被告人平館利雄に対し、それ
ぞれ有罪の判決を言い渡し、各有罪の判決はそのころ確定した
。いずれについても既に死亡している被告人らの遺族から平成
10年8月14日再審請求があり、平成15年4月15日横浜
地方裁判所は再審を開始する決定をした(なお、東京高等裁判
所は平成17年3月10日検察官の即時抗告を棄却する決定を
している。)。各治安維持法違反被告事件は、いずれも現行刑
事訴訟法施行(昭和24年1月1日)前に控訴が提起されたも
のであるから、刑事訴訟法施行法(昭和23年法律第249号
)2条により、なお、従前の刑事訴訟法(大正11年法律第7
5号、以下「旧刑訴法」という。)によるべきものとされてい
る。原審は、各治安維持法違反被告事件について、基本的には
旧刑訴法及び応急措置法に基き審理し、再審の公判を開いて前
記各有罪の判決の後である昭和20年10月15日に治安維持
法が廃止され、同月17日に被告人らが大赦されたことから、
旧刑訴法363条2号(犯罪後ノ法令ニ因リ刑ノ廃止アルタル
トキ)及び3号(大赦アルタルトキ)の免訴事由が存在するこ
とを理由として、「被告人5名はいずれも免訴とする。」との
判決を言い渡した。以上のような経緯が認められる。

 本件は、このように再審の公判が開始された各治安維持法違
反被告事件について被告人らを免訴とする原判決に対する被告
員側からの控訴事件であるが、およそ免訴の判決は、被告人に
対する公訴権が後の事情で消滅したとして被告人を刑事手続き
から解放するものであり、これによって被告人はもはや処罰さ
れることがなるのであるから、免訴の判決に対し、被告人の側
から、免訴の判決自体の誤りを主張し、あるいは無罪の判決を
求めて上訴の申立てをするのはその利益を欠き、不適法である
(最高裁判所昭和23年5月26日大法廷判決・刑集2巻6号52
9頁、同昭和29年11月10日大法廷判決・刑集8巻11号
1816頁、同昭和30年12月14日大法廷判決・刑集9巻
13号2775頁参照)。被告人が死亡している場合でも、再
審の公判では後記のとおり旧刑訴法365条1項2号の適用が
ないから、前期の理は変わるものではない。
 そうであるならば、本件核控訴は、公訴権がないのにされた
ものであるから、旧旧刑訴法400条によりいずれも棄却を免
れ得ない。

 弁護人は、法の形式的解釈に堕することなく、無辜の救済と
いう再審制度の趣旨に照らして解釈すると、再審の公判の場合
は、実体的審理、判断が優先されるべきものであり、これをし
なかった違法な免訴判決に対し、被告人側の控訴を認めないの
は、法秩序の維持及び人権の保障を目的とする刑事司法の事理
から許されない、という。
確かに、再審制度は、同一の事案について再度の司法判断を求
めることを認める非常、特別の救済制度(なお、旧刑訴法の不
利益再審は応急措置法20条により廃止されるに至っている。
)であり、再審の公判については、通常の公判と制度的、技術
的差異があり得る。しかし、旧刑訴法における再審の公判につ
いての制度設計をみると、旧刑訴法511条は、「裁判所ハ再
審開始ノ決定確定シタル事件ニ付テハ第五百条、第五百七条及
第五百八条ノ場合ヲ除クノ外其ノ審級ニ従ヒ更ニ審判ヲ為スヘ
シ」と規定し、再審開始決定の確定した後の再審の公判につい
ては、旧刑訴法511条が定める除外事由が存在する場合を除
き、通常の公判と同様の手続きに従い、それぞれの審級におけ
る一般原則により更に審級を行なうこととしている。そして、
旧刑訴法は、再審の公判について、旧刑訴法512条1項及び
2項で被告人が死亡している場合でも、「判決ヲ為スヘシ」と
規定し、旧刑訴法365条1項2号の適用がないことは示して
いるが、免訴を言い渡す場合を定めた旧刑訴法363条2号(
犯罪後ノ法令ニ因リ刑の廃止アリタルトキ)及び3号(大赦ア
ルタルトキ)の適用がないことを示す規定を置いていない。要
するに、旧刑訴法は、再審の公判について、免訴事由がある場
合に、通常の公判に関する規定を除外し、無罪等の実体判決を
することを予定した規定を置いていない。このような旧刑訴法
規定状況から認められる再審の公判の制度設計や、そもそも免
訴事由というものはそれが存在すると、公訴事実の存否につい
て審理、判断することが許されなくなる性質のもの、すなわち
公訴事実に内在する訴訟追行の可能性ないし利益がなくなると
いう性質のものであることなどに照らすと、再審制度の趣旨、
法秩序維持及び人権の保障を目的とする刑事司法の事由等を含
めて多角的に検討してみても、再審の公判においては、通常の
公判と異なり、旧刑訴法363条2号及び3号の適用がないと
することはできない(なお、弁護人は、東京高等裁判所昭和4
0年12月1日決定高裁集18巻7号836頁)は、「ひつき
よう旧刑事訴訟法第三六三条二号(現行刑事訴訟法三三七条二
号も同様)は通常における規定であり、非常救済手続たる再審
に適用ないもの」と説示し、通常の公判について定められた旧
刑訴法363条2号は再審の公判にそのまま適用されることに
はならない旨明言しているというべきである、という。しかし
、前記の決定は、再審請求事件で実体審理をする前提として再
審請求権があるか否かという点について、「刑の廃止」によつ
ては再審請求権は消滅せず」と説示し、次いで弁護人指摘の説
示をしているのである。そうであるならば、前記の決定は、再
審請求事件の審理に関する限りの判断であり、再審の公判にお
ける旧刑訴法363条2号の適用の可否についてまで判断を示
したものではない。)。そして、既に説示した免訴の制度、免
訴の判決の趣旨をも併せ考えると、ひいては、免訴の判決に対
する被告人の側の公訴の利益についても、通常の公判の場合と
別個に解することはできない。それ故、免訴の判決に対し、被
告人の側に上訴の利益を認めない前記の判例は、再審の公判に
関するものではないが、再審の公判の場合にも同様に当てはま
るというべきである。要するに、再審の公判であろうとも、免
訴の判決に対し、被告人の側に控訴の利益は認められない。
 
 弁護人は、一度有罪の判決が確定し刑罰権の具体的成立を見
た後においては、刑の廃止あるいは大赦があっても、その判決
の存在や効果そのものに直接何らの影響を及ぼすものではない
から、その適法性又は合法性が疑われて開始されることになっ
た再審の公判においては、いまだに判決がなく刑事権の成否未
定の状態にある通常の公判の場合と異なり、刑の廃止あるいは
大赦を事由にして免訴によって審理を打ち切ることなく、有罪
の判決による既成の効果を根本的に除去するため、無罪の判決
を言い渡す途を認めるべきであり、したがって、また、そのよ
うな判断をしなかった違法な免訴の判決に対し、被告人の側に
控訴の利益を認めるべきである、という。

 しかし、再審の公判が開始され、再審の判決が確定すると、
当初の確定した有罪の判決は当然に効力を失うことになる。有
罪の判決が確定した後に刑の廃止あるいは大赦があった場合で
も、結局は、いまだ判決がなく刑罰権の成否未定の間において
刑の廃止あるいは大赦があった場合と同様な状態となるのであ
る。刑の廃止あるいは大赦の時期と刑罰権の成立の先後に応じ
、免訴の判決に対して被告人の側に控訴の利益があるか田舎の
結論に差を認めるべき理由は見出し難い(なお、再審の公判は
、確定した有罪の判決の当否を審査し、これを是正することを
目的とするものではない。)。
弁護人は、各再審請求事件に対する抗告審決定が、各種書証等
について、被告人らに対し有罪を言い渡すべき新たに発見した
明確な証拠である旨説示し、原判決が、その抗告審決定の内容
は覆す余地のないものである旨説示しており、それ故、各治安
維持法違反被告事件については、いつでも無罪の判決を言い渡
すことが可能なところまで機が熟しているというべきであるか
ら、形式論に終始することなく、免訴の判決をした原判決に対
しても、被告人の側に無罪を求める控訴の利益を認めるべきで
ある、という。

 しかし、被告人の心情はともかくとして、そもそも免訴の判
決をした原判決がそのような説示をすること自体に問題がある
ばかりか、控訴の利益が認められて初めて実体的審理、判断を
することができるものであるから、すでに説示したとり、免訴
の判決に対し、被告人の側に控訴の利益が認められない以上、
弁護人の所論は採用し難い。

 その他弁護人が種々述べるところを検討してみても、免訴の
判決に対し、被告人の側にこれを是正し無罪を求める控訴の利
益があるとは認められない。
よって、主文のとおり判決する。

平成19年1月19日
     東京高等裁判所第8刑事部 
           
裁判長裁判官  阿 倍 文 洋 
   裁判官  高 梨 雅 夫
   裁判官  森   浩 史

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