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ビルの森の中の『清掃労働者』...彼らの孤独な戦い

実態把握、組織化の困難...公共運輸労組(準)が戦略組織化事業を準備

ユン・ジヨン記者 2011.03.22 17:18

街にあふれるビルの中には、イ課長、チェ代理、キム・チーム長などの事務職 労働者で満ちている。中年を越えたり、中年が近づいた彼らは業務に追われる 日常の悲痛さのため、過去の学生時代を苦い焼酎一杯でなだめたりする。楽し いことだけを覚えていたい人の頭には、彼らに運動場を、廊下と教室を、路上 を飛び回った青春の記憶を残した。

反面、腰が折れるほど運動場のゴミを拾い集め、ふき掃除とワックスで教室の 床を磨き、おう吐しながらトイレのごみ箱を空けた多少堪え難い思い出は記憶 の片隅ぐらいにある。そのためか、ビルの片隅で食事をし、服を着替え、休息 を取る建物清掃労働者は、めったなことでは人々の目に入らない。

だが輝く事務室の床と廊下、空のごみ箱、ラックスのにおいがするトイレなど は、はっきりと『清掃労働者』の存在を証明する。学生時代を経て知っている だろうが、『清掃』は決して『幽霊』がしているのではないのだ。

[出処:チャムセサン資料写真]

2011年ビル清掃労働者、2006年の戦いを続ける

2011年1月、弘益大清掃労働者の雇用継承の戦いが社会的な問題になった。60歳 前後の清掃労働者による50日間の座り込みは、世論化と連帯勢力の結集という 成果をあげ、雇用継承と賃上げなど失った権利を取り戻す契機になった。また、 彼らの50日間の闘争は、社会に清掃労働者の存在を知らせる媒介にもなった。

だが、弘益大闘争が起きる5年前の2006年、80日を遥かに超えて戦いを続けてい たビル清掃労働者がいた。今は『ソウルスクエア』という名称に変わったソウ ル駅に近い大宇ビルディングの清掃、警備、施設労働者たちがその主人公だ。 彼らは雇用継承と賃上げなどを要求し、80日以上の時間を戦ってきた。厳しく、 苦しい戦いで、用役と警察が動員され、60歳前後の労働者の四肢を縛ることも した。

[出処:チャムセサン資料写真]

だがあれほど激しかった戦いは、社会に強烈な印象を残せなかった。ビルが建 て替えられ、用役業者が変わり、労働者もばらばらになった。弘益大の闘争が 発生するまで5年という時間、彼らは別の所で清掃労働者になったり、仕事をや めた。特に、彼らが残した戦いは、彼らに向けられた歪んだ社会的構造をしっ かり組み合わせるには力不足だった。

さらに大宇ビルの戦いと同じ戦いを、また他の事業場で繰り返す労働者もいる。 現在、ロッテ損害保険ビルで労組活動をしているA氏の話だ。彼は6〜7年間大宇 ビルで清掃をし、ビルのリニューアルで2007年に退社した。彼は2006年末から 2007年初めまで、大宇ビルの闘争を行い、雇用継承を勝ち取った。だがリニュー アルと業者変更は、彼らの雇用継承の約束を守れなかった。

その後、A氏は9か月間、予備校で清掃をして、ロッテ損害保険ビルへと職を移 すことになった。大宇ビルでの激しい戦いのためか、また労組活動を始めるな ど、思いもしなかった。だが彼がまた同じ要求条件を掲げて戦うことになった のは、まだ変わらない彼らの雇用条件のためだった。

[出処:チャムセサン資料写真]

「労組活動? しないと言ったよ。やれば恐ろしいじゃないか。だから私はとて も年を取っているのに、また労組をやると思うか? 今ここでクビになると、受 け入れるところもないだろうけど。だけでどこも違わないでしょう。

仕事も全く同じ。最低賃金も守らない。今私たち75万ウォンだ。労組を作る前 には最低賃金以下なんだから。大宇ビルの時も初めは最低賃金を守らなかった。 労組を作って、戦って、それで守るようになった。働く時間もそうだ。ここを 初めて紹介された時は、週5日働いて80万ウォン払うということだった。だけど 実際に働いてみると、1か月に2回の土曜勤務と、1か月に1回の日曜勤務をしろ という。

ひどいじゃないか。それでも労組加入は恐いから、しないと言ったんだ。とこ ろが前の分会長が一度やろうというので、結局することになったのさ。今こう して戦っているのに、もし私が労組を脱退すればすぐクビだ。だからクビにな るまいと、最後まで労組をするほかはないってことだね。」

ロッテ損害保険ビルの清掃労働者23人は、1月25日に労組を結成した。だが用役 業者のヒュコプは労組結成3日後の1月28日、組合員全員解雇を通知してきた。 1月30日に契約が満了するという理由だった。その後、2月の末にも全員解雇を 通知した。

組合員への直間接的な労組脱退工作も激しかった。労組は2月9日から6回にわた り、団体交渉を要請したが、業者は一回の交渉にも応じなかった。組合員との 個別の面談をして、脱退を懐柔した。結局14日、一人の労働者が解雇され、ビ ルへの進入を防ぐために用役が動員された。他の組合員にも解雇の刃は相変ら ず有効だ。

集計されない『ビル清掃労働者』... 彼らの戦いは孤独だ

[出処:チャムセサン資料写真]

清掃労働者は大学や病院だけに存在するのではない。街に密集するビルの中に は、必ず清掃労働者がいる。2005年度OES全職業391のうち5番目に多くの人々が 従事する職業がまさに清掃労働者だ。全経済活動人口の2.3%を占める規模だ。

特に、社会的に知らされた大学や病院など大きな規模の事業場以外の小規模な 事業場に従事している清掃労働者の数は圧倒的に多い。2006年、人権委員会の 『清掃用役労働者の人権状況実態調査』研究資料によれば、10〜29人規模の事 業場で働く清掃労働者は男25.1%、女27.5%で最も多かった。その次に高い分布 を示した事業場は1〜4人が従事する小規模事業場(男16.8%、女17.1%)だ。

特にビルは、小規模事業場が多いため、勤労契約の締結形態も非公式な面が強 い。私的なビルで働く清掃労働者のうち勤労契約書を締結するとき、会社と本 人が一部ずつ所有するケースは公的大学(25.6%)でも公的建物(38.7%)よりはる かに低い5.6%に過ぎなかった。特にビル清掃労働者は口頭でのみ契約するケース (15.2%)が他の事業場より圧倒的に高かった。

だが、小規模な事業場に散らばっているビル労働者の勤務環境を集計するのは 難しい。勤務環境調査にも大型ビルを中心に行われる傾向が強い。だから小規 模な事業場の清掃労働者の勤務形態を調べた事例はほとんど一つもない。

散在するビル清掃労働者が声をあげるのも容易ではない。公共労組ソウル京畿 支部のキム・テワン組織部長は、「清掃労働者が5人もいない小規模事業場が多 いが、彼らが個別に何を主張できるか」とし「だから彼らを組織化することも、 現実的には難しい」と説明した。

[出処:チャムセサン資料写真]

ビル清掃労働者の組織化が難しい理由は、この他にも数えきれない程多い。閉 鎖的な構造や、世論化されないことも劣悪な労働者の組織化を難しくするため だ。キム・テワン組織部長は「ビル労働者は別の事業場より、労働強度が強い。 どうしても大きなビルのようなビルは、対民間事業をする所なので清掃の強度 が激しいからだ」とし「だが、ビルは学校や病院と違い、外部から接近自体が 容易ではなく、世論化もできないので使用者側が世論に気を遣わず自分の戦術 を使える構造だ」と明らかにした。

実際、人権委の研究資料によれば、ビル清掃労働者は発注元の使用者より用役 管理者から、多くの業務指示を受ける。閉鎖的なビル構造の中で、用役業者の 不可能はない業務指示と人事決定は、彼らの労働現場をさらに閉鎖的にする。 これは彼らの勤務環境を外部に見えなくする要因にもなる。

そのため世論化や連帯勢力の結集も困難になる。キム・テワン組織部長は、 「大学などでは、開放的な空間で学生や社会的な世論を無視できないという傾 向がある」とし「だが大型ビルで働く正規職の職員は絶対に動かない。発注者 の業務指示を受ける人なので署名も自由にできないからだ」と説明した。

発注者の指示を受けない事務職職員でも、『ビル清掃労働者』への社会的共感 の形成は難しい部分がある。公共労組ソウル京畿支部のクォン・テフン組織部 長は「大学は地域運動のセンター役をして、多くの出身学校卒業生と地域勢力 を集めるが、ビルは一般の市民が特別な感情を持たず、連帯勢力の組織は容易 ではない」と吐露した。

公共運輸労組(準)、清掃労働者の実態調査と組織化事業を準備

集計されない、だから組織化されにくい清掃労働者に対し、公共運輸労組(準) が労働環境の実態調査と対策作りに本格的に着手した。彼らは4月4日から29日 まで、調査員とネチズンの調査を通じ、清掃労働者の労働環境についての客観 的なデータを確保し、制度改善要求案を用意する計画だ。

公共運輸労組(準)のリュ・ナンミ政策局長は、「地域と特性を考慮し、ソウル 地域の100個所ほどの事業場を選んだ後、調査員が直接訪問面接調査で実態を把 握する予定で、ネチズン調査により無作為にビルへの調査もする予定」と明ら かにした。

[出処:チャムセサン資料写真]

学校、病院をはじめ、スーパー、劇場、建物など、多様な領域での労働実態を 調査した後、未組織事業場の現場の組織化を始めるという。リュ・ナンミ局長 は、「だが一回の実態調査で現場を組織することはできないので、4月から5月 頃に戦略組織化事業を行い、未組織の現場を集めていく予定」と説明した。

だが、閉鎖的で散発的な清掃労働者の組織化事業は強い動力と戦略の裏付けが 必要だという困難がある。これについてクォン・テフン部長は「江南や汝矣島 側のビル密集地域を選び、相談と宣伝戦等による組織化事業を構想しているが、 時間と動力が足りず、まだ実行に移せない」と伝えた。

そのため労組は、現在の状況では、比較的世論の集中を受ける大学清掃労働者 の闘争から全清掃労働者の戦いへと世論を拡大させていくことが重要だと強調 している。現在行なわれている延大、高麗大、梨花大などの集団交渉と組織さ れたソウル地域の大学事業場の闘争が成功すれば、ビルなど多様な領域の清掃 労働者の要求と世論化が強まるという展望だ。

クォン・テフン部長は「ソウル地域の大学40校ほどのうち8つか9つの事業場の 闘争が成功すれば、建物などの清掃労働者の要求が洪水のように爆発するだろ う」とし「また戦略組織化事業により組合員を拡大し、以後、直接雇用問題で 対政府闘争をするという大きな枠組みの計画もある」と明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-03-23 08:00:11 / Last modified on 2011-03-23 08:00:14 Copyright: Default

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