本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:ガス、電気の民営化、手綱を解く
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1349959351456St...
Status: published
View


ガス、電気の民営化、手綱を解く...『価格談合、独占、完全競争』狂風来るか

すでに始まったガス民営化の逆風、「934億は国民が20年間で返す」

ユン・ジヨン記者 2012.10.11 07:32

ガス、電力、鉄道などの公共部門の民営化の悪夢が襲っている。

上半期、KTXと医療民営化反対世論の狂風にも、相変らず水面下ではガス、電力、 鉄道部門民営化の最後の手綱が解かれようとしている。任期末の李明博政権は、 10年間続いた公共部門民営化政策の終止符を打とうとする勢いだ。

電力産業民営化は今年7月、『スマートグリッド制度』という名で公式化された。 消費者に選択権を与えることが名目だが、事実上、事業者に電力市場を開放する 格好だ。

ガス産業の場合、『都市ガス事業法施行令』を改正し、ガス市場の完全競争が 予告されている。鉄道民営化は世論の反対に延期されたが、国土部は秋夕の 機会を使い、鉄道資産を回収して『分割民営化』の再推進を始めた。

電気料金制『スマートグリッド制度』、電気民営化の本格手順
「通信社より大きい価格談合が起きる」

97年の外国為替危機以後に続いてきた電力産業民営化は、2012年に『スマート グリッド制度』という政策で民営化の最後の手順に入った。

[出処:チャムセサン資料写真]

スマートグリッド制度は、去る7月、李明博政権の『低炭素サビ生成長』政策の 一つとして発表された。概念は『供給者と需要者間の両方向でリアルタイムで 情報を交換することによる知能型需要管理』を可能にするということだが、 事実上、事業者に電力市場を開放し、本格的な『市場競争』を試みる意図だ。

実際にこの制度は、電力市場に飛び込んだ多様な事業者を消費者が選択して 『小売り競争』を可能にしている。政府は今年7月から容量DR市場モデル実施後、 2014年から人口10万〜100万戸の全国7拠点都市を中心にスマートグリッド適用 地域を拡大する計画だ。

料金制の場合、制度活性化のために時間別料金、最大ピーク料金などの変化を 経て、最終的にリアルタイム料金制が導入される。これに伴い2013年以後に、 住宅用選択型料金制度を導入した後、最終段階としてリアルタイム料金制が 導入される方針だ。

だが労組と市民団体は政府が『消費者選択権』を押し出して、消費者をげん惑 していると話す。急激な料金引上げと需給不安深化、公共性弱化などが相次ぐ だろうという憂慮だ。特に事業者が電力を通信と保険などの結合商品、派生商品 にすると、不透明な料金と価格談合などの深刻な副作用を招くことになる。

全国電力労働組合のイ・ギョンホ事務局長は、「電力の場合、非弾力的料金で、 消費者が事業者と一度契約を結ぶとほとんど移動せず、事業者は電気を単独で 売れば競争で得られる利益は殆どない」とし「そのためSKTでもKTなどの事業者 は、インターネットやTVなどの各種の通信商品を提供して、一緒に電気を売る ようになる」と説明した。

続いて彼は「電気を他の商品とバンドリング(抱合せ販売)した結合商品にすれば 消費者は正確な電気料金が分からなくなる」とし「こうなると、現在、通信会社 でさらに大きな価格談合が広く起きると予想する」と伝えた。

需給不安の深化も憂慮される。社会公共研究所のソン・ユナ研究員は「現在、 発電会社は電気供給に対する義務が強い」とし「だがポスコ、SKなどは価格帯 が多様で、もし原発が止まるなどの問題が発生すると、それが利益より低けれ ば供給を回避しようとするだろう」と説明した。

低所得層に対するエネルギー基本権侵害が起きるなど、電力産業の公共性が弱 まるという憂慮も提起されている。また、販売競争および消費者選択権を導入 すると、韓電分割民営化は必然的に台頭し、民営化推進に弾みが付く可能性も 大きい。

ガス民営化の悪夢...被害はそのまま国民に
「今でも934億の被害額を国民が20年間で返している」

ガス産業に対する構造改編と民営化作業も進んでいる。政府は今年7月、民間の 直導入事業者の最小保存施設基準を廃棄する『都市ガス事業法施行令改正案』 を立法予告した。

工事と民間の保存施設を拡充し、余剰物量の海外再販売を認め『東北アジア・ トレーディングハブ』を作る目的だ。だがこれは現在輸入している天然ガスに 対する国内事業者間の全面的で完全な競争を認めるもので、発電大企業の独占、 利益極大に帰結する可能性が高い。

[出処:公共運輸労組韓国ガス公社支部]

特に政府は2007年、保存施設の追加確保の必要性を認め、直輸入者登録要件を 強化すると発表した。だが今年、政府は民間直導入事業者の最小保存施設基準 を廃棄するという相反した政策を出し、民間直輸入者のための『政治的』政策 だと批判されている。また労組と市民団体などは、政府が言う『トレーディング ハブ』の可能性は薄く、国際商取引の慣行を無視することにより競争力の弱化 に帰結すると憂慮している。

何よりも最大の問題は、直導入事業者が需給管理義務を履行するよりも利益の 観点で戦略的選択をするため、国民の負担加重と需給不安が起きる点だ。

実際に、直導入事業者が需給を放棄し、その被害をそのまま国民が担った前例 も存在する。GS 3社(GSカルテックス、GS EPS、GSパワー)は2004年の6月、天然 ガス直輸入計画を政府に提出したが、石油価格値上げなどで市場の条件が不利 になったため、直輸入を放棄した。

韓国ガス公社支部のペ・ギョンソク副支部長は、「その後2007年、公社はGS直 輸入放棄により96万トンをスポット購買し、国民が934億ウォンを追加負担した」 とし「国民は20年間でこれについて追加で負担をしなければならない」と説明 した。また彼は「GSは、この問題について何の責任もなく、2009年また直導入 を申請した」とし「道徳的におかしい」と指摘した。

この他にも、ガス公社が天然ガスを統合購買すれば平均3〜9%の値下げが可能だ が、直導入が活性化すると小売り料金が暴騰する可能性が高い。発電大企業の 直導入恩恵独占、利益極大化、製造業の大企業独占構造深化などの暗い展望も ある。

10余年の民営化の歴史、民間企業の腹を肥やだけ
『社会基盤施設公共サービス基本法』提案

電力、ガス産業民営化は、この15年間、絶えず推進され、多くの問題を量産し ている。

政府は2001年、韓電の発電部門を6つの発電会社に分割し、韓電が電力取引所を 通じ、発電会社で電力を購入し、使用者に販売する『電力取引制度』を導入し た。この過程で韓電は『産業用』電気料金を平均購入単価(98.3ウォン)に反す る原価以下(91.0ウォン)で販売し、赤字を深化させている。その上このような 政策を『値上げ』で解決しようとし、『民間資本便宜政策』という批判も絶え なかった。

そればかりか、2001年の電力産業構造改編以後、発電会社の設備容量は32%増加 したが、民間資本発電会社は38倍も増加した。李明博政権になり、発電設備を 民間発電社業者に渡す様相はさらに拡大した。

今年12月に決定する2012年度第6次電力需給計画には、民間参加率が76%になる。 GS POWER、GS EPS、サムスン物産、ポスコパワー、SK建設、STXなどが新規火力 発電設備建設事業に積極的に動いている。これらの民間資本発電会社は、販売 電力量の約2倍程度の販売収益を上げている。

ガス産業も98年の分割民営化を始め、新規進入による民間参加、発電競争範囲 拡大などの試みを続けてきた。労組のストライキで設備の部分民営化の方針が 留保されると、2008年には『設備部門民間投資活性化』を推進した。

また韓国ガス公社とGSカルテックスは、ガス貯蔵基地民間資本建設に乗り出し ている。公社は4月24日、政府に『第4 LNG生産基地建設方案』を報告して、GS カルテックスのガス貯蔵基地民間資本建設に対する経済性検討の内容を明らか にした。GSグループは、すでにガス直導入を成功させており、小売り都市ガス 事業と発電所も保有している。彼らが生産基地まで保有すると、導入と卸売、 生産基地を網羅したガス産業民営化の端緒になると予想される。

そのため韓電労組、発電労組、公共運輸労組ガス支部で構成された『エネルギー 公企業労働組合』は10月9日午後、韓電本社で記者懇談会を開き電力、ガス産業 構造改編の問題と代案作りの摸索を始めた。

ペ・ギョンソク副支部長は「ガス直輸入者への規制を強化して、直輸入制度は 廃止すべき」とし「また天然ガス保存施設建設と運営は公共部門に統合して、 ガス産業の需給安定のための合理的な規制システムを用意すべき」と強調した。

またイ・ギョンホ事務局長は「現電力産業問題を克服するためには分割された 電力産業を韓電中心に統合、再編することが最も重要だ」とし、「さらにエネ ルギー産業全体の統合に政府が動いてエネルギー基本権を確保する作業が必要 だ」と強調した。

一方、民主社会のための弁護士の会のソン・ギホ弁護士は、公共部門全般の 民営化を防ぐ『社会基盤施設公共サービス基本法』制定を提案した。

『社会基盤施設公共サービス基本法』は、△社会基盤施設公共サービスの公共性 と国民のサービス接近権を一次的価値と規定し、営利と特典の対象にはなれない ことを規定、△脆弱階層の接近権を保障するための利用料金特例を経営上の赤字 で処理しないようにすること、△無分別な社会基盤施設公共サービスの私有化と 私営化を制限すること、△私有化または私営化契約時再公営化手続きと条件を あらかじめ含むようにすることなどが主な内容に含まれている。

ソン・ギホ弁護士は「社会基盤施設公共サービスの公共性を、法的、制度的に 保障し、無分別な私有化を規制する制約的理由を規定し、これを手続的に統制 しようとするもの」とし「また不可避な私有化の時の雇用保障、再公営化の 手続き推進などで、私有化による弊害を最小化すべきだ」と説明した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-10-11 21:42:31 / Last modified on 2012-10-11 21:42:32 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について