根津公子さんの「停職出勤日記・3」 | |||||||
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4月17日(月) 新聞の天気予報では「予想最高気温19℃」。久しぶりに春らしい天気、と思って多少薄手のセー ターとコートに替えて今日は立川二中に。ところが、午前中は強風に叩かれっ放し。まだまだ防寒対 策が必要だった。 登校時刻が過ぎ読書タイムに入った頃、出勤途上の男性が自転車を止めて私のところに来られ、激 励してくださった。初めての方。上のお子さんは二中の卒業生だとおっしゃる。見ず知らずの方から 声をかけていただくことがどんなに、私を励ましてくれることか。 昼食はAさんが私のために作ってきてくれた稲荷ずし、近くの公園に行っておいしくいただいた。 下校時は今日も3年生の生徒たち何グループか、何人かが入れ替わり立ち代わりして、おしゃべり を楽しませてもらった。 「先生、給料もったいないから立っちゃえば」。 「クビにされても、間違っていることには服従しないよ」と答えると、「君が代歌っても、戦争にな るわけではないでしょ?」と言う。「大きく見れば、戦争に突き進ませないために闘っているのでも あるのよ、私は。でも、(鵜呑みにしないで)自分で考えてね」と答えると、「戦争にならないよう 、先生がんばって」と。 戦時になれば直接狩り出される対象である若い世代の声だ、と思った。 別のグループは、「君が代のことよく知らないから、(学校は)きちんと知らせてほしい」 「知らないのに、立てって言われるのいやだ」 「反対する人の意見も賛成する人の意見も聞きたい」。まったく生徒たちの言うとおりだ。 私は何をしたいのか?すべきなのか?答えを見つけたいBさんとしばし話をする。「周りの人の意 見にはしっかり耳を傾ける。でも最後は自分の意思で行動を決めたいね」と確認しあった。「先生が んばって!応援しているよ!」――「私もBさんを応援しているよ」。行き始めた体を再度私に向け 、「先生、努力は人を裏切らない、って」――「そうだね、努力は私を裏切らないよね。ありがとう 。お互い、がんばろうね」。 4月18日(火) 鶴川二中へ。8時過ぎ、パトカーが速度をすごく落とし、明らかに私を覗き込むような視線を向けて 通り過ぎて行った。 8時5分には副校長が、やや遅れて校長がやってきて、登校する生徒に挨拶の声をかける。挨拶自体 はいいことだけれど、今日も朝の職員打ち合わせには2人とも出ない。変だよな、と思う。 11時、車を止め、自販機で飲み物を買った人が私の方に来られる。頭を上げると、60代らしき男 性。 「信念を貫くって大変なことですね。最後までがんばってください」とおっしゃり、今買われたお茶 を差し出された。ご近所にお住まいの方だとのこと。原稿を書きながら、眠くてボーッとしていた頭 の霧は一瞬にして消え、私はうれしさでいっぱいになる。 感激がプラスされたお茶はとってもおいしかった。昨年立川でも、炎天下にいる見ず知らずの私に、 飲み物や氷を差し入れてくださる方が何人もいらした。 こうした方々にどんなに励まされ、支えられていることか。人間っていいな・・・。じわーっと、ひ との温かさに浸りながら想う。 朝は、園児を連れた、おしゃれを愉しむお母さんが立ち止まり、プラカードを読まれて、「ひどいで すよね」と声をかけてくださった。 毎日挨拶を交わす方もできてきた。 夕方の予定があって、3時半、「退勤」。 4月19日(水)は、調布中への見せしめ的報復的人事異動裁判の控訴審2回目。 調布中、立川二中に続き、鶴川二中も同様の人事異動であることが明確となった今、あらためて証人 採用を要求したが、書面で十分として結審とされた。 4月20日(木) 今朝は副校長も校長も、パトカーも来なかった。私はただ立って、登校する生徒たちに挨拶の声をか けているだけなのだから、これでいいはずだ。 職員打ち合わせが終わっただろう頃、「出勤」していることを告げに行くべきかと思っているところ に出張に出かけようとする副校長と出会った。 下校時間帯にはやっぱり、副校長が下校指導に出てきた。本当にご苦労様なことだ、と思う。 今日は日中、突風と雨。穀雨。この天候の中、約束していた訪問者と語り合う。 昨年の停職期間にプレゼントされたゴアテックスの合羽とズボンに包まれ、濡れも蒸れもしない。快 適だ。 でも、突風で傘は骨が折れてしまった。今日藤沢市では、電柱や屋根が飛んだ事故があったそうだ。 放課後は、雨が上がり、台風一過のような空になる。部活動で校地の周りの道を走る生徒たちの姿を まぶしく眺めた。 4月21日(金)は、8時から都庁でチラシまき。その後、署名提出と質問に教育委員会に行った。 3週間が過ぎました。1日屋外で過ごすと、何をしたのでもないのに、夜は睡魔とのたたかいですが 、愉しみながら「出勤」しています。 Created by staff01. Last modified on 2006-04-22 05:30:22 Copyright: Default |