韓国:[李明博時代展望](3) -李明博当選者に労働政策はない | |||||||
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政治労組、強固路線労組、不法ストをなくすという大統領[李明博時代展望](3) -李明博当選者に労働政策はない
イ・ソンウ(編集委員)/ 2007年12月21日11時13分
大統領になれば、政治労組、強固路線労組、不法ストライキをなくすと言い放っ た李明博候補が、第17代大統領に当選した。偽装転入、BBK、脱税など、さまざ まな議論と疑惑にもかかわらず、盧武鉉政権の失政への怒りが李明博をめぐる 道徳的問題を無視させ、経済復興への期待で労働者を含む国民は、彼に大量の 票を投じた。 経済指標だけを見れば、盧武鉉大統領はくやしくさえある。世界11位の経済規 模、5%に達する高成長、2000ポイントを行き来するコスピ指数、そして今年な んとか2万ドルを越えた1人当りの国民所得を見よ。2005年の一年間、サムスン 電子が稼いだ純利益は7兆9261億ウォン、浦項製鉄3兆2066億ウォン、ハイニッ クス2兆124億ウォン、現代自動車1兆5261億ウォン、SKテレコム1兆4466億ウォ ン、LGカード1兆1937億ウォンという途方もない利益は、盧武鉉政権が資本の忠 僕役割を果たしたことを立証している。なぜ国民はまた李明博の経済成長第一 主義に誘惑されるのか。 何と言っても李明博当選の一番の貢献者はまさに盧武鉉だ。盧武鉉政権は韓国 経済の成長の果実をすべて超国籍資本と財閥の手に渡し、労働者、農民、都市 貧民、零細自営業者の人生は崖っぷちに追い遣った。人口の1%が土地全体の 57%を持つ国で、全人口の15%ほどが絶対貧困の泥沼に落ちてもがく。李承晩政 権の下で、暮せないから変えようと叫んだ国民の絶叫は、ほぼ半世紀ぶりに今 回、反労働者・反民衆的な盧武鉉政権を痛烈に審判した。しかしわれわれ労働 者民衆の悲劇は、さらに強力な新自由主義者であり、極右保守主義者に政権を すっかり任せたという点だ。 今更の話だが、資本主義国家で労働組合運動が活性化するかどうかはその社会 の政治と経済民主化の尺度だ。先日スウェーデン大使が言った言葉を思い出す。 彼は『労組の組織率が高まれば経済負担が高まるという誤解があるが、むしろ 産業界には大きな資産』だといった。産別労組と使用者団体の間で締結された 産別協約が経済問題の予測を可能にし、スウェーデンの産業の発展に寄与した という。しかし李明博の労組観は、以前彼が現代建設会長だった時の労組への 不当労働行為に留まらず、強固路線労組そのものをなくすと放言するところま できた。 資本主義市場経済を信奉し、資本主義を駆動する労働階級を徹底的に排除する 李明博の認識は、多くの国民に不幸な結果をもたらすだろう。すでにIMF国家不 渡り事態を体験してわれわれは社会的安全網がいかに不十分かを知った。非正 規職の拡大は国民経済を萎縮させ、労働者民衆の生活の質を落とす至急な問題 であることに共感した。そうした問題の解決のために、きちんとした産別体制 を整えようと主張して努力した。しかし李明博にはこうした問題への答はなく、 労働政策という概念がない。 李明博のすべての政策は、ただ企業を生かすということで要約できる。雇用の 問題でも非正規職の問題でも、李明博は『起業に良い環境』で解決すると言う。 年7%経済成長を達成すれば雇用は毎年60万増え、非正規職問題も解決すると主 張する。李明博にとって非正規職の問題は、高賃金体制での価格競争力を確保 するための資本の不可避な手段でしかないので、深刻に悩むようなことではな い。特に労働政策はなくても経済分野の主な公約には『労使関係法支配確立』 が堂々と位置している。法治主義という名で李明博政府が露骨な使用者への肩 入れし、いかに使用者の代弁をすることになるかは火を見るより明らかだ。 昨年、政府と韓国労総との野合で改悪された労働関係法も、経済人総連は彼ら の要求がすべて受け入れられなかったととぼけて見せたが、今では政府が先を 行く。韓国労総は全組合員の総意を集めると言って大げさに騒ぎ、労使発展財 団活性化と労組専従者賃金自主保障など、いくつかの既得権次元の要求を差し 出して李明博に投降した。民主労総は絵に描いた虎に転落して『踏まれれば揺 れる』という、戦術ではない戦術でようやく一年を越えている局面なのだから、 李明博の前途は順風満帆というものだ。 政府が実質的な使用者である公共部門を見ると、これもひどい状態だ。盧武鉉 政権が中断した公企業の民営化は再推進し、政府事業への民間の参加とアウト ソーシングを拡大することが特徴的だ。ガス、発電、水道など必須の公共サー ビスについて、盧武鉉政権は民営化の夢を捨てなかったばかりか、直接上場と 部分売却といった方式で拍車をかけていたが、李明博は国策銀行まで民営化す る勢いだ。地方自治体事業の民間委託と大々的なアウトソーシングは、官営に 寄生する地元のボスの腹を肥やすために国民の税金を払うことが明らかになっ たのに、李明博は相変らず公共部門で市場を拡大し、資本の利益に血眼になっ ているのだ。その渦中で公共部門労働者の将来はまたIMF直後から2000年以前の 状況に戻ることになる。 韓米FTA締結、韓EU FTA推進から一歩踏み出し、韓日FTA、韓中FTAなどすべての 経済ブロックとのFTAが積極的に推進されるだろう。営利病院の導入と自立型私 立高校の拡大など、資本が執拗に要求している内容は、まるでビル工事のよう に日ごとにさくさくと進められるだろう。最近のOECD会員国の2008年度平均経 済成長率の展望値が2.3%に下方調整されても、韓国は逆に5.2%に上方修正され た。不動産財閥と建設資本、そして超国籍資本の投機と持てる者たちの貪欲が 作る高い成長、しかし一般国民の所得の成長はその半分にも達せず、労働者民 衆の生活は日々疲弊していく。彼らが選んだ李明博大統領は初めから、国民で はなく建設資本の筆頭であり無分別な開発と破壊に先に立つ資本家だったから。 熱い湯に生きたカエルを入れれば驚いて飛び出すから生きる。冷たい水にカエ ルを入れて少しずつ水を暖めれば熱くなることも知らず、そのまま死ぬという、 よく知られた寓話がある。初のCEO大統領と歓呼する使用者団体の論評を見て、 特に労働者にとって李明博政府は実際にどんな姿で現れるのかが気になる。民 主労総の李錫行委員長の言葉で見れば、ひとまず李明博を熱湯と見ているよう だ。大統領選挙の直前、時事ジャーナルとのインタビューで李錫行委員長は、 李明博候補が当選すれば労働運動はさらに激しくなり、自分も戦って死ぬとい う覚悟をしていると言う。 これから民主労総が李明博大統領と交える戦いは、『殺そうとする者と生きよ うとする者の戦い』だという。死即生・生即死、おそらく一理はある言葉だが、 常に正しい言葉ではない。われわれが死を覚悟して政府と戦わなければならな かった時期は、実際のところ10年前にIMF外国為替危機の時からだった。金大中 政府は発足初期から労働者を水に入れて次第に火をたき始めた。それは整理解 雇制と派遣勤労の合法化として現れた。続いて盧武鉉政権は超国籍資本と財閥 の脇役の役割を自任し、非正規悪法制定、国民年金法改悪、労災補償保険法改 悪、私学法再改正、韓米FTA締結、労働関係法改悪で、労働三権の削減を強行し、 その過程で千人にのぼる拘束者を量産した。その10年を経てわれわれ労働者は すでに自力では脱出できないほど熱くなった水に閉じ込められ、身動きもでき ずに死を迎える境遇に置かれた。 この10年間、民主労総と各現場の有名な幹部と活動家は何を悩み、何を実践し たのか。今でもわれわれ労働者が生きのびる道は何か。それが李明博の当選を 見て、私自身が複雑な気持で投げた質問だ。たとえ今、私たちが死に至っても、 それは李明博のせいでない。 金大中と盧武鉉の時期を経て、熱くなる湯に浸っていても、愚かにもまだその 時ではないと粘った私たちの過ちだ。死ぬまで戦うより、勝つまで戦う知恵も 不足していたし、何度も危機を語りながら、それを跳び越える連帯は別の話だっ た。黄禹錫に熱狂し、シム・ヒョンレに歓呼し、李明博に駆せ参じる人波を見 れば、この10年を失った歳月と規定するのは極右保守政権ではなくまさにわれ われ労働者ではないだろうか。今は李明博を恐れる時ではなく、烏合の衆でも また集めて闘争の戦列を整え、槍と刀を研ぎ直す時だ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-12-27 15:47:47 / Last modified on 2007-12-27 15:47:48 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |