韓国:サムスン職業病問題に突破口…「調停委の仲裁に無条件従う」 | |||||||
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サムスン職業病問題に突破口…「調停委の仲裁に無条件従う」パノルリム「仲裁方式は残念だが職業病問題の解決の貴重な一歩に」
パク・タソル記者 2018.07.24 14:05
▲ファン・サンギ パノルリム交渉団代表(左)、キム・ジヒョン調停委委員長(中)、キム・ソンシク サムスン電子専務(右)が署名した後、フォトラインに立った。 「1000日以上対話がない状況で、とても細かいことに固執することはできないと考えた。 違う見方をすれば、背水の陣を敷いた。 サムスンもパノルリムもどちらも受け入れられる本当賢い案が出てくることを願うだけだ。 一方でも受け入れられなければ悲劇になり、調停委にとってもすごい失敗として記録されるので、 必ず成功させなければならない。」 パノルリム交渉団のコンユ・ジョンオク幹事が今回の サムスン電子・パノルリム間の第二回調停(仲裁)再開のための 仲裁方式合意署名式での言葉だ。 サムスン電子職業病が水面上に浮上してから11年、 職業病問題解決のため大きな一歩がまた始まった。 7月21日、サムスン電子と「半導体労働者の健康と人権守備隊(以下パノルリム)」が 「サムスン電子半導体事業場での白血病など疾患発病に関する問題解決のための調停委員会(以下調停委)」が出した仲裁案を無条件に受け入れることにしたことに続き、 サムスン電子とパノルリムが第二回調整(仲裁)再開のための仲裁合意書に最終的に署名した。 調停委の仲裁案は来る9月中、遅くても10月までには出てくるものと見られ、 この日の署名はサムスンとパノルリムがこの仲裁案を無条件に受け入れるという内容が核心だ。 調停委が作る2次勧告案は、これまでの調停方式ではなく、 調停委がほとんどすべての全権を持つ仲裁方式でなされる。 サムスン電子とパノルリムともに調停委員会が作る調停案に介入する余地がなく、 提示される仲裁案を無条件に受け入れなければならない。 署名式は7月24日午前11時30分、 ソウル市西大門区の法務法人地平10階の大会議室で行われた。サムスン電子のキム・ギナム代表理事の代わりにキム・ソンシク専務が参加し、 パノルリムのファン・サンギ代表、調停委員会のキム・ジヒョン委員長が仲裁権限を調停委に委任するという仲裁合意書に署名した。 これまで膠着状態だったサムスン電子とパノルリム間の調整が公式に再開された瞬間だった。 冒頭発言でファン氏は準備した手紙を朗読しながら結局涙を流した。 「うちのユミが白血病にかかって満13年を越えた。 大企業が自分の会社で働いて化学薬品により白血病にかかって死んでいく人を捨ててはいけない。 病気にかかって死んだ労働者の問題を10年経っても解決できないのは、本当に悲しい。 それでもサムスン職業病問題が解決の糸口を見つけたのは本当に幸運だと考え、歓迎する。 わが国の労働現場で二度とこんなことが繰り返されてはならない。」 調停委のキム・ジヒョン委員長は署名の前に 「調停委員会を信じて白紙信託に近い仲裁方式を条件なく受け入れて下さったサムスン電子とパノルリム側に感謝を申し上げる」とし 「どちらかに偏らず、原則と常識に基づいて合理的で客観的な仲裁案を作りたい」と約束した。 続いて「今回の仲裁案は、単にサムスン半導体やパノルリム被害者だけでなく、 韓国社会全体を見て、 不確かな領域である職業病に対する支援や補償の新しい基準や方案を樹立するための道しるべになるように、 合理的で客観的な仲裁案を作りたい」とし、 そのために「専門家で構成された諮問委員の諮問を受けて仲裁案を作る計画」と明らかにした。 サムスン電子のキム・ソンシク専務は 「仲裁方式を受け入れるのはかなり難しいことだったが、 完全な問題解決だけが発病者やその家族の痛みを慰労することができ、 社会的にも価値があると判断した」とし 「今後の日程に積極的に協力する」と明らかにした。 署名式の直後、パノルリムは同じ場所で記者会見を行い 「座り込み1022日、苦しい時間を過ごしたのに当事者の直接対話ではなく、 仲裁という方式で終わることになったのは残念だ」としつつも、 「だがこれも、長く苦しい時間がなければ決して踏み出せなかった貴重な一歩」という立場を発表した。 また「野宿座り込みに参加してくれた支援者、苦痛を耐えてきた被害労働者と家族に敬意を表わす。 連帯の力で1022日の座り込みの末にサムスン職業病問題は終わっていないことを知らせ、 サムスンにより中断された交渉を開いた」と感謝の言葉を伝えた。 調停委員会は直ちに、 △新しい疾病補償方案、 △パノルリム被害者補償案、 △サムスン電子側の謝罪、 △再発防止および社会貢献方案についての仲裁案に着手する。 サムスン電子とパノルリムをはじめ、政界でも早急な解決を要求しており、 最大限速度を高めて9月中、遅くても10月中には完全妥結が形成される展望だ。 仲裁案が作られる過程、議論などは非公開することにした。 個人別の支援と補償内訳も公開されない。 この3年で何が変わったか?調停委員会は第二回調整(仲裁)提案書等を通して △1次調整当時の双方の要求事項と争点 △1次調整決裂以後の双方の主張と要求事項 △半導体関連3社(サムスン電子、SKハイニックス、LGディスプレー)がこれまで実施した支援補償方案などを検討した結果に基づき、 大きな枠組みで仲裁案の方向はある程度糸口をつかんだと明らかにした。 特にSKハイニックスやLG電子が独立機構を作って職業病被害問題を解決した事例は、 パノルリムも選ぶ成功事例だ。 コンユ・ジョンオク幹事は 「調停委が他社で職業病問題を解決した事例などを拠論して、この方向のとおりに一定の社会的合意ができるのではないかといったが、 昨年、裁判所や勤労福祉公団も補償承認をして糸口も開かれ、 この方向のとおりの案が出ればサムスン電子のこれまでの補償システムも改善されると信じる」と話した。 SKハイニックス半導体は2015年11月、産業保健検証委員会の提案により 「産業保健支援補償委員会」を設立して企業内部の補償体系を作った。 LGディスプレーは昨年7月、産業保健学会の提案で 「LGディスプレー産業保健支援補償委員会」を設立し、その後、稼動している。 半導体2社が補償委に全的に権限を委任したことは、 サムスン電子が調停委の調停勧告案を拒否し、 2015年9月から突然独自の補償を強行したことと対比される。 SKハイニックス支援補償委員会は2016年に補償申請を受けた後、 これを基礎として最も多い疾病を公式に発表した (甲状腺ガン46.1%、自然流産13.5%、乳ガン8.9%、その他胃ガン、非ホジキンリンパ腫、白血病など)。 1年後にはハイニックス事業場の内部に移転して産業保健支援補償委員会の運営を続けている。 LGディスプレーの場合、 ディスプレー業界で初めて疾病に対する支援補償計画を発表した。 LGディスプレーは昨年5月28日、「LGディスプレー産業保健支援補償委員会」を設立する計画を発表した。 韓国産業保健学会が選定した専門家で構成された第三者機構を運営し、 彼らが独自に支援対象と支援規模を決めるとし、 会社は100億ウォンの財源を出して今後10年間運営するが、 今後は必要により財源を増額すると明らかにした。 支援補償制度は約230人が申請して、今まで検討と補償手続きが行われている。 この二つの事例を先例として、サムスンにもこの基準による一定の変化が要求されるものと見られる。 労災を扱う裁判所の判例も注目すべき変化があった。 昨年、大法院はサムスンLCDの希少疾患労災を認める判決を出した。 パノルリム事件が大法院で勝訴した初の事例だった。 昨年開かれた「パノルリム10年、変わったことと残された課題」の討論会でパノルリムのイム・ジャウン活動家は 「相変らず労災申請の数と労災認定の数の間隙は大きいが、 半導体労働者の疾病を労災と認定した判決は時間が経つに従い 対象事業場と疾病を拡張したばかりか、判定の論理でも発展する姿を見せた」と評価した。 ただし一部で出ている「10年職業病闘争終止符」といった話はまだ早いようだ。 コンユ・ジョンオク幹事は 「サムスン電子ディスプレー部門の職業病被害者補償の問題と、彼らへの謝罪の問題を解くことだ。 残されている課題は多い」と述べた。 サムスン電子は裁判所の公開判決にもかかわらず労災を判断するための決定的な根拠になる作業場の作業環境測定結果の報告書を公開していないなどの問題などが残っている。 2015年10月7日からソウル江南駅8番出口のサムスン電子社屋の前できちんとした職業病問題の解決を要求してテント座り込みを始めたパノルリムは、 7月25日に解団文化祭を開いた後、座り込みを終わらせる。 パノルリムは「今後も毒性化学物質の職業病問題解決のために努力する」と明らかにした。 翻訳/文責:安田(ゆ)
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