「民港、軍港、どちらも機能しない済州海軍基地」

安全な入出港を確保?...「朝三暮四のシミュレーションは源泉無効」

多くの議論の末に済州海軍基地クルーズ船舶2隻の安全な入出港が可能になると 結論が出たが、江汀村の住民をはじめ、政界、社会団体などは『朝三暮四の シミュレーションは源泉無効』と強く反発した。

西側の突出埠頭がない状況で行われた今回の第3次シミュレーションは、むしろ 突出埠頭があれば安全に深刻な問題があることが明らかになり、設計ミスと 安全性の議論がさらに加熱している。

政府と済州道が共同で構成したシミュレーションチームは1月31日、済州道庁で 記者会見を開き「シミュレーションの結果、近接度と制御度、運航者の主観的 評価ですべて基準を満足した」とし「15万トン級クルーズ船2隻の安全な入出港 が可能になると判断される」と明らかにした。

国務総理室は「済州海軍基地に15万トン クルーズ船の安全な入出港が確認され たので、海軍基地関連の議論が再現しないように関連部署と合同で後続対策を 作って齟齬なく進め、2015年までに世界的な観光美港として建設できるように 力量を集中する」と明らかにした。朴槿恵(パク・クネ)大統領当選者は、中断 なく海軍基地を建設すると公約していた。

しかし江汀村会をはじめとする反対団体は「今回のシミュレーションは泥棒猫 に魚を任せるような『要式行為』でしかない」と公式発表前から一部のマスコ ミに何の問題もなかったという結果が報道されたことは、「あらかじめ結論を 決めておいたことによるもの」と強く反発した。

江汀村会と済州海軍基地建設阻止のための全国対策会議、軍事基地阻止と平和 の島実現のため汎道民対策委員会は2月1日午前、ソウル政府総合庁舎前で記者 会見を行い「設計ミスが再確認された今回のシミュレーションは源泉無効」と 主張した。同じ頃、済州道議会道民室でも記者会見が開かれた。

シミュレーション、突堤埠頭自体をなくした条件で施行
「機動艦隊収容不可能...海軍基地収容能力が大幅に減少」
江汀村会など「設計変更、工事中断は不可避」

今回のシミュレーションは可変式突堤埠頭ではなく、突堤埠頭そのものをなく した条件で施行された。

江汀村会などは記者会見で、イ・ドンソプ示現チーム長が「西側突堤埠頭があ る場合については答えるのは難しい。最悪の条件では突堤埠頭があってはいけ ないという結論」と述べたとし、「西側突堤埠頭をなくす設計は、民軍複合港 がきちんと民港の機能を遂行できないだけでなく、軍港機能もきちんと遂行で きないという深刻な問題があることを意味する」と主張した。

示現報告書の研究院総合意見1項(済州軍民複合型観光美港クルーズ船操縦シミュ レーション報告書、17ページ)でも、西側突堤埠頭を完全になくす実施設計変更 を要求した。

報告書は「突堤埠頭がない」とし「港湾入口部での進入速度は老舗、防波堤と 船舶間の隔離距離が短い場合があるので最悪の外力条件下では港湾に入出港す るチョソンジャは差し押さえに注意する必要がある。シミュレーション条件と 同じ航路環境および航路標識が必要だ」と明らかにした。

機動艦隊を受け入れなければならない海軍基地の受け入れ能力も争点に浮上し た。当初、済州海軍基地は24隻の艦艇が同時接岸できる軍事基地として設計さ れた。海軍基地の計画が民軍複観光美港に変わり、南防波堤と西防波堤はクルー ズ接岸施設として貿易港に指定された。軍港機能を失えば5船席が減る結果を招 く。ここに今回のシミュレーションの条件である突堤埠頭をなくすと、さらに 3〜4船席が減る。

江汀村会などは、そのため「西側突堤埠頭がなくなる設計は、済州軍民複合港 が民港の機能をきちんと遂行できないだけでなく、軍港機能もまともに遂行で きない深刻な問題があることを意味する」とし「機動艦隊を受け入れなければ ならない済州海軍基地の受け入れ能力が大幅に減少するためだ」と主張した。

今回のシミュレーションに参加した造船会社は「港入口の流れに注意が要求さ れる」という意見を出した。15万トン級クルーズ船の旋回場は、『港湾および 漁港設計基準』により、対象船舶の長さの2倍の690mが必要だが、海軍基地旋回 場は520mで設計され、とても狭いと指摘されてきた。南防波堤に大型の空母や 大型船埠頭にKDX-III以上の艦船が接岸すると、旋回場の半径はさらに小さくな り、クルーズ船の入出港と接岸の安全性はさらに下がる。

▲当初済州海軍基地は24隻の艦艇が同時接岸可能な軍事基地と設計された。

また今回のシミュレーションは、その前に行われた1次、2次シミュレーション の結果を無視して行われたため、議論がさらに加重される。

江汀村会などは「報告書の『シミュレーション条件と同じ航路環境と航路標識 が必要』という、文字通り航路の心配と潮流などの海洋環境を、シミュレーショ ンのに適用した環境に合わせろという意味だと思われる」とし「環境影響評価 や文化財現状変更手続きもせず施行された今回の3次シミュレーションの拙速性 をそのまま示す結果」と批判した。

平和と統一を開く人々のオ・ヘラン事務局長は、「これほど問題が多い海軍基 地設計ミスなのに、3次シミュレーションは1次、2次と較べ、何が同じで、何が 問題なのか、はっきり国民に明らかにしなければならないが、何の資料もない」 とし「安全性を誰が確認し担保するのかに答えろ」と訴えた。

また、「専門家が6か月の時間が必要だと主張したが、結局2日で検証が終わっ たのは理解できない結果だ」とし「接岸・離岸の安全性を保障するには設計の 変更と工事中断は避けられない」と主張した。

政界「まともな検証ない海軍基地の不法建設強行をやめろ」

政界も批判をし始めた。進歩正義党のチョ・ジュノ共同代表をはじめ、宋在英 (ソン・ジェヨン)最高委員、朴元錫(パク・ウォンソク)院内首席代表、金霽南 (キム・ジェナム)、ソ・ギホ、チョン・ジヌ国会議員は2月1日、済州道議会道 民の部屋で記者会見を行い、「まともな検証のない済州海軍基地の不法建設の 強行をやめろ」と主張した。

彼らは「まともな検証が終わるまで工事予算が配分してはならず、国家契約法 により予算が配分されていないすべての国家事業を中断しろ」として「海軍と 政府は軍民複合型観光美港と言っているが、その証拠はどこにもなく、昨日、 問題ないと結論が出たシミュレーション検証も非公開に拙速的に行われた」と 批判した。

済州道議会の民主統合党に所属する議員17人は共同声明を出しシミュレーション の結果発表がすべての議論の終止符ではないという立場を明らかにした。

彼らはシミュレーションで仮定した最悪の状況で、15万トン級クルーズ船2隻が 同時接岸するためには、突堤埠頭があってはならないという事実が明らかになっ た点を指摘した。

突堤埠頭を可変式にすれば良いという主張も、現実的には説得力がないと彼ら は主張している。

民主統合党の議員は「シミュレーションの結果発表が海軍基地をめぐるすべて の議論の終止符でなく、さらに細かく真摯に接近する出発点でなければならな い」とし「シミュレーションで研究院や造船会社が提示した意見を政府は完全 に受け入れなければならない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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