韓国:対北朝鮮支援中断は自縄自縛 | |||||||
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韓国の対北朝鮮支援中断は自縄自縛北朝鮮のミサイル発射と韓米FTA - 選択と集中の政治経済 ペソンイン(編集委員)/ 2006年07月21日8時52分 新しい局面の展開 北朝鮮のミサイル発射に続き、7月15日(現地時間)に国連安全保障理事会が対 北朝鮮決議文を全員一致で通過させ、韓半島をめぐる国際情勢が新しい局面に 入った。米国と日本は今回の決議から軍事的行動を合法化する国連憲章第7章 が抜けたことを残念がりつつも、中国、ロシアを対北朝鮮非難の隊列に引き込 み北を孤立させたという点で、概ね満足しているようだ。だが、今回の決議は 北の強い反発を招き、今後の韓半島情勢を予測不可能な状態に追い込んでいる。 これについて韓国のマスコミ各社が大げさに騒いでいる。北朝鮮のミサイル発 射の本質的な問題や原因の深層的な分析はなく、外信に依存して現象だけを歪 曲、拡大している。米政府の立場を既成事実化して正論として受け入れている。 むしろ冷徹な現実認識を見せる国民の意識水準について行けない。 一方、7月14日の韓米FTA第二回本交渉で米国は、医薬品選別登載(ポジティブ リスト)の撤回を要求して交渉の途中で退場するという超強気を動員して終わっ た。つまり交渉を拒否したのだ。表面的には薬価政策は、韓米FTA交渉開始の 先決条件の一つで、ウェンディ・カトラーは保健福祉部の「健康保険薬剤費適 正化方案」が先決条件違反だと抗議し、仮借なく交渉を拒否したのだ。カトラー の立場では、韓国は言葉と行動が違っていたのだ。 だが彼らの本当の胸算用は何だろうか? 米国がもっと大きな実利を取るための 意図的な行動であるという分析と共に、韓米間での「イカサマ賭博」だという 分析もある。つまり、米国が医薬品選別登載を容認する代わりに特許権の強化 を保証させるというように、医薬品問題を知的財産権とまとめてパッケージ・ ディールするということだ。 特に9月の韓米首脳会談で、米国による対北朝鮮制裁を解除する条件として、 米側の要求を受け入れる可能性があるというビッグディール説が流れている。 韓米FTA第三回本交渉が、韓米首脳会談前の9月4日に米国で開催される。場所 の選定もあって、韓米首脳会談を考えると確定できずにいるという消息を聞い ても、これを推察できる。 時期的には、北ミサイル発射問題と韓米FTA第二回本交渉は絶妙にからんでい る。第三回交渉と韓米首脳会談が連動して9月に行われる点に注目しなければ ならない。両国首脳が韓米FTA交渉の未妥結の争点を北朝鮮問題と取り引きす る動きはないのか、警戒を続けるべきだろう。盧武鉉政権お得意の「選択と集 中」の問題になったのだ。 北朝鮮のミサイル発射に対する論議 北朝鮮は、外交交渉が膠着状態に陥るといつも緊張を高めて突破口を探した。 1994年の寧辺原子炉の燃料棒抽出、1998年の多段階推進体の発射といった前例 を見れば、今回のミサイル発射も対話の糸口を見つける戦術として理解できる。 つまり、これまで北朝鮮の瀬戸際戦術だけに効果的な手段もない。 今回のミサイル発射は、北朝鮮の対米・対日宥和政策に対する北朝鮮指導部と 軍部の否定的認識が主な背景にあると見られる。米国は9.19共同声明にもかか わらず、これまで対北朝鮮金融制裁、北朝鮮人権および脱北者問題、麻薬、ニ セ切手、ニセ医薬品などの「北核問題」から「北朝鮮問題」に方向を変え、北 朝鮮に強く圧力をかけた。その上、ミサイル防衛システム構築、北朝鮮の二国 間対話の提案の拒否なども、北朝鮮としては面白くない。日本の対北朝鮮敵対 政策と経済制裁の強化、拉致問題の拡大再生産、総連系団体への弾圧と規制の 拡大なども、一役を買ったものと見られる。 もちろん、時期的には中国の非公式な六カ国協議の提案、米国の独立記念日、 ディスカバリー号の打ち上げ、そして韓国政府の独島周辺海流調査による日本 との摩擦が最高潮に達した絶妙の時点でのミサイル発射は興味深い。特に注目 すべきは、6月19日から23日までグアム近隣海域で米国の主導で進められた 「勇敢な盾2006(valiant shield 2006)」と呼ばれる大規模な軍事訓練だ。こ れと共に、6月25日から7月28日までハワイ近隣で米海軍が主催し、アジア太平 洋沿岸8か国の艦艇などの参加により共同で実施される「リムパック2006」訓 練が注目される。 北朝鮮の意図についてはさまざまな見解が提示されているが、最も有力なのは 対米圧力の手段という見方だ。六カ国協議が提案されている状況で米朝間の接 触の可能性を念頭に置けば、一見妥当に思われる。米国が何の名分もなく北朝 鮮と二国間対話をすることは、ブッシュ政権の敗北を意味する。そのため米国 を対話の窓口に立たせる名分を与えたと思われる。もちろん、米国がそう簡単 に対話に出るとは思えないが、名分さえあれば北朝鮮が先に六カ国協議に出て くるという立場を示すこともできる。 また、ミサイル問題は日本とも密接な関係を持っているので、問題を多国化さ せる可能性も排除できない。また北朝鮮の内部向けという意味もある。困難を 味わっている北朝鮮住民を一致団結させ政権を強化する契機が用意されるのだ。 そしてミサイルを国際社会に商品として見せるという意図も排除できない。 そのため、今回の北朝鮮ミサイル発射は、軍事用か政治用かという区別に意味 はない。こうした意図は分離しているのではなく、相互に緊密に連結している ので、区分することに大きな意味はない。 国際社会の反応と北朝鮮の対応
国連安保理対北朝鮮非難決議は、当初の予想より迅速に、そして高い程度で通 過した。1998年の人工衛星発射当時は発射から2週間後、それも決議ではなく 議長声明だったが、今回は発射から10日後に、それも予想を破って全会一致で 非難「決議」が通過した。今回の決議案通過は当初は議長声明発表で終わらせ ようとしていた中国とロシアの主張を撤回させ非難決議案を提出したためだ。 今回の国連安保理非難決議には、ミサイル発射行為への非難とミサイル発射猶 予宣言遵守の要求、ミサイル関連製品または部品および技術の北朝鮮への移転 の中断の要求、ミサイル関連製品および部品または技術の北朝鮮からの購買中 断の要求、六カ国協議への無条件復帰の要求などが含まれている。 今回の決議の特徴は、国連憲章第7章を援用しなかったばかりでなく、決定 (decide)という表現も入らなかったことだ。すなわち「決定(decide)」という 表現は、国際法的な拘束力を持つと認められるので、今回の決議案の拘束力は 非常に弱いと言える。単に「非難して要求する」という程度、「要求する」と いう程度に終わった。そのため制裁決議案ではなく、非難決議案に近い。 一方、今回の安保理決議には、問題の本質に対する認識が欠如している。すな わち北朝鮮がミサイルを発射したという点に言及しただけで、なぜ北朝鮮がミ サイルを発射したかには全く言及していない。2005年9月以来、米国が対北朝 鮮への金融制裁で北に圧力をかけている状況で、それへの対応措置の一環とし て北がミサイルを発射したという点が言及されていないのだ。 そのような面で、今回の安保理決議は国際政治の現実を明確に見せた。現実の 国際政治では正義や道徳的原則は徹底的に無視され、ただ米国という強大国の 力の論理により支配される。国連という国際機構もこうした力の論理の例外で はないことをよく見せる。ほぼ同時期に発生したインドの大陸間弾道ミサイル 発射実験と、イスラエルのレバノン侵攻に対し、国連と国際社会は何の対応も していない。 また今回の決議は、北のミサイル発射を国際平和の威嚇と規定することで対北 朝鮮制裁の道を開いた。その結果、米国の一方主義的な対北朝鮮圧迫政策を国 際法的に合理化させた。国連憲章7章を援用しなかったとは言え、米国は今回 の決議に概ね満足しており、対北朝鮮金融制裁と海上封鎖(PSI)をさらに強め ると明言した。そして対北朝鮮制裁を段階的に高める意志を明確にした。 このように、今回の決議は公平性という点でも、力の論理で動くという意味で も、いつもと同様に非対称的だ。だがあいまいな側面は見過ごせない。 決議文で示された対北朝鮮制裁内容は大きく2種類で、一つは北に対し、ミサ イル発射猶予宣言を守り、六カ国協議への無条件復帰を要求したことだ。もう 一つは、国際社会に対し、北側のミサイルプログラムに関する取り引きをしな いことを要求したことだ。 ところがこれらの内容は、これまでとあまり違わず、目新しいものがない要求 事項である。すでに国際社会はこうした「禁止事項」をよく知っているためだ。 だから北には全く威嚇にならないメッセージに過ぎない。それでも今回の決議 は米国の一方主義的な対北朝鮮圧迫政策を合理化することで、対話と交渉の可 能性を狭小化し、圧力と対決を促進する役割を果たすという点で深刻な威嚇を 招く。
北は対北朝鮮決議が通過した直後に、外務省報道官の声明で、対北朝鮮決議を 全面的に否定した。さらにすべての手段と方法をつくして自衛的な戦争抑止力 をあちこちで強化していくと宣言した。つまり北は正面対決を宣言したのだ。 北は、外務省報道官声明で「朝鮮半島と東北アジア地域の平和と安全が破壊さ れ、国際法にも抵触しないミサイル発射を問題視するのは強盗的行為」と規定 し、「『決議』が第2の朝鮮戦争挑発の前奏曲」になると評価した。 外務省が言及した後続措置は、まず「他の形」、つまりミサイル発射ではなく、 二番目にミサイルより「さらに強硬」な、三つ目に「物理的行動措置」、軍事 的行動ということだ。整理すれば、米国と日本が追加挑発をすれば、ミサイル 発射ではなく、ミサイルよりも強力な全面的な軍事行動を取るという意味だ。 これまで北は「言葉には言葉、行動には行動」という原則で行動してきたので、 米国の強硬策にも例外なく強硬に対応すると考えられる。こうした意味で、今 後の情勢は予測できない全面対決の様相に発展する可能性が排除できない。米 国は、対北朝鮮制裁手段が残る限り対北朝鮮制裁を強化するだろうし、北を屈 服させる対北朝鮮強硬圧迫政策を放棄しないだろうし、これに対して北は積極 的で主動的な軍事的攻勢により、米国の制裁と圧力に対抗するだろう。 最近の2つの事例は、北朝鮮の立場を代弁している。一つは7月11日に平壌で開 かれた北朝鮮のキムゲガン外務省副相と中国の武大偉外交部副部長の会談だ。 この会談は、クリストファー・ヒル次官補が認めたように失敗に終わった。も う一つは、7月11日から釜山で開催された南北長官級会談だ。南側は今回の会 談で、ミサイル問題の突破口を開こうとしたが、南側の努力も失敗してしまっ た。この会談は、南側の意図とは逆に「ミサイル会談」ではない「コメ会談」 になってしまった。 この二つの事件には2種類の共通点がある。一つは時期的に同じだったという 点。もう一つは韓・中双方が一定程度は仲裁者の役割をしているという点だ。 このような共通点を持つ二つの事件で、北は同じ態度を表明した。両国の仲裁 をすべて拒否したのだ。 このように、北が韓中両国の仲裁をすべて拒否したのは、米国に二者択一を強 要しているのだ。自分たちへの圧力を強化するか、さもなくば自分たちと直接 対話をするかという圧迫を加えているのだ。 韓米首脳会談と韓米FTA
はじめて韓米FTAが韓米首脳会談で言及されたのは、2005年11月の慶州首脳会 談だった。パンギムン長官は、首脳会談直後のブリーフィングで韓米FTAにつ いて次のように言及している。 「盧大統領とブッシュ大統領は、韓米両国が互いに大変重要な貿易および投資 相手国として、経済通商の紐帯をさらに強化することが相互の利益になること を再確認した。双方はまた、FTAの締結が両国の国益にも有益であり、今後は この問題についても緊密に協議していくといった」。 当時の状況は、米国が偽装紙幣問題で北朝鮮に圧力をかけ、ますます米朝の摩 擦が強まっていた時だった。ところが今度は9月にワシントンで韓米首脳会談 を開催するという。韓米FTA第三回本交渉と時期的にかみ合う。マスコミの報 道によれば、今回の首脳会談は年初から大統領府のソンミンスン安保室長とホ ワイトハウスのスチーブン・ハドリー国家安保補佐官が協議を続けてきたとい う。9月の首脳会談は、2005年11月の慶州共同宣言を基礎に、さらに具体的な 懸案の履行方案を導出する会談としての性格が濃いものと見られる。細くは、 北朝鮮の核と六カ国協議再開問題をはじめ、韓国軍の戦時作戦統制権返還問題 と、駐韓米軍基地移転問題、韓米FTA交渉問題、そして状況の変化によって流 動的だが、ミサイル問題などが主要議題になるものと見られる。 ここで2つ注目すべき点がある。まず年初から協議をしてきた点だ。これは、 当時の雰囲気が米国の北朝鮮問題で北朝鮮に圧力をかけ、韓米間の葛藤が尖鋭 化し、両国がその解消方法を模索していた時期であった。次に、これと連動し て韓米FTAと、戦略的柔軟性の問題そして以前から進められてきた韓米FTA四大 先決条件の問題などが集中的に台頭した時期である。 すなわち、盧武鉉政府の立場ではこうした諸般の事案について段階的な手順を 踏み、解決すべき立場に置かれていた。そうした側面で、4-5か月の間、韓米 首脳会談の時期を見極めていたと見られる。その後、韓米FTA阻止と北朝鮮ミ サイル問題が始まり、第三回本交渉が開かれる9月に首脳会談をすることを決 めたという推論が可能だ。 何よりも9月の首脳会談が重要なのは、ミサイルおよび核問題を含む「北朝鮮 問題」が中心の議題になるからだ。この問題が韓米FTAとからんでおり、盧武 鉉政権にとって一つの試験台になる。すなわち盧武鉉政権の平和繁栄政策は、 ブッシュ政権が提出した試験に合格しなければならない運命に置かれている。 ここで最も憂慮されるのは、今年の初めから憂慮されている安保と経済の二者 択一の問題に帰着する場合だ。これまで盧武鉉政府は、安保と経済を分離して どちらか一方を選択し、集中してきた。だが、今はどれか一つを選択するとい う岐路に置かれている。
現在、韓国としては北朝鮮ミサイル問題を中心とする北朝鮮問題、韓米FTAへ の国内の抵抗、平沢問題、戦略的柔軟性問題など、どれ一つ有利な点はない。 ひとことで言えば、北米関係の解決や仲裁のテコの役割ができない。だが米国 はどの問題でも不利なことはない。つまりどう打っても勝てるゲームなのだ。 これまでの2回の本交渉で確認された韓米FTAでの争点は、米国が最初は「関心 ない」から「関心がある」に変わった教育、「譲歩できない絶対条件」のコメ をはじめとする農業問題、「政治的決断」が必要な開城工業団地問題、そして 医薬品、知的財産権などが核心だ。 こうした条件の中で、韓米首脳会談の方向性と内容について、いくつかの絵を 描いてみることができる。 今回の韓米首脳会談の核心は、北朝鮮問題を解決する外交的努力で米朝間の二 国間対話の出口を開くことだ。現在、韓米両国は北朝鮮のミサイル発射を外交 的努力で解決する意志を示した状況だ。だから盧武鉉政府の「韓半島問題およ び北朝鮮問題の平和的解決」の立場の保障を受けることはあまり難しくないだ ろう。ただし、韓米同盟の強化による緊密な協調体制の維持を前提条件にしな ければならないため、それ相応の代価を支払わなければなるまい。 予想される結果が常にそうだったように、韓米首脳が「北朝鮮問題の平和的な 解決」という原則に対し、修辞的な宣言に似た次元で合意する。また大笑いす る両国の首脳の顔がTV画面を埋め尽くすだろう。 実務次元の交渉で一般的に予想される結果は、若干の心配はあるが比較的単純 だ。現在の北朝鮮問題解決の糸口は、対北朝鮮金融制裁解除と米朝間対話だ。 この2つの要求条件と、医薬品、教育、農業問題をはじめとする韓米FTAを対等 交換することだ。 米国は、損益計算で2つの条件のうち一つを受け入れる事もでき、二つの条件 とも受け入れることもできる。だが2つとも受け入れることは米国には大きな 負担になるため、それほど簡単ではないだろう。韓米両国が「米朝二国間対話 の努力」に合意し、盧武鉉政府がその代価として韓米FTA争点分野のうち医薬 品などの一部を譲渡することが予想される。 現在、最も憂慮される結果は、北朝鮮問題と韓米FTAのビッグディール説だと いう。ところがビッグディールには、等価交換が必要だが、現在の盧武鉉政府 に切ることができるカードは殆どないので、現実的にはビッグディールは難し いだろう。したがって、状況によってはスモールディールにもなり、一方的な ゲームにもなりうる。 盧武鉉政府の立場として最も理想的なのは、開城工業団地問題と対北朝鮮金融 制裁問題などをまとめて一度に対等交換することだ。だがその可能性は非常に 低い。北朝鮮ミサイル問題が起きるまでは、開城工業団地が効果的なカードと して交換の対象になった。だが、今の盧武鉉政権にとって選択肢は大変少ない。 もちろん、変数がないわけではない。韓米同盟の強化という次元で米国のミサ イル防衛、PSIに韓国が積極的に賛同するカードは非常に効果的だ。だがこれ らのカードは盧武鉉政府ばかりでなく、韓半島を災害に導く悪魔の誘惑に過ぎ ず、決して使うべきではない。 今回の韓米首脳会談が対内的に危機に瀕した盧武鉉政府の脱出口であることは 間違いない。ブッシュの決断が盧武鉉の運命を変えるかもしれない。果たして 9月の首脳会談でブッシュは盧武鉉一等兵を救うのか、興味深い。 瞬間の選択が未来を左右する 国連決議に北朝鮮が反発することで、今後、対北朝鮮制裁措置が予想される。 もし経済制裁とともにさらに軍事的な圧力攻勢を強化するとすれば、まず金融 制裁と海上封鎖(PSI)を強化する措置と、韓国などの国際社会を対北朝鮮制裁 の隊列に引き込むために執拗に努力するだろう。米国が狙うのは、段階的な制 裁の強化で北を徹底的に孤立させ、弱化させ、崩壊を実現することだ。「経済 制裁による北朝鮮の孤立化」が米国の最優先の戦術になるだろう。これに基づ いて段階的に「軍事的圧力と制裁(戦争)」を実現させる緻密な準備を着々と進 めていくものと見られる。 だが米国の意図は、韓半島周辺の国家によって失敗するだろう。何より韓国と 中国の努力が問題解決の条件だ。両国は持続的に米朝双方の説得の努力に専念 し、対話の場に引き込む方案を模索しなければならない。北朝鮮に対する中国 の支持は若干不足しているようだ。南韓の対北朝鮮支援の中断は、自ら鎖をは めるようなものだ。 今は対話で問題を解決する重要な局面だ。中国と韓国政府は、まず交渉の局面 を作るための外交的努力に力を傾けなければならない。米国と日本も北のミサ イルを契機として、MDの加速、日本の軍事大国化を推進するような愚を冒して はいけない。重要なことは、物理的圧力で屈服させる戦略の成功は難しいとい うことだ。また盧武鉉政府は、米国との取り引きや交換が韓半島の運命を左右 するということを肝に銘じるべきだ。何よりも盧武鉉政府の賢明な判断が必要だ。 ペソンイン氏は明知大北韓学科教授で教授学術共対委執行委員および民衆言論チャムセサン編集委員をしている。本文は討論会提案発表文を要約整理した文だ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2006-07-24 01:27:27 / Last modified on 2006-07-24 01:27:28 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |