韓国:労働者の生命を放棄した中央行政審判委員会 | |||||||
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労働者の生命を放棄した中央行政審判委員会[企画連載]サムスン作業環境測定結果報告書非公開裁決批判(2)
シム・ジェソプ弁護士(民主弁護士会労働委員会) 2018.10.04 10:33
[編集者の言葉] 去る8月23日、中央行政審判委員会がサムスン電子など3つの系列社が提起した 「作業環境測定結果報告書情報公開決定取り消し請求」行政審判事件のうち、 主要争点事案をすべて非公開と決定したことでまた問題になっています。 しかし法律専門家、産業保健専門家、パノルリムの活動家らはこうした行政審判の結果は不当であり、 営業秘密よりも生命健康権の情報への知る権利が優先されるべきだと要求します。 そのためチャムセサンはなぜサムスンの安全情報が公開されなければならないのか、彼らの声を4回にわたり連載します。 今回の企画連載はOhmyNews、プレシアン、民衆の声にも共同掲載されます。 [編集者話(言葉)]去る8月23日中央行政審判委員会がサムスン電子など3ケ系列会社が提起した『作業環境測定結果報告書情報公開決定取り消し請求』行政審判事件中主要争点事案をすべて非公開下記で決定して、また問題になっています。しかし法律専門家、産業保健専門家、パノルリム活動家らはこのような行政審判結果が不当で、営業秘密より生命健康権情報に対する知る権利が優先されなければと要求します。これにチャムセサンはなぜサムスンの安全情報が公開されなければならないのか彼らの声を4回にかけて連載します。今回の企画連載はOhmyNews、プレシアン、民衆の声にも共同掲載されます。 [連載順序]
[出処:チャムセサン資料写真] 行政審判に至るまで作業環境測定報告書(以下「作測報告書」)の公開は、今年の産業保健分野の最大の話題だった。 2月に大田高等法院が作測報告書の公開を命じる判決を宣告した時、 いよいよサムスンの半導体工場で働いて病気になった被害者の労災認定の可能性が多少なりとも増えるという期待に膨らんだ。 判決文は作測報告書の記載内容が企業の経営・営業上の秘密には該当せず、 たとえ該当するとしても事業活動の危害から人の生命・身体または健康保護のために必要な情報なので 公開しなければならないとはっきり明らかにした。 上の判決により、雇用労働部は作測報告書の内容は個人情報を除き、 すべて公開する方向に指針を変更した。 作測報告書だけではまだはるかに不足するが、 それでもなぜ被害者が病気になったのかに関する最低限の確認が可能になったのだ。 このような変化に力づけられて被害者たちは自分たちが勤務していた時期の 該当工場の作測報告書の公開を請求し、 雇用労働部はこれを公開することを決定した。 判決宣告は今年の2月1日、追加公開請求が2月19日、 その後の雇用労働部の公開決定は3月19日で、手続きの進行は易しいものと見られた。 ところが突然ブレーキがかかる。 サムスンが3月26日、産業通商資源副長官に対し、 産業安全保健法第42条により作測報告書は国家核心技術に該当するかどうかを判定することを申請した。 そしてこの申込書を貼付して4月2日、 中央行政審判委員会(以下『行審委』または『委員会』)に執行停止申請をした。 行審委はこれに続いて4月17日に執行停止申請を承認し、 これにより情報公開を請求した被害者は作測報告書を確認できなくなった。 その後、産業通商資源副長官は4月23日、 作測報告書に含まれている内容が国家核心技術に該当すると判定した。 サムスンの対応は機敏で緻密だった。 彼らに不利な裁判所判決が確定すると、すぐにその判決により請求した最初の作測報告書公開請求を防ぐために、全方向的にすばやく動いた。 上の判定以後、「国家核心技術」を題名とする記事がポータルにあふれ、 国家核心技術に関する討論会、学術団体があちこちで生まれた。 結局2月の判決、3月の公開決定、4月の執行停止仮処分および国家核心技術判定、 そして7月には行政審判に達した。 行審委は何をしたのだろうか雇用労働部と産業資源部の見解が交錯するように見えるこの事件において、 国家核心技術の指定はどのような意味か、 これが情報公開に影響するのかを判別することが 今回の行政審判における最大の争点だった。 情報公開は、国民の知る権利のための制度で、 国家核心技術と指定された企業体がその技術を輸出することを管理するための制度であり、 議論の性格が違う。 しかし一般国民の情緒上、「国家核心技術だから営業秘密じゃないか」と判断する可能性もあるので、 これについての明確な判断と妥当な根拠を今回の行政審判で明らかされなければならなかったのだ。 大田高等法院の判決と今回の行政審判の事実関係で変わった点は 「国家核心技術」の判定一つだけだ。 公開対象の作測報告書の内容もほぼ同じだ。 新しく台頭した国家核心技術というフレーム、 これを綿密に検討するために委員会は果たして何をしたのだろうか。 行政審判法は、審判のための資料および証拠を確保できる権限を委員会に付与している。 具体的には、委員会は産業資源部に関連資料の提出を要求したり、 半導体委員会委員に審理に出席することを要求することも、 第三者に鑑定を要求することもできたということだ。 ところが驚くべきことに、今回の行政審判ではこのどれもなかった。 国家核心技術とは何か、 サムスンが提供したどんな資料によって該当判定をしたのか、 その議論の過程はどうだったのかに関し、 産業資源部に確認したこともなく、 国家核心技術に当たるという作測報告書の特定の内容が 果たして営業秘密に値するほど重大なことだったのか、 第三者に鑑定意見を聞くこともなかった。 出席要求などの手続きがなくても、提出された書面に基づいて何か判断した内容があるだろうと考えた。 しかしどんな理由で作測報告書が経営・営業上の秘密だとしたのかをいくら探しても 直接の説明はただ一つ、国家核心技術だからだということしかなかった。 「半導体専門委員会による請求人のこの事件の各工場に対する国家核心技術判定書を見れば(中略) 国家核心技術と判定したこと、(中略) 産業技術保護法により保護すべき国家核心技術に該当する以上、 これは請求人の経営・営業上の秘密に値すると見られる」という言及だけだった。 産業技術保護法の国家核心技術が、 情報公開法の経営・営業上の秘密とどう連結するのかは全く説明されなかった。 結局、行審委は審理の過程で国家核心技術の判定に関し、 上述のような積極的な手続きを取らなかった。 裁決書に国家核心技術と営業秘密の間の関係についての法理的な分析も明らかにしなかった。 法律だけの専門家である委員会としては、 半導体専門家の専門性ある意見にあえて逆えないということなのだろうか。 いやしかし、産業資源部の委員会が輸出制限技術の範囲を決めるのは専門家かもしれないが、 国民の知る権利に関する法理の専門家ではないのではないか。 それでは知る権利に関する法律的判断ができる専門家は誰だろう? それはまさに行審委ではないか! 行審委の職務遺棄中央行審委は行政審判の総括機関として、 行政府内で法令の解釈および適用に関する最高の有権的な判断をする機関だ。 そしてその判断は、裁判と同じように法律が決める国民の基本権のための規範的な判断であり、単純な事実関係の確認ではない。 韓国の判例は、「鑑定の結果でも裁判官が鑑定人の特別な知識および経験を利用することに過ぎず、 究極的には裁判官がさまざまな条件と経験則に照らして、 規範的に決定しなければならない」と判示する。 そしてこうした法理は、合議制審判機関である行審委にもそのまま適用される。 今回の裁決は国家核心技術判定という事実から、これを公開してはいけないという規範を機械的に導き出した。 だから妥当でもなく、委員会に付与された法律の解釈、適用を通した規範判断という権限と義務を放棄したもので、不法にあたるほどだ。 ぜひ今後、裁判所は機関の存在目的に符合する積極的な規範的判断で 行審委が放棄した労働者の生命権・健康権を保障することを期待する。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2018-10-11 08:58:27 / Last modified on 2018-10-11 23:30:49 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |