生命平和大行進、一日でも来ることができるなら
[寄稿] 20日に智異山実相寺、23日に聞慶セゼ、28日に始まる万民共同会で...
希望と叫びを込め、希望の生命平和大行進は今日も歩く
キム・ドクチン(カトリック人権委員会事務局長) 2012.10.15 00:16
一緒に暮らそう! 皆が空だ
共に歩こう! 江汀からソウルまで
李明博大統領の就任から1年もたたない2009年1月20日の竜山に、1986年アジア
競技大会と1988年オリンピックを控え、米国の警察特殊機動隊(SWAT-Special
Weapons and Tactics)を真似て作った対テロ鎮圧専門の警察特殊部隊が都心の
真ん中に出動した。再開発という名で追い出される撤去民は櫓を作り、自ら閉
じこもったが『資本のツエ』である国家公権力は、撤去民五人と警察特殊部隊
1人を死に追いやった。この日の事件で撤去民10人が拘束され、そのうち8人は
4年たった今も監獄から出てこられない。
竜山惨事が起きてから半年後の平沢、突然の整理解雇で街頭に追い出された
2646人の双竜自動車の解雇労働者たちが、77日間、水も、電気も、食べ物も、
タバコもなく玉砕ストライキをしていたあの熱い夏、棒と盾を振り回し、双竜
自動車平沢工場の屋根の上を飛び回った警察特殊部隊は結局、労働者の顔を狙っ
て5万ボルトの電気が流れるテイザー・ガンを撃ちまくった。玉砕ストライキが
終わった日、96人が連行され、そのうち64人が拘束された。あの残酷な日から
23人の解雇労働者とその家族が恥辱感とトラウマに苦しんで自ら命を絶ったり、
疾病にかかり、まともに治療もできずに亡くなってしまった。
2011年、李明博政権の三回目の夏、陸地から数百人の警察が済州に入ってきた。
正当性など微塵もない済州道江汀村の海軍基地工事現場周辺に接近を統制する
フェンスを作り、用役会社の職員の前に警察の公権力が投入された。その日の
後、江汀村では住民や平和活動家、カトリック司祭と修道者、キリスト教牧師
を含み、数百人が逮捕され、3億ウォン近い罰金が賦課され、今この瞬間も6人
の住民と平和活動家が済州刑務所に収監されている。
双竜(S)、江汀(K)、竜山(Y)は、李明博政権の時代に資本のために追い出され、
国家公権力の暴力の犠牲になった最も代表的な事件だ。われわれのSKY(空)は、
予備校にそれぞれ別途の進学コースが用意されているソウルの名門大のイニシャ
ルではない。整理解雇されたり非正規職雇用不安に苦しむ労働者の生と権利、
人間の貪欲で破壊される自然と死んでいく生命、安保の名で破壊される平和、
資本の利益のために道端で座り込まなければならない人々を象徴する。社会の
せいぜい1%が権力と富を独占し、『空』に君臨する世の中ではなく、職場から
追い出されたり生活の空間を奪われた人々が、まさにこの土地の主人であり、
『空』であることを宣言する単語だ。
[出処:生命平和大行進カフェ]
6月に発足したSKY Actは「一緒に暮らそう」という素朴なシュプレヒコールを
あげて、この恐ろしい世の中の権力と資本に抵抗する人々の、貧しくても勇敢
な連帯だ。相手を踏みつけて、勝ち抜くための戦いではなく、差別と不平等を
越え、皆が同じように一緒に生きていくための暖かく淡々とした戦いを始めた
のだ。
こうした気持ちを集めて「一緒に暮らそう! 皆が空だ。共に歩こう! 江汀から
ソウルまで」というスローガンで、去る10月5日、2012生命平和大行進が江汀を
出発した。全国の現場で出会った人々の痛みを胸に美しく込めて、11月3日には
ソウル市庁広場にこの土地の本当の「空」が集まり、世の中を変える変化の風
を吹かせようという希望の大行進が始まったのだ。
2012生命平和大行進は、双竜自動車整理解雇労働者の完全な復職、住民の同意
なく江汀村に建設されている済州海軍基地建設白紙化、竜山惨事の真相究明と
拘束者釈放などのSKYActの要求はもちろん、非正規職撤廃、4大河川原状回復、
核発電政策廃棄、ゴルフ場乱開発中断、高圧送電塔建設中止、大型スーパー
路地商圏進出中断など、全国で向き合っている社会構成員の生存のための要求
をすべて大行進の議題にしてソウルへと向かう。庶民の声、現場の要求がかき
消される大統領選挙政局で、2012生命平和大行進は堂々たる一歩を静かに踏み出す。
10月5日、済州港で生まれて初めて体験するとんでもない経験
大行進が始まった10月5日、私は済州港で生まれて初めて体験するとんでもない
事件を経験した。2012生命平和大行進の事務局長の私は、済州道庁の前で出征
記者会見を終え、大行進団が徒歩で済州港へと行進している間、大行進の最初
の夜を過ごす木浦へと行く大型クルーズのチケットを買うために参加者の生年
月日を書いて、一歩先に済州港に到着した。
大行進の実務チームと共にS高速フェリーの切符窓口で、船便を利用する47人の
チケットを購入すると話しかけた後、S高速フェリーの職員がしていた対話を聞
いた。われわれはまだ乗船者のリストを職員に渡してもいないのに、47人とい
う言葉を聞いただけである職員A氏が職員Bに「さっき切符を売ってくれと言っ
た人がいたでしょう?」と尋ね、質問された職員Bは職員Aに小さなメモを渡し
た。職員Aは五人分の切符は売るなと指示されたと言って42人のチケットだけを
売ると平然と話した。
おかしいと思った私はそのリストを見せてくれと言った。またメモを渡された
職員Bは純粋にも私にそのメモを見せ、私はそのメモをこっそり受け取った。そ
のメモには私の名前と生年月日、イ・テホ参与連帯事務局長の名前と生年月日
(メモには「イ・テフ」と書かれていた)、カン・ドンギュン江汀村会長とホン・
ギリョン(メッセージには「ホン・ギルヨン」と書かれていた)済州軍事基地建設
阻止のための汎道民対策委員会執行委員長、シン・ヨンイン済州大学校法学専門
大学院教授の名前と生年月日が記されていた。
薄いコーティングまでされていたそのメモを見て、私の頭の中には多くの思い
が駆け巡った。『今年の初めに大法院で上告が棄却された集示法違反事件罰金
はすでに払ったし、6月の希望歩くイベントで警察の召喚を受けたことはあるが
まだ3次召喚状も受け取っていないし、手配や起訴中止をしたはずもないのに、
いったいこれはどういうことか?』、『大行進団が最初から止めることはでき
ないが、カン・ドンギュン江汀村会長も船に乗れないのなら、大行進は最初
からとても揺れるのではないのか?』あらゆる考えが通り過ぎた。
▲乗船拒否リストの前(左)と後(右)
私は興奮したが、とても静かに低い声で職員Aと職員Bにこの五人を乗せるなと
行ったのは誰なのか、私と電話するか会わせてくれと要請した。これは、大変
重要な問題で、二人はかなり苦しい状況に置かれるかもしれないという事実も
親切に説明した。当然職員の誤りのはずもなく、その職員ともめごとを繰り広
げる気持ちは全くなかった。職員Aは海上警察に連絡し、担当者がすぐ来るだろ
うと私に言った。それで私は待つことにしたが、大行進団の見送りに先に港に
来ていた江汀村の住民がこの事実を知って、激しく抗議し始めた。
職員Aと職員Bはあちこちに電話をして、急いで私を呼んで「ひとまず五人の
チケットは切ります。どうせ船に乗る前に身分証検査をしますから」という
妙な言葉を残した。われわれはひとまず47人のリストを渡し、江汀村バスを
含み、船賃約120万ウォンを決裁した。職員に私たちを船に乗せるなと言ったのは
誰かと再度尋ねたが、職員は何の指示を受けたのか、口を開かなかった。
すると職員の中で一番古参と思われる男子職員Cが現れた。職員Bから渡された
メモを見せながら状況を説明すると、職員Cは職員Bと一緒にキップ売場の後に
消えた。職員Bはほとんど泣きそうな表情で現れて、また切符を販売し始めた。
職員Cは自分の会社の責任者である本部長がくることになったので待ってくれと
話した。私はむしろ他の人たちをなだめながら、待ってみようといったが、30
分経っても本部長はこなかった。搭乗時間が30分も残っていない状況で、
こうして時間を無駄にしてばかりはいられなかった。
知らせを聞いた地域新聞の記者が集まり始め、警察の情報官も現れた。普段、
顔見知りだった済州情報官は、私に一部始終を聞き、警察は全くそんな事実は
ないと言った。海上警察にも電話してみたが、海上警察も知らないと言ってい
たと言う。警察でも海上警察でもなければ、いったい誰がそんな指示を出せる
かと抗議すると、その情報官もおかしいなと当惑していた。
大行進団が港に到着して船の出発時間まで15分も残っていない状況で、本部長
という人がきた。彼は何か用かと高圧的な態度で現れて、私にリストを書いた
メモを見せろといった。私が取り出して見せると、彼はそのメモをさっとひっ
たくり、くしゃくしゃにして後に隠し、なぜお前がこのメモを持っているのか
と私に怒鳴りつけ始めた。またメモは取り返したが、彼は結局切符を売ってやっ
たじゃないか、われわれはよく搭乗者リストを知らせるんだなど、あれこれと
言いながら、取り囲んでいた私たちを押し退けて告訴したければ勝手にしろと
怒鳴りながらその場から逃げた。職員Bは結局泣き出してしまった。
済州に残る人に後を頼み、出発時間に追われたわれわれは身分証検査もせずに
船に搭乗した。木浦に到着してから昼に誰かがきて、搭乗者リストに5人の名前
があるかというメモを作り、確認して行ったと職員が話していたという消息を
聞いた。あきれざるをえない。誰かもわからない人に、搭乗予約という大切な
個人情報を公開し、その人の話を聞いて私たちに切符を売るなと堂々と言った
など、なぜ信じられるだろうか。明らかに隠しているものがある。職員は緘口
を命じられ、本部長という幹部は適当に事件を納めろという任務を与えられた
のだろう。
本来、私の誕生日は3月10日だが、住民登録上の誕生日は2月18日になっている。
ただ「戸籍が誤っている」という事情ではなく、公式な戸籍訂正をして誕生日
を変更した。私の住民登録抄本には、3月10日を二本線で消して2月18日に修正
されている部分が確認できる。私のミニホームページやFaceBook、ネイトオン
メッセンジャーなど、誕生日が公開されるすべての所には、私の本来の誕生日
である3月10日と記載されている。誕生祝も毎年3月10日にする。したがって、
公開された身上情報だけでは警察などの公権力でなければ住民登録上の私の
誕生日を知ることはできない。
また、イ・テホ処長やホン・ギリョン執行委員長の名前を間違って書いていた
のは、電話や無線で通知され、リストを作成したためだと推測できる。変なの
は、誰かが来てリストを渡したと職員が証言をしたが、メモの片面だけに薄く
コーティングされていたことと、裏紙に出力したと思われる裏面には、「休航
日数:1日」という文字がプリントされている点だ。誰が見ても『航海』に関連
するところで使っていた紙なので、S高速フェリー会社か海上警察が、誰かから
電話などでリストを伝達されて作成したものと推測することができる。
李明博政権が一番隠したい部分を暴きに行く大行進
誰かが2012生命平和大行進を妨害する目的を持っていたと思う。李明博政権が
一番隠したい部分をあばくために全国を歩き回るという大行進が気に障ったの
だろう。李明博政権を受け継ぐ政府与党の大統領候補にとっても、われわれの
大行進は嬉しいものであるはずがない。誰が指示したとしても深刻な個人情報
の流出で、人権侵害であることに間違いない「乗船拒否事件」、または「個人
情報流出事件」の真相は、必ず明らかにしなければならない。
済州江汀を出発した2012大行進団は、木浦、光州、光陽、順天、宝城、公州、
大田、馬山、昌原、古里、密陽、清道、金海を経て、今また亀尾、大邱、釜山、
全州、智異山実相寺(民会)、群山、清州、聞慶、槐山、東海、三陟、原州、驪州を
経て、平沢で万民共同会を開き、烏山、水原、安山、仁川を経てソウルに入城
する。整理解雇労働者、非正規職労働者、標的・懲戒解雇労働者、台風被害の
現実的補償と基礎農産物の国家買取を主張する農民、4大河川事業被害地域と
核発電所周辺住民、高圧送電塔建設で追い出されるおばあさん・おじいさん、
追い出される危機に置かれた賃貸住宅の住民など、今まで出会った人々よりも
多くの人々のところを訪問して会う。
大きな声と華麗な光に埋もれた私たちの声と現実。彼らが本当に聞くことがで
きず、見ることができないのか、無理に目を閉じ、耳を塞いだのか、知ってい
る人はもう誰もが知っている。竜山惨事を扱ったドキュメンタリー映画、二つ
の扉で、人権活動家のパク・チンはこう話す。「私たちは、竜山惨事を犯した
国家暴力を我慢した。だから双竜自動車の暴力鎮圧が可能だった。いつまで
私たちが我慢してやるのか気になる」
われわれは小さい頃から『耐え忍ぶ人が三人いれば殺人も逃げる』という言葉
を聞いて、忍耐を人格修養の尺度として、生活の美徳と思えと強要されながら
生きてきた。だが昨年、九十を遥かに越えたフランスのレジスタンス出身の老
闘士、ステファン・エセルの本「怒れ」は、全世界に大きな反響を残したのは
示唆するものが大きい。私はその本を、次のように一行でまとめる。「社会の
不条理と不当、差別と抑圧に無関心な者たちよ。『今すぐ』、『今ここで』怒れ」
不当な国家権力と社会的責任を全うしない資本に対して怒るのは、社会構成員
の義務であり責任だ。その義務と責任を全うするために、ある者は街頭に出て、
ある者は文を書き、ある者は絵を描き、ある者は自分の持ち場で働く。そして
われわれは、投票でその義務と責任を全うしなければならない。
あの多くのスケジュールの中に一日も重要ではない日はない。だがもしたった
一日だけ来るのなら、10月20日(土)智異山実相寺で開かれる民会と、10月23日
(火)の聞慶セゼを皆で同じように歩いて越える聞慶セゼのイベント、10月28日
(月)から始まる万民共同会には、話したいことがある人々はぜひ出席してほし
い。そして11月3日(土)「希望バス」に乗って各自の希望を込めてソウル広場に
集まる日には、天気が良ければいい。多くの人々の希望と絶叫を込めて、さらに
多くの人々の後援と応援を背にして希望の生命平和大行進は今日も歩く。
生命平和大行進公式カフェ:http://cafe.daum.net/walk4peace
生命平和大行進公式後援口座:国民銀行 661301-04-093549 ムン・ジョンヒョン(平和大行進)
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
Created byStaff.
Created on 2012-10-16 08:28:59 / Last modified on 2012-10-16 08:29:00 Copyright:
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