韓国:『世界の薬局』を救え | |||||||
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『世界の薬局』を救え[寄稿]インド-EU FTA交渉を中断してノバルティス訴訟の棄却を
クォン・ミラン( HIV/AIDS人権連帯ナヌリ+) 2011.11.30 16:11
インドは『世界の薬局』と呼ばれるほど、多くの開発途上国に安い複製薬を 供給してきた。120か国以上の開発途上国に供給されるエイズ治療剤の90%が インドの製複薬で、世界のエイズ治療剤の50%をインドが供給している。インドは エイズ治療剤の他にも抗生剤、抗ガン剤、血圧薬、糖尿薬など、世界の複製薬市場 の20%に当たる医薬品を供給している。 インドが『世界の薬局』になった理由は、1987年に米国の一方的な強要で成分 特許を導入した韓国と違って、2005年まで成分特許制度を導入せず、2005年に 物質特許を導入しても、医薬品接近権を保護する条項をインド特許法に入れて いたからだ。今、インドでは『世界の薬局』の未来を決める重要な事件が起き ている。まさにインド-EU FTA(インド-ヨーロッパ連合自由貿易協定)交渉と 超国籍製薬会社、ノバルティスのインド特許法に対する訴訟だ。 ▲2010年1月、歩道|インドを訪問した韓国の活動家. Drop Novartis' Case(ノバルティス訴訟を棄却しろ) 11月29日、ノバルティス訴訟での大法院の最終弁論が予定されている。2005年 に始まったノバルティスと癌患者団体、インド政府間の法的攻防は、インドの 特許法3条(d)に影響する重要な裁判だ。インド特許法3条(d)は韓国の特許法と は違い、改良新薬や既存医薬品に小さな改良を加えた医薬品には特許を認めず、 既存薬より治療効果の改善がある医薬品にのみ特許を認め、超国籍製薬会社の 特許独占『エバーグリーニング戦略』を防止する効果がある。 2006年にチェンナイ特許庁がインド特許法3条(d)によりグリベックの特許を認 めないという決定をした。すなわちグリベック(イマチニブのベータ決定型)が 既存のイマチニブを若干変形させたものでしかないので特許権を付与できない ということだ。ノバルティスは特許庁の決定に従わず、インド特許法3条(d)が TRIPS協定とインド憲法に反すると訴訟を提起したが、マドラス高等法院と知的 財産控訴委員会(Intellectual Property Appellate Board)も、ノバルティスの 訴訟は適当ではないと結論した。そのためノバルティスは、2009年に3条(d)の 解釈について大法院に訴訟を申請した。 大法院がノバルティスの訴えを認めれば、まずインドの白血病患者が死に追い やられる。インドでは毎年約2万5千~3万人の白血病患者が新しく発生し、毎年 1万8千人が死亡している。次にはタイの白血病患者が生命を脅かされる。タイ では2008年1月にグリベックの強制実施を発動し、インドからグリベックと同じ 薬を輸入することにした。タイ政府が国民健康保険制度でグリベックを供給す るには、薬の価格が高すぎたためだ。さてノバルティスは何をしたか? ノバル ティスはタイで年間世帯所得が5千5百万ウォン以下の場合、グリベックを無償 で供給すると立場を変えた。ほとんどのタイ白血病患者はノバルティスの無償 供給プログラムの対象になり、タイ政府は無償供給が中断しない限りグリベッ ク強制実施を施行しないことにした。もしインドでグリベックと同じ薬が作れ なくなれば、ノバルティスが無償供給を続けるだろうか? ノバルティスが無償 供給を中断すればタイ政府が押し退けた強制実施を施行しても輸入する複製薬 はない。 ノバルティスの訴訟は韓国でもさらに大きな問題は、小さな変化でも(革新的)新薬と誇張する多くの医薬品に 特許を付与できるようになるので、グリベックだけの問題ではないということ だ。今のように安い複製薬を生産できなくなり世界の薬局が消えるかもしれない。 ノバルティスは韓国でもよく知られた製薬会社だ。ノバルティスという言葉を 聞いただけで歯ぎしりする人もいる。2001年ノバルティスがグリベックを韓国 の市場に発表した時、1か月に300万ウォン以上の価格を要求した。特許権があっ たからだ。韓国政府は対応できず、白血病患者は『薬価の引き下げ』と『保険 適用拡大』、『グリベック特許の強制実施』を要求し、1年半以上戦った。だが 結果はみじめだった。福祉部はノバルティスの要求通り、1か月に270万ウォン 以上の価格を決定し、特許庁は強制実施請求を棄却した。当時、一部の患者は インドの製薬会社ナッコ(Natco)からグリベックと同じヴィナット(Veenat)という 薬を1か月に120ドル、つまりグリベックの1/20以下の価格で購入した。2008年 には社会団体で『グリベック薬価引き下げ申請』を行ったが、福祉部はわずかに 薬の価格を引き下げると結論を下した。ノバルティスはこれについて訴訟を行い、 まだ進行中だ。このように、薬価決定と医薬品の供給にあたり、特許権者の 独占的権限が強い状況で、韓米FTAも強行採決で批准され、将来はまっ暗だ。 もうひとつの事件、FTA『世界の薬局』の未来を決めるもうひとつの事件は、インド-EU FTAだ。医薬品 資料独占権と知的財産権執行措置を含むインド-EU FTA交渉が3か月以内に結論 が出る。今年のはじめに署名する予定だったが、世界の患者と活動家が闘争を 行ったことで交渉が遅れ、ヨーロッパ連合は資料独占権と知的財産権執行措置 を除くという。しかし今は2012年2月に予定されているインド-ヨーロッパ連合 首脳会談の前に交渉が完了しなければ、交渉を破棄するとインド政府を圧迫し ている。インド-EU FTA知的財産権部門の交渉がニューデリーで12月5~9日に開 かれる予定だ。 資料独占権が付与されると、特許がないか、特許が満了した医薬品にも、販売 独占権が発生し、複製薬生産ができなくなる。その上、強制実施のような特許権 の公共的使用もできなくなる。インドの製薬会社ナッコは2011年8月にバイエル 社が特許権を持つ抗ガン剤のネクサバールに対して強制実施を請求した。安い 複製薬をインドで生産、使えるようにする強制実施としては初めてだ。最新の エイズ治療剤にも強制実施を請求する準備をしている。インド-EU FTAが締結 されると終わりだ。知的財産権執行条項は超国籍企業が知的財産権侵害を口実に 司法手続きの基本原則を傷つけ、民事・刑事訴訟を簡単に提起できるようにし、 過度な賠償金を受け取って、複製薬を偽造品と見なして差し押さえる内容が含 まれている。知的財産権執行措置はインド製複製薬の輸入・輸出を防ぐことになる。 インド政府が韓国の前轍を踏まないことを望む。インド政府が『世界の薬局』 を守るかどうかは、世界120か国の患者の生命に直結している。インド-EU FTA 交渉は今すぐ中断されるべきで、ノバルティス訴訟は棄却されなければならな い。(出処=人権オルム) 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2011-12-01 01:41:48 / Last modified on 2011-12-01 22:48:50 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |