韓国:『われわれは幽霊でない』と宣言した清掃労働者 | |||||||
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「休む所がなく、トイレでご飯を食べます」[人権オルム] 『われわれは幽霊でない』と宣言した清掃労働者
緑茶、ミョンスク/ 2010年03月11日16時01分
3月3日、春らしくなるだろうという期待と違い、日陰にある新村駅の向い側は 寒かった。春風だとそうなのか暖かそうに見えながらも、冷たい気勢が漂う。 新村駅前の小さな広場に午前11時からのキャンペーンを準備する人々が集まっ た。女性非正規職労働者の中でも一番多いのに、『女性、高齢、非正規職』と いうくびきの中で、まともな権利を保証されない清掃労働者の実態を伝えるた めに今回のキャンペーンは企画された。清掃労働者の最大の困難は、1位が低賃 金、2位が食事の問題だった。それで『清掃労働者に暖かいご飯一食の権利を』 というキャンペーンの名前をつけて、ご飯一食も暖かくゆっくり食べられない 清掃労働者の境遇を市民に知らせた。 ▲2010年3月3日新村駅で暖かいご飯一食の権利キャンペーンをしている。[出処:人権オルム] 急いで通り過ぎる市民がキャンペーンのブースの前でしばらく足を止める。何 かを小さな紙に書く。何を書いたのか? 小さな紙には裏表に〈私にとってご飯は000だ〉と〈清掃労働者たちがトイレで 冷飯を食べる理由は000のためだ〉と書かれている。空欄を埋めるために、すべ ての人は、頭をかしげて苦しむ。そしてしばらくそこにいた人々は空欄にどん な言葉を書いたのだろうか? 人によって、ご飯の意味はさまざまだったが、生活の大切な部分を占めている と話した。「生、休符、力幸福、人生、生活の楽しみ、生存、天賦の人権、日 常、遅刻してもすること」 ご飯は誰にとっても大切で欠かせないもので、生活の一部分だ。しかし多くの 清掃労働者にとって暖かいご飯一食が生活の一部分になっていない。また彼女 たちは、清掃労働からしばらく抜け出して休息を取ることができる空間も与え られない。 では人々は清掃労働者がトイレで冷飯を食べる理由をどう推測したのだろうか? 「差別、休む空間がない、韓国の低い福祉水準、自分のことしか考えない雇い 主、悪い学校行政と私たちの無関心、ジャングルのような世の中、MB、一等し か考えない世の中」 清掃労働者が証言する労働条件 市民は清掃労働者たちがトイレで冷飯を食べる理由として、韓国の企業の利己 的な行動と、清掃労働者への差別を指摘した。この日のキャンペーンは、清掃 労働者のさまざまな労働条件を伝える場でもあった。キャンペーン場所の周辺 に展示された写真で、清掃労働者の休む空間を見ることができれる。ほとんど 狭苦しい空間だったが塗装もされないレンガが並ぶ天井もあった。お金を払っ て食事ができる程賃金が払われない非正規職の現実、弁当を包んできても、そ れも食べられる休憩空間さえないことを、キャンペーンに参加した清掃労働者 の証言で知ることができた。 午後1時を少し越えた時に始めたパフォーマンスは、清掃労働者の劣悪な状況を 表した。『昼休みのトイレ』を描写するパフォーマンスで、清掃労働者が弁当 を食べる。横の部屋のある人は化粧を直し、誰かは大便をし、誰かは昨日の夜 に食べたものを吐いているが、清掃労働者たちは『ここ』で『ご飯』を食べて 休息を取る。 もちろん、すべての清掃労働者がトイレでご飯を食べるのではない。だが、私 たちが注目すべきことは、トイレが持つ象徴性だ。トイレ『ほどに』劣悪な空 間しか彼らには与えられない。きれいな建物のどこにも清掃労働者が休む所は ない。たとえ休憩空間が用意されていても、非常に狭苦しくて、休憩空間とし て機能しない。高麗大学病院清掃労働者は、「休息空間はあるが、20人がすし 詰めで身を置いて座っていなければならない」と言った。 また彼女たちの労働環境は物理的な劣悪さだけではない。これに続く『清掃労 働者証言大会』での当事者の証言によれば、最低賃金をやっと越える「80万ウォ ンを受けて、明け方に出勤し、二食の食事費の月12万ウォンは使えない」と言 う。事実、68万ウォンで2人以上の家族生活をまかなうのは、夢も見られないで はないか。 ▲2010年3月3日梨花女子大で暖かいご飯一食の権利キャンペーンをしている。[出処:人権オルム] キャンペーンに参加した高麗大学病院清掃労働者の話によれば、労働者に与え られた空間は、『清掃道具を整理する所』か『建物のさまざまな配管設備が設 置された配管室の片隈』だった。全く安全ではない空間で清掃労働者が休んで いる。それでも病院側はJCI (国際医療機関)認証を受けた誇らしい病院だと宣 伝している現実。清掃労働者の鬱憤に同感する。また梨花女子大では、延面積 2万坪にもなるキャンパスセンターには、書店、銀行、劇場、食堂などが入って いるが、ここに清掃労働者のためのきちんとした憩いの場はない。 新村駅キャンペーンを終え、梨花女子大までデモ行進し、大学の中で清掃労働 者の劣悪な実態を知らせた。学生に清掃労働者の状況を知らせて連帯を引き出 そうとした。だが相変らず学校の保安責任者は清掃労働者の正当な労働組合活 動を脅して防いだ。1月に梨花女子大清掃労働者は学校側が場所を貸してくれず、 外で雨に降られながら労働組合の結成式をした。 労働者としての生存と品位のために 米国の清掃労働者の闘争を描いた映画『パンとバラ』で、清掃労働者が新しく 入ってきた労働者に言った言葉を思い出した。「ユニフォームを着た瞬間、わ れわれは幽霊になるんだ」。国内には43万の清掃労働者がいる。そのうち女性 労働者は70%を越えるが、彼女たちがどんな待遇を受けているのか、どこで働き、 どこで休むかは全く知られない。こうした現実は女性労働者を『幽霊』と呼ぶ に値する。 映画『パンとバラ』では、『パン』は基本的生存権を、『バラ』は人間として 享受すべき品位を象徴する。まだ清掃労働の過小評価と高齢女性労働への差別 が存在する現実では、行く道は遠い。だが今始めなければ韓国の清掃労働者に パンとバラは、現実にならないだろう。「今ここに」で始まるキャンペーンが 清掃労働者の人権に向けた第一歩になることを期待したい。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2010-03-13 15:32:29 / Last modified on 2010-03-13 15:32:32 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |