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浦項建設、あえて終止符を打つな

[インタビュー] 「胸には今年の梅雨より多い涙が」

オドヨプ記者 odol@jinbo.net / 2006年09月21日15時10分

浦項で働く建設労働者のイドングン氏。82日間のストライキは終わった。 9月21日、イドングン氏は出勤しなかった。拘束されている同僚に面会するた めに家を出た。

チャムセサン資料写真

「現場に復帰すると面会に行くのも難しいだろう…。復帰前に一度顔を見て行 きます」。イドングン氏の心はみじめだ。前より悪くなった合意案を賛成で通 過させたことがつらかった訳ではない。死の真相究明もできず、まだ同僚は監 獄にいるのに、先に現場に戻ることが申し訳なくて残念なだけだ。

まだ治療中だ

「人が死に、300人以上の組合員が負傷しました。身体障害者になった同僚が います。身一つで稼ぐ建設労働者は、からだを壊せば終わりでしょう。指が折 れて、もう現場で働けない同僚もいる。まだ入院している同僚は10人ぐらいい る。1年以上長期入院しなければならない同僚もいる。数十人がまだ通院治療 をしている」。

82日間のストライキ。イドングン氏には夏はなかった。合意案を見ると、何の ために夏を街角で過ごしたのか、情けなくなる。「改悪案であることは明らか だ。しかし一日働いて、その日を暮す境遇の建設労働者は、生計を後回しにし 続けて戦うことはできない。得たものはなくても、本当にがんばったと思う」。

建設労働者の82日ストライキを、合意案だけで勝って負けたとは言えない。 「日雇い、短期契約職がほとんどをの建設労働者が80日以上戦ったことは、そ れだけ建設労働者の境遇が苦しい現実を告発するものだ」。

82日ストライキの意味

現場に復帰しても、火種はそのまま組合員の胸に残っているという。「今年の 梅雨の雨より多く流した涙は胸にそっくり溜っている。変わったことは、街頭 ではなく現場で戦うということだ」。

チャムセサン資料写真

イドングン氏は合意案可決が闘争の終わりではないという。「真実糾明の戦い も止めない。また損賠仮差押さえにも組合員全体で戦わなければならない。今 は拘束者と組合に損賠が請求されているが、2500人の組合員が一緒に担って 戦わなければならない」。

組合員三人のうち1人は合意案に反対票を投じた。非常対策委として維持して いる指導部体系もまだ危険で、絶望に陥った組合員をまた組織することも至急 だ。

性急な判断に注意しろ

「容易ではないだろうが、思ったより早く隊伍は復旧するだろう。浦項建設労 組は、一日で建設された砂上の楼閣ではない。現場に根をおろして建設された 組合だから、風で枝は揺れても倒れない。労組を離れて得られるものより、労 組があったから得ることができたものが多いからだ。私たちが労働者として認 められたのも、労組がなかったら可能だったろうか?」

合意案を可決しても、何も得たものはないとか、負けたという評価は性急だか ら気を付けろと注意する。浦項だけで17年、四十の年齢を越したイドングン氏。 ほとんどの工事が三ケ月、六ケ月で雇用不安に苦しめられなければならない。 1ヶ月で得る金は2百万ウォン余。年俸にすれば、十二か月をかけてはいけない という。それが建設労働者の現実という。

現場に復帰する浦項建設労働者の心がすべてイドングン氏と同だとは思わない。 だが楽観して現場に帰る組合員がいるのだから浦項建設労働者の闘争に下手に 終止符を打ってはいけない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-09-24 00:15:58 / Last modified on 2006-09-24 00:15:58 Copyright: Default

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