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半導体白血病、死んでいく人々がまさに証拠[連続企画](5)職業病という証拠を出せ、イ・ユンジョン他約150人
ヒジョン(執筆労働者) 2011.11.29 19:58
イ・ユンジョン。1980年生まれ、女性。1997年にサムスン電子半導体温陽工場 入社、6年間高温テスト業務。退職後2010年に脳ガン判定、他150余人。 ユンジョン氏は病気彼女は終日目をとじている。寝ているのではない。目を開く気力もないという。 誰か見舞いにくると、介護人が彼女のまぶたを持ち上げる。その時始めて彼女 は瞳を動かして人を見る。時には看護師がきて、ユンジョン氏に手を動かして みろ、足を動かしてみろという。反応がなければ看護師はユンジョン氏の手と 足をつねる。刺激を受けた手足がその時始めてかすかに動く。いつかあの動き も止まるかもしれない。 ユンジョン氏に初めて会った時、医師は彼女に一年を宣告した。パノルリムの 人々は、ユンジョン氏に医者は最悪の状況で診断するといった。ユンジョン氏 はその言葉を信じようとしていた。そして1年経ち、彼女はとにかく期間を 越えて生きながらえている。 彼女との初めてのインタビューがまだ記憶に残っている。彼女がとても嫌がっ ていたためだ。脳を開く大手術を受けた彼女は、お客さんがうれしくなかった。 その上、自分の病気が職業病なのかという質問は避けたかった。残る人生をゆっ くり送りたいという。彼女はサムスンという企業がいかに巨大かを知っている といった。彼らが素直に認めるわけがない。いくらも残っていない人生を戦って 過ごすことはできなかった。 その上、サムスン半導体に通った6年を思い出すのは大変だという。 彼女は6年間の話した。 「大変だったということしか考えられません」。 ▲半導体白血病被害労働者家族[出処:パノルリム(http://cafe.daum.net/samsunglabor)] 昼夜なく働いた。少しも座ることもなく、半導体チップを機械に入れては抜く 作業を繰り返した。機械を開けると悪い臭いがした。焼けたチップから出る黒 い粉塵が鼻と口に入った。それらの成分が何か、焼けた化学物質がどんな作用 をするのかは、検査もされなかった。一介の労働者のユンジョン氏が気にする 必要のない問題だった。彼女は何か考える余裕もなかった。不良が出れば機械 のアラームは鳴り続けた。時間がかかったり不良を見つけられなければ理由書 を書いて残業しなければならなかった。その時のユンジョン氏の年齢はやっと 19になったばかりだった。 彼女はくやしい、といった。職業病と認められる勝算がないことを知りつつ、 事が大きくなることを知りつつも、労災申請をした理由はここにあった。 「何も知らない子供たちを連れてきて... サムスンはずる賢いようです」。 彼女はくやしかった。それでも話した。後悔しないと。 「することをすべてやって行きます」。 ユンジョン氏は自分がすることだという家族を残して発つ準備をした。人生に ついて、彼女は話した。 「人生というのは変なものです。時間がいくらも残らなくなってから、こうして 良い人々に会う」。 彼女が話した人々は〈パノルリム〉所属の活動家たちだった。 証拠がない戦い5年前、まだ〈パノルリム〉という団体ができる前、産業医学分野の専門家は 半導体職業病問題を知らなかった。半導体職業病への疑いは一個人から始まった。 サムスン半導体で働いて病気にかかった娘を持つファン・サンギ氏は報道機関 と社会団体を尋ね歩いた。彼は娘が白血病にかかったが、どうも会社のためら しいといった。当時彼が持っていた唯一の証拠は、娘と2人1組で働いた先輩が 同じ病気にかかったという事実だけだった。 専門家たちは迷った。証拠がないからだった。証拠がない理由は簡単だった。 国内に導入されてから40年もならない先端産業の半導体についての研究そのも のが殆どなかったのだ。職業病と半導体産業の関連どころか、半導体の工程に 使われる設備と化学物質についての研究も不備だった。 労働災害被害労働者を助ける活動をした団体も首を横に振った。ただでさえ保 守的な判定をする勤労福祉公団が、珍しい分野の職業病認定をするわけがない といった。その上、相手はサムスンという大企業だった。勝算がないといった。 こうした状況でサムスンは平然としていた。半導体工場でたった6人が白血病に かかったのが何の問題かと言った。サムスン半導体に通っていた人だけ数万人 だと言う。6人の白血病は偶然だといった。 勝算はなかったが、いくつかの社会人権団体は半導体職業病問題を解決する会、 〈パノルリム〉を作った。すると白血病にかかったという半導体労働者があち こちから出始めた。白血病だけではなかった。貴重疾病者などの情報提供も続 出した。現在、彼らの数は偶然と言うのは難しいほどになった (サムスン電子 半導体の情報提供数は約140人、他の半導体事業場も合わせれば150人になる)。 ▲ファン・サンギ氏の姿[出処:パノルリム(http://cafe.daum.net/samsunglabor)] 証拠を持ってこい150人近い人々が、サムスン半導体で働いて病気にかかったという情報を提供し た。彼らの一部と会い、インタビューをした。多くの人々が自分を公開するの は憚られるといった。ユンジョン氏のように病気の人々だった。悩んで、くや しがり、神経をつかえばさらに病気は悪化する。それで恐れた。勇気を出した 少数の人と会うことができた。彼らの話を聞いて、文に書いた。 彼らは半導体会社で働いた。作業場にはいつも化学薬品の臭いがした。仕事は 多かった。高い気圧でマスクと防塵服でがちがちになって働くと、すぐに疲れ た。考課の点数と成果給による競争は日常化していた。食事をきちんと取れず、 睡眠が足りなかった。いつも頭が痛く、消化不良にかかり、皮膚病ができた。 月経が不規則だったり、なくなり、女子職員は流産もした。 彼らの話を連載している間、私はよくこんな質問を受けた。個人の経験や感情 的な呼び掛け以外の科学的な証拠はないのか。私は答えた。彼らには証拠がな いのだと。 19歳で半導体工場に初めて足を踏み入れた人々に証拠はなかった。安全教育が 行われなくても、おかしいと思わなかった。化学物質の臭いが満ちていても、 自分が使う物質が人体に害になるとは思いもしなかった。働いて腕と脚が切断 されることだけが労災だと思っていた。職業性ガンは夢にも思わない話だった。 誰も話してくれなかった。その上、自分が使っていた物質が発ガン物質という 事実も、パノルリムに会って知った人がほとんどだった。 証拠は持っているのは、恐らく彼らを雇用した会社だろう。化学物質の成分が 何か、そられの成分が人体に安全なのか、これらすべての情報は会社が持って いるのだろう。しかし会社は何の情報も出さなかった。『営業機密』だという 理由で可能なことだった(米国の半導体会社のIBMは、職員の30年間の死亡記録 を持っていた。この死亡記録はIBM所属労働者のガンによる死亡の危険が一般人 より高いという結果を含んでいた。もちろんIBMはこの情報を公開しないように 慎重に努めた)。 国家機関である勤労福祉公団は、半導体労働者の職業病申請をすべて不承認と 処理した。公団はみだりに職業病認定ができないといった。胃ガン、乳ガンと いった疾病は、よくあるガンなので半導体工場で働いたことで病気の原因には できないといった。ウェゲナー肉芽腫や縦隔ガンのような珍しい疾病は、研究 がなく、原因は明らかにできないと言う。あたりまえの病気はあたりまえだから 職業病が認められず、珍しい病気は珍しいから職業病が認められないというのだ。 労働者の抗議に、勤労福祉公団は威厳ある声で話した。「証拠を持ってこい」。 パノルリム所属のコンユ・ジョンオク産業医学専門医は嘆いた。「彼らが証拠 を出せという理由は証拠を探したくても見つからない状況を知っているから」だと。 ▲[出処:パノルリム] 彼らが持っている証拠職業病被害者と家族は、病気にかかって疲れたからだを率いて証拠を見つける ために飛び回らなければならなかった。そしてとても小さな事実を明らかにす ることができた。ベンゼンのような発ガン物質が実際に半導体工場で使われて いて、使われる化学物質のほとんどがきちんと成分調査もされていない事実だ。 するとサムスンは国際コンサルティング企業の〈インバイロン〉に作業環境の 調査を依頼した。半導体会社の金を受け取った企業が半導体会社の問題を調査 をした。このとても公正な調査は、当然ながら半導体工場の作業環境には何の 異常もないという結果を出した。サムスンは結果を大々的に広報した。 金もなく、無力な職業病被害者にできることは驚きしかなかった。『証拠』が どう作られるかを見なければならなかった。彼らは自分に証拠を持ってこいと いう政府と会社に嘆いた。 「死んでいく人より、さらにどんな確実な証拠が必要だというのか分かりません」。 証拠があるのかと聞く人に私はまた答えたい。働いて病気になった人々の話を 記録し、この記録が彼らの証拠だと。
翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2011-11-30 04:02:25 / Last modified on 2011-11-30 04:02:47 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |