韓国:「事故原因は下請け、下請け」 | |||||||
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「事故原因は下請け、下請け」化学物質関連事故で一年平均95人死亡
ユン・テウ記者 2015.11.24 12:49
化学物質はその種類によって火気や空気と敏感な反応をしやすい物質だ。 そのために国家産団内での作業は化学物質が火気や空気などと反応を起こさないように留意しながら行われる。 溶接などの火気を使う作業をする前に化学物質を完全に除去する手順を踏む。 一部の作業に対しては、元請業者が直接する義務がある「直接施工義務」もある。 外注する場合は化学物質に対する情報を正確に把握せずに安全上の問題を起こしかねないからだ。 化学物質を扱うに当たり、安全上の問題が発生しないようにするさまざまな装置の一つが下請けを部分的ながら禁止する制度である。 化学物質が大量に取り扱われる産団では、下請けは時限爆弾だ。 7月に蔚山ハナ・ケミカル工場で発生した爆発事故は、下請企業労働者6人の命を奪った。 この10年間で化学物質関連の事故で毎年平均95人の労働者が亡くなった。 このうちのほとんどが下請企業労働者だ。 最近、化学事故亡くなった労働者を見てもそうだ。 1月に京畿道坡州市で起きたLGディスプレーのガス漏出事故で下請企業労働者3人が亡くなり、 4月に京畿道利川市であったエスケイハイニクスのガス漏出事故では下請企業労働者3人、 7月に起きたハナ・ケミカル蔚山第2工場の爆発事故では下請企業労働者6人が亡くなった。 今年に入って全国で発生した化学物質事故件数は、上半期だけですでに10件を遥かに超え、20余人の下請企業労働者が亡くなった。 化学物質関連の危険業務の外注化が一度や二度ではないうえ、 「甲」の位置にある元請業者が化学物質安全管理を疎かにする慣行が、 化学物質事故により下請労働者が立て続けに亡くなる決定的な原因に選ばれる。 昨年、ユ・ハンボン蔚山雇用労働支庁長(当時)も蔚山工団で起きる危険事故の原因が下請け体系にあるという趣旨の話をした(2014年5月23日、産団企業体工場長懇談会)。 2013年の蔚山地域化学物質事故発生87件のうち31件は、 施設管理不十分、35件は作業者不注意、21件は運搬車量によるものだった。 ほとんどがいわゆるヒューマン・エラー、つまり人災だったのだ。 蔚山化学災難合同防災センター環境チームのイム・ヨンスン工業研究官は 「(化学工団で起きる)事故の原因はヒューマン・エラー(不完全行動)であることが多い。 作業者のミスによる事故が86〜93%にのぼる」と話した。 外注する構造的な原因が人命事故を再生産しているという声を上げなければならない。 下請けによる事故を防ぐために建設産業基本法は一部の工程は直接施工するようにしている。 だが現場でこのような規制はきちんと守られていない。 2013年に大韓建設協会が発刊した民間建設白書を見れば、 建設業者に対する課徴金の理由のうち一番多いケースが「直接施工義務違反」など下請けに関する理由だった。 課徴金の処分を受けた事例のうち、下請け制限の規定の違反が32.1%で、 直接施工義務違反と下請け虚偽通知はそれぞれ27.2%、9.9%だった。 下請けの悪夢…麗水産業団地爆発事故「弟よ、屋根の上に一緒にいた仲間たちはどこ行ったのか 麗水国家産団と蔚山国家産団は似ている。 すぐ目につく点は、全国で一番多くの化学物質を取り扱う所だという点だ。 蔚山市には温山国家産業団地と蔚山尾浦国家産業団地の2か所の国家産業団地があり、 一般産団が18か所、農工産団が4か所ある。 このうち国家産団である温山国家産団と蔚山尾浦国家産団で化学物質が大量に取り扱われる。 2012年基準で見れば、麗水国家産団(5226万2000トン)が全国で一番多くの量が取り扱われたのに続いて、 蔚山尾浦国家産団は4073万7000トン、温山国家産団は1695万2000トンが取り扱われた。 全国国家産団の化学物質総取り扱い量(1億2580万5000トン)と較べれば、 それぞれ25.8%、10.7%を占めている。 麗水国家産団も蔚山の二つの国家産団を合わせた程度だ。 麗水と蔚山の国家産団化学物質取り扱い量は全国の取り扱い量の半分を超える。 麗水と蔚山に化学物質が大挙集まっているのだ。 それだけ危険なところだ。 一度事故がおきれば大事故につながる危険が高い。 2013年3月14日、麗水国家産業団地内のデリム産業工場で化学物質の爆発事故が起きた。 高密度ポリエチレン(HDPE)保存塔が2回爆発したのだ。 整備作業中だった労働者6人が亡くなり、11人が重傷を負った。 近くにいた数十人が2次被害を受けた。 17人のうち15人は下請企業が再下請に出した「再下請企業」所属の超短期契約職労働者であった。 彼ら労働者はデリム産業の下請企業であるユハン技術が再下請に出した業者が集めた人なので、 化学物質関連情報などの現場情報をきちんと伝えられないまま、危険な現場に投入されたという指摘が出た。 同じように、下請企業労働者6人の命を奪った蔚山のハナ・ケミカル爆発事故もあまり違わない。 麗水国家産団爆発事故の後、警察は「(事故が)保存塔の中に残っていたポリエチレンの粉末から発生したガスに溶接の火花が引火して爆発が起きたと推定される」と明らかにした。 警察は「国立科学捜査研究院は、事故がおきた3か所の保存塔で多量のポリエチレン粉末を確認した」とし 「保存塔にマンホールを設置するための切断過程で、熱い破片が内部の粉末に飛び、ブタンなどの可燃性ガスが発生し、 溶接の火花がこのガスに引火して爆発したと見られる」と話した。 元請業者が工事前に保存塔内部の化学物質をきちんと除去しなかったために惨事が発生したのだ。 爆発は当初一つの保存塔の中だけで発生したが、周辺施設などに影響を与え、 近くの保存塔にあったガスにも連続して爆発する「2次爆発」が起きたという調査結果もあった。 手続きを無視した作業は、爆発に次ぐ再爆発を繰り返した末に人命を奪った。 下請けは麗水国家産団爆発事故の主要原因とされた。 作業現場では日常的に下請けが行われる。 再下請けを称する「モジャク」が繰り返され、モジャクが繰り返されるほど再下請企業の作業予算は減る。 予算が減っただけ業者は人件費を減らすので、工期が短縮される。 作業を早く終えるには手続きを無視しなければならない。 化学物質工場では手続きを無視した作業は特に危険だ。悪循環だ。 その上、下請けはたびたび口頭で行われる。 麗水国家産団デリム産業の爆発事故当時、犠牲者は誰からも高密度ポリエチレン保存塔内部の物質についての情報を聞いていなかった。 下請けが重なるほど、労働者たちは化学物質情報を認知できなくなる。 危険は再下請けが重なるほど増幅され、労働者は危険を認知できない。 危険があっても作業をせざるを得ないので、あるいは知らずにする方がましなのだろうか。 麗水国家産団爆発事故の犠牲者のうち、再下請企業所属の労働者15人は足場班だった。 施設の上に人々が通る踏み台を設置する人たちを足場工と呼ぶ。 彼らの仕事の材料は固定的ではない。 毎年行う整備・保守作業の時は仕事が多いが、そうではない時は仕事がない時もある。 明確な所属なく仕事を探してあちこちをさまよう。 15人のうちほとんどが麗水や全南地域の出身だが、仕事を探して蔚山石油化学団地に働きに行く。 麗水でも、蔚山でも、作業環境はあまり違わないだろう。 蔚山大学校のキム・ソクテク教授は 「産団にある下請企業労働者数等の現況を把握するのは難しい」が、 「石油化学工団の場合、およそ25%程度が下請企業労働者だろう。 場合によっては40%になることもある」と話した。 キム・ソクテク教授は「整備業務などをはじめ、本来は元請業者の職員がほとんどの業務を引き受けていた。 1997年の外国為替危機(IMF)の後に急速に下請けになった」とし 「安全関連の部分に元請業者が責任を持たせなければならない。 安全業務を下請企業に任せ、事故責任も押し付けようとしているのが現実」と指摘した。 付記
ユン・テウ記者は蔚山ジャーナル記者です。この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2015-11-25 02:11:13 / Last modified on 2015-11-25 02:11:14 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |