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KTX乗務員闘争、誤解と真実

「正規職なりたければ 勉強して試験を受けろ?」

チェイニ記者 flyhigh@jinbo.net / 2006年10月18日14時42分

韓国女性団体連合、韓国女性民友会、韓国女性労働者協議会、女性労働ネット ワークなどの女性団体が18日の午前11時、ソウル駅で記者会見を開き、政府と 鉄道公社に「国家人権委員会性差別改善勧告」の履行を要求した。

国家人権委員会は、10月2日に公開した最終決定文で、「鉄道公社が女性乗務 員の採用から賃金決定、面接、教育および業務指導・監督と評価に至るまで、 その内容を直接決定あるいは実質的影響力を行使する主体」だと確認している。

82、83年生まれの女性で背170-173センチなら満点

また、国家人権委員会が公開した最終決定文には、女性乗務員の採用基準に関 する項目が明らかにされた。KTX女性乗務員採用基準によれば募集対象は「若 い女性」で、新規受験者は21才から25才の間、経歴職受験者は21才から35才に 限られる。

その上「身長162センチ以上」という容貌基準も明示しており、170-173センチ は20点満点、166-169センチは15点、174-177センチと162-165センチは各10点 という点数まで配分していた。年齢でも82、83年生まれは10点満点、80、81年 生まれは7点だった。

女性団体は、この日の記者会見で「こうした採用と審査基準の決定に鉄道公社 が実質的な支配力を行使したことが明らかになった。鉄道公社の幹部が面接に も参加し、100点中65点を占める容貌、態度の項目評価を担当したことが確認 された」とし「このような基準は現行の男女雇用平等法に明確に反している」 と主張した。

彼らは「国民の税金で運営され、3万人以上を雇用する巨大公企業が、女性を 憲法で保障する労働権を持つ主体として見るどころか『若くてかわいい時』に 一瞬使って捨てる三等労働力と考えて、国家人権委員会の性差別是正勧告さえ 無視するのなら、その他の労働現場での性差別改善や女性労働権確保は期待で きない」と指摘した。

一方この日の記者会見では、これまでのKTX乗務員の闘争をめぐって発生した 一部の誤解を払拭する9つの主な質疑応答が発表され、市民の関心を引いた。 以下は質疑応答の全文。

KTX乗務員に対する9つの誤解と真実

1) 初めから非正規職と知って入ったのではないのか?

  • KTX乗務員になると思っていた。非正規職や契約職なんてよく知りませんで した。実際のところ、非正規職が何かもよく知りませんでした。新人でした から。航空会社のようにインターンを経て正規職になると思っていました。
  • 初めての募集の時、鉄道流通高速鉄道準備団長のチョンソンジュ氏が1年ぐ らいで正規職になると言い、公務員水準の月給や厚生福祉が保障されると言 い.... 定年保障もすると言いました。
  • チョンソンジュ氏動画が乗務員予備校の広報動画に出ていましたし、当時の 弘益会(今の鉄道流通)ホームページにも出ていました。
  • 放送でKTX乗務員がとてもよく出てきたので本当に良い職場だと思っていました。

2) KTX観光レジャー正規職として採用されるのになぜ拒否するのか?

  • 言葉だけの正規職で、実際には委託請負職です。事実は派遣職ですが。鉄道 公社が請負契約を解約すればそれで解雇です。すでに鉄道流通で5月15日、 それを見ました。
  • KTX観光レジャーは監査院での監査の結果、不十分な運営で売却・清算の対 象に指定された会社です。乗務員の運営経験も全くなく、資本金も20億ウォ ンでしかない雑貨屋のような会社です。そんな会社で数百人の乗務員をきち んと運営できるはずがありません。
  • KTX観光レジャーは監査院から売却・清算会社対象に指定された会社ですが、 鉄道公社が意図的に育てています。マスコミの報道によると、KTX観光レジャー は今年の6月まではオーナーのロッテ観光が開城観光事業のために、2004年 に鉄道庁と共に作って設立したといいます。監査院が不十分な会社だと指名 されて注目を集め、清算の危機におかれたのでKTX乗務員を委託して救った のです。
  • 鉄道公社はKTX観光レジャーを育てるために職員研修も委託し、売上額規模 を大きくしました。これらは鉄道公社業務現況にすべて出ています。
  • KTX観光レジャーに委託された後、KTXサービスがめちゃくちゃになりました。 清掃の状態も、顧客が頼まなければサービスもまともにしません。乗客の不 満も暴走して....

3) 正規職を望むのなら他の人のように正式な試験を受けなければならないのではないか...

  • 入社する時に、14:1という激しい競争を勝ち抜かなければなりませんでした。 2期になると136:1でした。競争がいいと思うわけではありませんが、KTX乗 務員になりたかったので志願しました。
  • KTX乗務員職はまったく正規職ではありません。そして鉄道公社はこれから 正規職は選ばないといいます。では鉄道公社で働きたければどうすればいい のですか? 乗務員として働きたくても正規職を取らない。正規職として働き たくても、KTX乗務員に正規職の道を開かなければどうすればいいのですか? 鉄道公社の構造的な問題だと思います。

4) 乗務員が望むのは、正規職なのか、でなければ非正規職であっても直接雇用か?

  • 鉄道公社で正規職として働くことです。雇用が安定しなければ仕事に意欲が 出ませんし、やりがいも持てません。これまで話すこともできないような差 別と雇用不安を味わいました。同じ労組活動をするにも、非正規職はものす ごい弾圧にあいます。
  • 鉄道公社の正規職になりたければ予算が配分されなければならず、また定員 も確保されなければならないので、その期間は直接雇用しろと言っているの です。
  • 事実、鉄道公社に直接雇用された契約職労働者も差別待遇を受けています。 年が変わるたびに再契約できるのかと脅えなければなりません。賃金、雇用、 厚生福祉、全てで差別を受けています。全く同じ仕事をしても、こうした 差別を当然だと思う人は誰もいないでしょう。

5) 鉄道公社が経営赤字だそうですが費用のために乗務員の正規職化が難しいのでは?

  • 李哲社長は、鉄道公社の経営赤字は政府の投資不足だと直接主張しています し、政府でも認めています。
  • 鉄道公社で働く労働者の生産性は世界2位だと聞きました。日本が1位ですが、 日本とほとんど差がない2位だそうです。では赤字の原因が人件費のためで はないでしょう。
  • 鉄道公社の赤字はほとんどが鉄道公社に転換され、政府が強制的に押し付け た高速鉄道関連の借金のためだそうです。KTX開通時に、利用客の数を2倍以 上過剰に見積ったそうです。ですから誤った政策で赤字を出しているのに KTX女性乗務員に被害を押し付けているのです。

6) 乗務員の要求を聞き入れると他の公企業の非正規職も全員正規職化しなけ ればならず、影響が大きすぎるのではないか。韓国の経済は、その費用に 耐えられるか?

  • 政府が非正規職を度々増やしているのは間違いだと思います。影響が大きい から公企業の非正規職を減らすのは望ましいことではないでしょうか?
  • ヒアリングでは非正規職労働者の数が850万人と言い、労働者の56パーセン トにのぼるそうです。政府もこれを深刻に受け止めているので「公共部門の 非正規職対策」といったことを出しています。下位職の労働者の人件費を減 らし、経済を生かすということは理解できません。

7) 乗務員がいなくてもKTXはうまくいっていますが.... 乗務員は安全に関す る仕事をしますが、乗務員は接待サービスだけをするのではないか?

  • 1ヶ月に一度の割合でKTXに故障が起きて、遅れたり、列車を乗り換えなけれ ばならなかったりもします。駅ではない線路で乗り換えることも多くありま す。ホームがないので踏み台を出して乗客をおろし、また危険なのできちん と案内して乗り換えをしなければならないのですが、それは1人の車掌がで きるものではありません。
  • 列車1両は388メートルです。乗客は1000人もいるのに、1人で全員を案内し てはしごをおろし、案内放送もして、また具合いが悪い人は助けなければな りません。乗務員が乗っていればともかく、全くいなければどうなりますか。
  • 京釜高速鉄道はトンネルがとても多くてまた長いのですが、もしトンネルの 中で火災事故でも起きたらどうするのでしょうか? 具合が悪い方が列車内で 突然容態が悪化したら、車掌一人で処理できるでしょうか?
  • 乗務員は鉄道公社に所属しているわけではなく、きちんとした教育を受ける ことができませんでしたが、それでも急病患者の処置教育や客車での安全に 関する教育を受けました。非常はしご設置のような問題で、非常時措置要領 も教育を受けましたし、ときどき直接経験することになります。
  • 平時でも障害のあるお客さんの車椅子を扱ったり突然発生する急病患者のた めに乗客の中の医師を探して行き来することもあります。1000人の顧客を迎 えるのに、安全とサービスを分けること自体がナンセンスです。

8) 乗務員の賃金はかなりいいのではないか。もっと劣悪な状況の非正規職も 多いが、さらに条件が良い乗務員をなぜ正規職化するのか?

  • 乗務員の賃金として鉄道公社は174万ウォンを策定しましたが委託会社がい ろんな名目であちこちでピンハネされ20-30万ウォンずつ持っていかれまし た。税金を控除して四大保険、各種控除をすると120-140万ウォン程度にし かなりません。それが多いといえません。
  • 法定最低賃金の非正規職もたくさんいます。しかしだからと言ってすべてそ の水準に合わせなければならないのでしょうか? 劣悪な非正規職がいれば改 善するべきで、もっとひどい人がいるのだからいいじゃないかというのは正 しくないと思います。
  • 全く同じ仕事をしても差別待遇されれば誰でも反発するでしょう。雇用不安 も大きく、また経験を積めば少しは月給も上がるのが当然ですが、逆に 20-30万ウォンずつ削られれば誰でも反発するでしょう。

9) 鉄道公社は性差別したことはないという...

  • 最初、KTX乗務員として全員若い女性だけを選抜して、身長や年齢、容貌が 選抜の重要な基準になりました。今は何人か男性乗務員を選び、性差別を解 消したと言っていますが、それは違うと思います。
  • 正規職と賃金、労働条件、昇進などすべてにおいて差別されているのに、性 差別ではないと主張することは理解ができません。国家人権委員会でも鉄道 公社のそうした主張に細かく反論した後、性差別だと言っているのに、今で もそう言い続けています。よくわかっていないのか、厚かましいのか。
  • KTX乗務員は非正規職だったために差別され、女性だったためにさらに強い 差別を受けました。今でも同じです。鉄道公社が性差別を是正しようとする なら正規職として雇用し、同じ条件で仕事ができるようにすればいいのです。
  • 鉄道公社はKTX観光レジャーが鉄道公社正規職より良い雇用と言いますが、 ではなぜあえて委託するのでしょうか? それだけでも鉄道公社の嘘が分かり ます。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-10-21 17:20:25 / Last modified on 2006-10-21 17:20:25 Copyright: Default

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