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 朝日新聞4月2日付け<すいへいせん・ちへいせん>については、当日の1面で<気骨ある紙面めざす>と宣言している東京本社編集局長外岡秀俊氏宛に下記の抗議文を送ってありますが、何の返信もないまま、4月6日付紙面33面に同じ筆者による同趣旨の解説記事が掲載されました。便乗組が騒ぎ、国民は迷惑、というものです。<ニュースがわからん・フランスの若者、何に怒ってデモ?>なる問答形式の記
事です。
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■朝日新聞東京本社編集局長 外岡秀俊様
 「朝日新聞」コラム・水平線/地平線(06年4月2日付4面)について

 冨永「格」さんとやらの「楽しく危うい『街頭政治』」という一文、腹の底から不快感がこみ上げてきます。こんな駄文を7段組のコラムに堂々と掲げる新聞に、なんでまた、長い長い間、お金を払い続けてきたのか、と。この手の非論理的論法による「正論」を得意とする産経新聞なら決して定期講読なんかしないのに。

 ドビルパン氏が国連で活躍していた3年ばかり前、アメリカを含むずいぶん多くの国の人々が街頭に出てブッシュ−ブレア−コイズミがガセネタに基づいて強行した重要政策に異議を唱えたものです。06年のいまでも、タイやフィリピンや、おっと、これらの国は民主主義が定着した主要国とやらではないのだとすれば、いまアメリカで起きている事態はどうなのか。もっとも、あれは市民権を獲得できていないヒスパニックの仕業だから、主要国中の主要国とは関係ないのか。それでも、オーストラリアとかでも、デモさんだかストさんだかが、つい最近あったような気もします。

 筆者「格さん」は一体何を考え、何を言いたいのか。CPEは、重要な政策なのか(2段目)、ささやかな改革(5段目)にすぎないのか。「民主主義」にとって、兵舎や宮廷と街頭とが同列に論じられるべきというのかどうか。

 たとえば、「○○改革」とかが唯一の争点であるとする与党に圧倒的な議席をあたえた市民は、次の選挙までは、どんな重要政策が登場してこようが、異を唱えたのでは、民主主義がすたるというのか。「民主主義が定着した国」で、市民の街頭行動と言論・表現の自由とは、どんな関係にあるのか。若年労働者の首を切る自由を保障することが、どこの世界の標準であるのか。

 失職の心配がない公務員が、大衆を泣かせるストで勤労者代表のように振る舞うのがおかしいというのなら、大企業の正社員を中心に組織された企業労組の連合体が、労働条件・労働環境で格差の大きい派遣労働者やパート労働者、臨時工・季節工、さらにはフリーターや下請け労働者などのためには決してたたかわないという振る舞いは、どれほど素晴らしいことというべきなのか。

 コラムは次の一節で結ばれています。

 「パリの街頭が盛り上がってきたころ、欧州最後の独裁国家、ベラルーシで大統領選があった。首都の広場で独裁者の再選に抗議した何百人もの学生が拘束された。デモさん、ストさんは本来こういう国のためにある」。

 06年のベラルーシでも、32年のドイツでも、00年のアメリカでも、そして06年の日本国でも、選挙があり、程度の差こそあれ不正がまかりとおりつつも、何はともあれ多数を得た政権が成立しました。同列に論ずるのは乱暴かもしれませんが、どれが民主主義でどれが独裁主義か、何を基準に区別するかも一筋縄にはいきますまい。32年の選挙を経てはじめて独裁者としての地歩を固めていく機会を得たヒトラーに対し、議会制民主主義という制度は有効な制御を加えられなかったようです。そして、ヒトラーが独裁者となるために、デモやスト、街頭や後には地下での抵抗運動を徹底的にむきだしの暴力で抑え込んだことも明らかです。

 いろいろな政治的思惑やかけひきがあろうが、大労組や公務員労組が若者たちを犠牲にする雇用政策に抵抗する行動を支持し、「大衆を泣かせる」ほどの規模のストを行う社会について、若年労働者のためのデモやストなど考えることもできなくなった社会から「危うい」と揶揄するコラムに、何らかの意味があるとは考えられませんが、それともこれが朝日新聞のめざす「気骨ある紙面」なのでしょうか。同じ4月2日付1面には「『気骨ある紙面』めざす」という東京本社編集局長の宣言があるので、なるほどこれが「気骨」のサンプルなのかとも感じました。

 同じ2日付の東京新聞は「“自由”を問い直す」という社説を掲げています。これは、「格」さんのコラムとは、全く対極にある文章といえましょう。しばらく以前から、購読料も安いことだし、併読するお金はないし、やはりこっちに切り換えるべきかと悩んでいるところです。(福冨弘美)

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