韓国:生活保護は、誰のためのものか | |||||||
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基礎生活保障法、誰のためのものか「扶養義務者基準を廃止せず死角地帯を改善しても効果はない」
チョ・ウンビョル記者 2013.04.05 09:55
▲扶養義務者基準の廃止と貧困層死角地帯の解消、貧困層の実質的所得保障を骨子とする国民基礎生活保障法の正しい改正のための討論会が4日午前10時に国会議員会館第2セミナー室で開かれた。 扶養義務者基準の廃止と貧困層死角地帯の解消、貧困層の実質的な所得保障を骨子とする国民基礎生活保障法(以下 基礎法)の正しい改正のための討論会が4月4日午前10時に国会議員会館第2セミナー室で開かれた。この日の討論会は基礎法共同行動、国会議員の南尹仁順(ナミュン・インスン)、国会議員のキム・ソンジュ、国会議員の朴元錫(パク・ウォンソク)が共同主催した。 問題提起に先立って上映された基礎法に関する映像で、キム・ヒョンス(脳病変 1級、37歳)氏は「賃貸住宅に入ろうとしたが、農協からはローンが借りられず、 第2金融は利子がとても高くて保証金を借りられず、結局入れなかった」とし、 「受給者になりたくても両親がいるという理由でなれず、父はこのままここで (施設で)死ぬまで暮らせと言った」と扶養義務者基準の問題を吐露した。 この日、問題提起をした貧困社会連帯カン・ドンジン執行委員長は、現在の 基礎法の問題点として、広い死角地帯、給与水準の不充分をあげた。 ▲問題提起する貧困社会連帯 カン・ドンジン執行委員長 カン執行委員長は「給付を受けられない貧困層が受給貧困層の3倍もある。その 原因の70%が扶養義務者基準のため」とし「これは政府も専門研究機関も共通に 指摘する事項」と明らかにした。 続いてカン執行委員長は「貧困層の唯一の所得保障制度である最低生計費は 『健康で文化的な生活を維持するための最低の費用』と法的に規定された基準」 とし「ところで99年には標準世帯平均所得の40.7%、中位所得の45.5%だったが、 08年度には各々32.8%、36.8%に下がった。これでは生計維持が不可能」と批判 した。 またカン執行委員長は最近、朴槿恵政権が指摘した生活保護の重複給付、過剰 給付について反論し、新しく代案として提示された連携型個別給付も批判した。 カン執行委員長は「政府は受給者に対し過度に扶助が提供されているというが、 ひとまず医療扶助、教育扶助などは現金で支払わないので重複給付ではなく、 過剰給付の議論もさっき見たように、全体的な最低生計費が不足しているのに、 過剰給付というのはおかしい」とし「受給者から脱落すれば、すべての恩恵が なくなるのは社会サービス、社会保険がきちんとしていないことによる問題で、 統合給付の問題ではない」と反論した。 カン執行委員長は「個別給付を導入すれば、受給対象者が拡大するというが、 その理由は選定基準を広げたからで、個別給付のためでない」とし「統合給付 政策でも、最低生計費水準や扶養義務者基準を緩和すれば対象者数が増える」 と主張した。 続いてカン執行委員長は「既存の受給対象者の基準は中位所得40%だが個別給付 では、生計扶助の受給対象者の基準は中位所得30%だ。結局受給階層が縮小され た」とし「生計扶助の受給対象者を除き、教育、住居扶助の対象者を増やすの は、下の石を抜いて上に積むようなもの」と指摘した。 またカン執行委員長は政府が現在の基礎法は勤労誘引体系が不十分で、脱受給 を阻害しているとし、改善方案として勤労能力評価を強化したことにも問題を 提起した。 カン執行委員長は「貧困層は労働市場で競争力がないのに、脱貧困のためには 非正規職差別撤廃など、労働市場に対する対策と社会保障体系構築が必要だ」 とし「こうした対策なしで脱受給だけを強調するのは、勤労能力を根拠として 受給権を剥奪したり受給内容を削減しようとすることでしかない」と批判した。 カン執行委員長は「扶養義務者基準の廃止と推定所得、甘受扶養費賦課の廃止 のない死角地帯改善は効果がない」とし「今議論されている、生計給与基準の 中位所得30%ではとても足りない。50%までは上けなければならないのではない か」と提案した。 これに続く問題提起で、野宿者人権共同実践団の金(キム)ソンミ責任幹事は、 最低生計費計測年度だった2010年、受給17世帯の家計簿を基礎に現在の最低 生計費の問題を説明した。 金責任幹事は「調査した17世帯のうち6世帯を除く11世帯で赤字だった。赤字で はない6世帯のうち3世帯も差額を債務充当した世帯で、実質的に赤字が発生し ない世帯は3世帯だけ」とし「世帯のほとんどが最低生計費を根拠に策定された 現金給付で生活するために相当な困難を経験していた」と明らかにした。 金責任幹事は「標準世帯の最低生計費のうち食料品費は37.6%だが、ほぼすべて の世帯で、食料品費は標準世帯の半分にも達しなかった」とし「特に、二人の 子供がいる重症障害女性の世帯は8.7%しかない」と話した。 金責任幹事は「全体として住居費と医療費、教育費は測定された最低生計費よ り多かった」とし「結局、他の品目で策定された最低生計費を節約して使って いた。これは最低生計費が足りないということ」と指摘した。 また金責任幹事は最低生計費計測と活用方式の問題も説明した。 「3年に一回、最低生計費を計測して非計測年度には物価上昇率を反映して引き 上げるが、計測年度により非計測年度の最低生計費上昇率がとても低い」とし 「結局、実質物価上昇率は反映されていないということ」と批判した。 金責任幹事は「最低住居費を測定する方式は、中小都市アパートの不動産費用 が基準なので、地域と世帯特性を反映する住居費水準は全く考慮されない」と し「これは給与水準を決める時、受給者の年齢、世帯規模、居住地域、その他 の生活条件を考慮すると規定している基礎法個別性の原則に外れる」と説明した。 金責任幹事は「現在のように現実を反映していない低い給与水準で生計給付と 住居給付を分ければ、有名無実な生計、住居保障になる」とし「欲求別改編を 念頭に置けば、必ず欲求に対する合理的な測定と意見収斂の手続きが必要」と 主張した。 続く問題提起で、自活政策研究所の金(キム)ジョンウォン研究責任者は基礎法 が勤労貧困層の支援には不足だと説明した。 金研究責任者は「これまでの基礎法内の自活事業は、勤労貧困層の支援には明 らかに限界がある」とし「履行戦略とプログラム間の連係についての悩みが 必要で、以後進出する労働市場を社会的経済部門まで広げなければならない」 と強調した。 続いて金研究責任者は「自活事業は、給付の面よりサービスの面で接近しなけ ればならない」とし「これらがもっと効果的に作動するためには、自活事業が 基礎法の内ではなく、別途の立法で勤労貧困層の支援方案として位置付けるの が望ましい」と付け加えた。 ▲健康な世の中ネットワーク貧困層 健康権事業団キム・ジョンスク チーム長 健康な世の中ネットワーク貧困層健康権事業団の金(キム)ジョンスク チーム長 は、貧困層の健康で医療給付制度の意味を説明し、現行医療給与制度を批判した。 金チーム長は「貧困層の健康問題は国家の保健医療政策の中で優先順位が高い 問題だが、現行の医療給付は貧困層の一部だけを対象として、病気、負傷のた めの治療を中心とする医療サービスで、貧困層の不健康を招く根本的な要因に ついての制度的接近も不在」とし「また健康保険と医療給付制度に含まれず、 給付を受けられない巨大な医療死角地帯が大きい。2010年基準で健康保険料を 6か月以上滞納している世帯は153万世帯」と指摘した。 続いて金チーム長は、貧しい人々の健康権保障のために医療給与対象者と保障 水準を拡大せよと明らかにした。 金チーム長は「現在3%程度の受給権対象者を医療給付が必要なすべての対象に 拡大して、差別的な1、2種に区分された医療給付政策を廃止すべき」として 「医療給付受給権者の特性による追加給付など、既存の医療保障制度の補完と 保障性を強化すべき」と説明した。 この日、司会を引き受けた全国障害者差別撤廃連帯パク・キョンソク常任共同 代表は、討論会を終えるにあたり「今日感じたことは、所得保障に予算を合わ せるのではなく、予算に所得保障を合わせることが問題」とし、「13年ぶりに 改正される基礎法について、もっとよく準備して現実的な所得保障方案にして ほしい」と伝えた。 一方、昨年6月と8月、今年2月に各々扶養義務者基準廃止等を含む基礎法改正案 が国会で発議された。(記事提携=ビーマイナー) 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2013-04-06 07:03:02 / Last modified on 2013-04-06 07:07:48 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |