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ケア労働者は誰がケアするのか?

[連続寄稿]低出産・高齢化2次基本計画を廃棄しろ(1)

パク・チヨン(全国ケア労働者大会企画団) 2010.10.12 10:59

[編集者注] 10月16日(土)2時から鍾路普信閣で全国ケア労働者大会が開かれ る。保育教師、介護人、障害者活動補助人、療養保護士などが一か所に集まり、 ケア労働者の労働権を保証しろと叫ぶ。最近政府が出した低出産・高齢化 2次 基本計画をケア労働者の視線で批判し、ケア労働者の座談会を整理した文を連 続で寄稿し、全国ケア労働者大会の意味を伝えたい。

誰もケアしないケア労働者

今までケア労働者は長い間『見えない幽霊』であるかのように、誰かの人生を ケアして生きてきた。ケア労働者の労働によって誰かは生活を続けていったが、 そのケア労働者の生活は苦しく、不安定だった。保育教師は一日10時間以上働 いても100万ウォンほどの月給で、最近では保育室内のCCTV、IPTVにより一日中、 一挙手一投足を監視されて働いている。障害者活動補助人とリハビリ療養保護 士は、団体が紹介する老人や障害者の家で日常生活、家事活動、外出などの社 会活動を支援して1時間4000〜6000ウォンの時給を受ける。

最もつらいのは、利用者が紹介されなければ事実上の解雇状態になり、利用者 の月利用時間によって賃金は毎月変動する。付添労働者の場合はこれよりさら に劣悪だ。毎日24時間、日曜から土曜の午前まで、まともに休むことも、寝る こともできずに働くのが現実だ。頻繁な労災の補償、超過勤務手当など、資本 の費用を減らすため、付添労働者に特殊雇用労働者というくびきをかけて、あ らゆる権利を剥奪している。

政府と社会構造がケア労働者を低賃金不安定労働者に追いやる

[出処:チャムセサン資料写真]

90年代から、保育教師や付添労働者は保育園や病院で出会ってきたが、障害者 の活動補助人や療養保護士は最近出来た雇用だ。いつの間にか、私たちの周辺 には老人の世話をする人、子供の世話をする人、産婦の新生児の世話をする人 など、多くの世話をする人が生まれた。

政府は、経済危機の時代における失業問題の解決、福祉を拡充するための雇用 を作ると言い放ってきた。しかし、政府が量産した雇用はこのような月給も不 確実で、失業と雇用を繰り返し、とても生活が出来ない『非正規職雇用』だ。 ケア労働者に政府が低賃金不安定労働を強要できるのは、ケア労働が女性の仕 事で、女性なら誰でも簡単にできるだろうという社会的な通念があるためだ。 そして、生活の危機の中で女性たちはこうした通念を変える以前に、まず生計 を維持する手段が必要だった。

通念と生計維持の必要性を政府はこのように利用している。多くのケア事業は ほとんどが民間領域で行なわれる。政府は小資本を持つ人は誰もが飛び込み、 労働者を搾取し、利用者を搾取して金を稼げる構造を作ってきた。そして、今 回の低出産・高齢化2次基本計画では、これをさらに露骨にしている。

社会サービスの露骨な市場化強化政策

今回の低出産・高齢化2次基本計画では『公共型・自律型保育園導入』 『嬰児 ケア市場制度化』が登場した。自律型保育園は、毎年決まる上限線に縛られて いた保育料を自主的に決められる保育園だ。自律型保育園が登場すれば、まず 保育園使用者は保育料を上げて利益を増やそうとするだろう。増えた保育園の 収入は、しかし保育教師を補充して保育教師の労働時間を減らすことにはつな がらないだろう。同じ教師の数と労働時間内で高まった父母の期待に応えるた めに、保育教師の労働はその強度が何倍にも強化されるだろう。ここに政府は 嬰児ケア市場を制度化するという。

すでに乱立している裁可療養機関で、市場での競争はケア労働者の賃金を下落 させ、利用者でない利用者家族の欲求を満す不当な労働を強要してきた。ケア 労働者がケアサービスの市場化に反対するのは、ケアサービス市場内での搾取 と耐えがたい自己恥辱感を味わってきたからだ。市場化とケア労働者の労働権 は両立しないことを全身で経験してきたためだ。

ケア労働者の労働権の保障ない犠牲と責任の強要

低出産・高齢化2次基本計画には、ケア労働者の労働権を保障する措置は何も含 まれていない。『療養保護士の力量強化でサービスの質を向上』すると共に、 むしろ労働権の保障なく、犠牲と責任を強要している。有望職種であるかのよ うに言う民間教育機関と民間療養機関の宣伝の中に、療養保護士は80万人以上 が養成された。この中で働く療養保護士はたった20万人だ。

しかし老人長期療養制度のあらゆる問題は、市場化に起因するのに政府はその 原因を療養保護士の資質問題にして、試験制度と力量強化を強要している。ケ ア労働者の養成の過程で、公的な計画と現場で働きながら日常的に教育訓練を 受ける権利を保障せず、一人一人の努力と責任だけを強調している。これは、 権利のない義務で、ケア労働者には受け入れられない。

公的年金の後退、医療の公共性脱却

低出産・高齢化2次基本計画には『個人年金商品開発促進のための関連規制緩和』 と『健康管理サービス利用バウチャー支援』という内容も登場した。公的年金 と医療公共性はケア労働者だけでなく、韓国の労働者民衆にとって切実な問題だ。

しかし今日の食事も心配なケア労働者のような低賃金、女性労働者は健康を省 みる余裕も、未来の老後を準備する余力も存在しない。本当の低出産・高齢化 計画は、低賃金、女性労働者が歳を取っても最低限の人間としての尊厳を守り、 健康な老後を送れる計画でなければならない。

[出処:チャムセサン資料写真]

ケア労働者の名で政府の低出産・高齢化計画に反対しよう

進歩陣営では、今回の低出産・高齢化2次基本計画に多くの批判と反対の声があ がっている。ケア労働者は、低出産・高齢化2次基本計画に対してケア労働者の 立場で批判し、一つの主体になろうとしている。今回の10月16日(土)全国ケア 労働者大会を契機に、低出産・高齢化計画は労働者民衆にとっては災いだと暴 露し、ケア労働者に強要される不当な通念と労働条件を変える堂々とした主体 として立ちあがる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-10-13 07:34:05 / Last modified on 2010-10-13 07:34:06 Copyright: Default

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