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非正規職差別と抑圧を隠す学校

[連続寄稿](6)学校非正規職構造調整阻止で平等な学校を作ろう

キム・テワン(公共労組ソウル京仁地域公共サービス支部組織部長)/ 2010年04月19日14時14分

学校非正規職労働者たちは、すでに各種の法制度の問題で深刻な雇用不安と勤 労条件の下落、低賃金のくびきをはめられている。特に学校は保守的で抑圧的 な空間だ。ここで闘争すること自体が容易ではない。さらに、1つの事業場には 職種別に1人ずつしかおらず、給食室を除けば集団性そのものが見つけ難い。学 校内の非正規職が互いに共感を感じにくいのだ。そして労働の過程そのものが、 ほとんどの人にはよく知られず、副次化された業務と扱われることが多い。

だが、むしろこうした困難な状況だからこそ、学校非正規職労働者の声が堂々 と鳴り響かせるのは大変重要な問題だ。これは私たちすべてが10年以上体験し た学校という空間で行われる隠された差別と抑圧の機制を是正することだから だ。そしてこの社会の誰の労働でも、決して副次的であることはなく、実際に とても重要なことだということを学生に知らせることだからだ。それこそ平等 教育の開始と言えるだろう。

この文では学校非正規職の構造調整を量産する核心情勢を調べ、これを越える ための私たちの現実的な実践目標を提示したい。

非正規職法による犠牲者量産、現場闘争の勝利を越え、悪法廃棄で克服を

2007年7月、非正規職法施行から2年の時点で、学校非正規職労働者の雇用不安 は深刻化し続けてきた。特に2010年2月、学校非正規職労働者に初めて非正規職 法による「満2年以上」勤務者が無期契約化される時点だった。したがって正規 職(無期契約職)に転換をさせないため、学校側の解雇が集中すると予想され、 これはかなり部分、現実となって現れた。特に私立学校でこうした現象が目立 つ。それでも人情のある校長は、他の学校に職を探するなどの態度を見せた。 だが結局その中に敷かれている本心は、学校非正規職労働者たちを正規職化す ることはできないということだ。

そしてソウルでも非正規職法で解雇された学校非正規職労働者が労働組合の扉 を叩いた。彼らは学校非正規職の1年契約が満了する2月28日のちょうど1か月前、 1月27日に契約満了通知書を受け取った。それは木洞にあるジンミョン女子高等 学校で8年間働いた教務補助と、12年間働いた施設管理労働者の2人だった。彼 らは校長を訪ね、人情に訴えて解雇だけは考え直すよう嘆願して要請文を出し た。しかし校長は生存をかけた叫びをびくともせずに無視した。彼らは切迫し た気持で労働組合の門を叩いた。結局彼らは労働組合と共に力強く闘い、3月 11日付で堂々と復職を勝ち取り、現在、学校という現場ではめずらしく数十人 の組合員が組織されている。行政室、教務室、施設管理、給食室がすべて一つ の組織に集まっている。彼らは今学校との団体交渉を準備している。

今回のジンミョン女子高校の事例は大きく2つを示唆する。一つは学校非正規職 に加えられた非正規職法による解雇の輪を断ち切るのは、まさに現場での闘争 にならざるをえないということだ。そしてもう一つは学校で多くの組織化が成 功し、職種を越えた団結で、現実の勤労条件を改善させる端緒が形成されたこ とだ。この成果に留まらず、長期的に具体的な労働条件の改善と、これにより すべての学校に模範になる事例にするべきだ。そして最も重要なことは組織さ れた学校非正規職の力で悪法撤廃闘争の戦線に立つことだ。

インターン教師制による解雇、学校非正規職労働者の運命をかけて闘争を

今回の2010年には学校非正規職労働者への超短期勤労契約も頻繁に行われた。 今年3月に再契約はするが、その契約が6か月、4か月契約ということが発生した のだ。これは特に蔚山市で著しい事例で、やはり私立学校で多数発生した。彼 らがこのような短期再契約をした理由は何か?

政府は2009年9月1日からインターン教師制という4か月の短期契約職制度を始め た。普通インターン教師と言えば、教師の問題に限って考える傾向が強い。し かし現在、インターン教師を使える職種は、学校非正規職が行う全ての業種に 該当する。したがって、学校は今回の超短期勤労契約が終了した後にインター ン教師を採用するつもりだ。これは現在の契約が終了し、インターン教師を採 用した私立学校が多いことから見て、十分に予想可能な展望だといえる。また このインターン教師制が学校非正規職にもたらす害悪は、まさに4か月、6か月 の超短期勤労契約職を一般化させることだ。

もちろん学校ごとに1人、2人と解雇されている劣悪な現実の中で、まだこの問 題は社会的に注目されていない。しかしまさに今この時点から現場闘争を組織 し、断固として戦わなければならない。学校がインターン教師採用により、勝 手に解雇できないよう現場の労働者組織を作らなければならない。そしてイン ターン教師制という制度を廃棄する断固たる実践を展開しなければならない。

2010年学校非正規職構造調整闘争の核心課題

学校非正規職労働者の2010年は、ジンミョン女子高校闘争の勝利で力強く開い いた。今は学校非正規職労働者たちの声がこの社会にとどろき、彼らをめぐる 抑圧の輪を断ち切る新しい闘争を準備する時だ。学校非正規職労働者の雇用安 定と学校内差別を粉砕するため、2010年に行うべき核心的活動課題は以下の通 りだ。

一、学校非正規職労働者が集まることができる組織を拡大して、さらに強化さ せなければならない。特にジンミョン女子高校闘争で組織された給食労働者の 要求を受け止め、多くの学校の給食労働者が自分の声をあげられるようにしな ければならない。ご存知の通り、調理従事者は年俸は245日で計算というひどい 賃金計算法で、合法的に最低賃金水準の賃金を受けている。人材も足りず、労 災の威嚇に苦しみながら、一日に12時間の長時間労働に苦しんでいる。学校で 彼らの声が正当に反映されなければならない。そして彼らの場合、学校非正規 職労働者の中で集団性を持つ唯一の職種で、彼らが団結する時、学校の全職種 の労働者が団結することが容易になるだろう。そして学校内での団結を創り出 し、ひいては事業場を越える団結を作るのは、構造調整政策を粉砕する闘争に おいて最も重要な力になるだろう。

二、非正規職法、インターン教師制、学校行政業務改善促進法などの各種の悪 法と構造調整誘発制度に対する廃棄闘争および世論拡大事業を実践し、政府に 問題提起しなければならない。これらの制度は全て学校非正規職労働者の常時 的な構造調整と勤労条件の悪化を誘発する。これで学校非正規職労働者が集ま る希望の旗をたててる時だ。

三、現在、ソウル市教育委員長選挙には公共労組ソウル京仁地域公共サービス 支部学校非正規職分会(以下ソウル京畿支部学校非正規職分会)が汎推委運営委 員として積極的に介入している。教育委員長選挙政策に学校非正規職労働者の 要求を反映させるべきだ。これは、上で学校非正規職労働者の声の意味につい て論じたように、真に学校を平等な教育の空間にして学生に正しい世の中を知 らせるためにも重要な問題だからだ。ここには学校行政業務改善促進法、イン ターン教師制、非正規職法などの悪法の廃棄とともに、給食労働者の現実を改 善する政策、雇用安定対策などがすべて含まれなければならないだろう。

まさに学校非正規職労働者が味わう雇用不安の現実と小さな勝利、そして今年 すぐ直面している課題まで見てきた。これを実践に移すのは学校非正規職労働 者主体の実践が最も重要だが、平等な学校を作ろうとする多くの仲間たちの連 帯も大変重要だ。教育の空間を正しく立て直す闘争において、教育の主体なら 誰もが例外ではありえない。教員評価制阻止、ソウル市教育委員長選挙などと 共に、学校非正規職労働者の闘争も教育主体闘争の重要な課題だ。平等な学校 を作るために共に闘争する時だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-05-03 12:29:25 / Last modified on 2010-05-03 12:29:27 Copyright: Default

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