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本当の社長を探して出かける5泊6日の旅行

[非正規職希望バス](1)正規職0人工場...希望バスに熱狂する理由は

チェ・ジニル(ドンヒオート社内下請支会) 2011.07.14 10:16

[編集者注]来る7月22日は2年以上働いた社内下請非正規職労働者は不法派遣 だから現代車正規職だという大法院判決から1年になる日だ。7月1日にも大法院 はタイヤを包装する錦湖タイヤ非正規職労働者が不法派遣なので正規職だと判決した。

しかし現代自動車は大法院判決を拒否しており、昨年11月15日、すべての社内 下請の正規職化を要求する25日間の占拠ストライキを理由として104人の解雇、 1091人の懲戒、162億の損害賠償請求など、最大規模の懲戒をした。大法院判決 1周年をむかえ、現代、起亜、韓国GM、双竜、現代ハイスコなど100人の非正規職 労働者が、7月18日から6日間の希望バス全国ツアーに出る。全国10都市の12の 工場を訪ね、希望の種を渡す。最後日の7月23日には全国の非正規職労働者、 正規職労働者がソウルに集まり、美しい連帯の力で絶望の現実を越え、希望の職場、 希望の社会を探しに出る。なぜ彼らが希望を探してでかけるのか、非正規職代表 事業場労働者の文を連載する。

[出処:蔚山労働ニュース ヨン・ソルロク現場記者]

何か月か前、ある飲酒者が警察署地区隊に凶器を持って入りこみ、騒いだ事件 があった。当時のCCTV映像に、無責任に逃げる警察官の姿がそのまま残ってい たので、事件は何回もニュースで扱われ、結局、チョ・ヒョノ警察庁長官は 『銃器の使用を拡大しなければならない』とし、組織暴力のような面目を遺憾 なく発揮した。

『それほど射撃がしたければ軍隊に入ればいい』と激しい非難が起きたがまさ にその飲酒者がなぜ暴れまわったのかを心配する人は殆どいなかった。伝えら れたことによれば、彼は日雇い建設労働者で、解雇されたうつ憤を晴らすため 警察署を襲撃したという。

ある非正規職労働者の解雇

つじつまが合わない。日雇いなのに解雇された? うつ憤を晴らすため警察署を 襲撃する? 恐らく彼は、派遣業者を通じて日当を受け、建設労働者として働い ていたのだろう。多段階下請けの一番下の小さな建設業者が、派遣業者に彼の 日当を支払い、その日当の20〜30%は派遣業者社長のポケットに入ったのだろう。

そうして同じ現場で長い間働いてきた彼が『明日から出てくるな』という一言 で解雇通知を受ける。派遣業者の社長は『仕事がないのだから仕方がない』と 言う。無学な彼には何も言えない。建設業者に行くと『あなたはこの会社の職員 ではない』という。やっと彼は悟る。

『毎日私に働かせた人は、私の会社の人ではなかった』。

彼は突然の解雇に怒ったが怒りの対象が見つからなかった。いったい誰が私を 解雇しのか? 私の社長は誰か? 誰に抗議して、誰に怒ればいいのか? つじつま が合わない彼の『犯罪』は、つじつまが合わない『犯罪的現実』から始まった。

絶望の工場、絶望の社会

こうしたことが、いわゆる『ノガダ(土方)』だけで起きると考えるのは誤算だ。 自動車、造船をはじめ多くの製造業工場が社内下請で、非正規職労働者を雇用 している。そしてこれは現行法上、不法だ。

1年前の7月22日、大法院は現代自動車の社内下請は不法派遣と判決し、続けて 韓国GM、錦湖タイヤで同じ判決が続いた。そのため現代自動車社内下請労働者 は正規職化を主張して、25日間の占拠ストライキをはじめ、多くの闘争を繰り 広げたが、現代車資本はとんでもない弾圧を続けた。104人が解雇され1094人が 懲戒された。不法行為の当事者である鄭夢九会長は、まだ何の処罰も受けてい ないのにだ。

▲昨年の冬に25日間、現代車蔚山第1工場占拠ストライキを繰り広げた現代車非正規職労働者たち[出処:資料写真]

同じ仕事をしても半分の賃金で生活する苦痛、数年間セクハラされ続けても、 逆に解雇される佗びしさ、労働組合活動でもすれば解約、業者廃業をしてでも 解雇される。社内下請労働者たちは、この多くの差別と怒りを『下請人生』と 呼ぶ。その下請人生を終わらせる1筋の光のような大法院の判決にもかかわらず、 現実は相変らず『絶望』だった。

だが、絶望は非正規職労働者だけではなかった。狂ったように上がる登録金を 払うため、アルバイトをしていた大学生が労災事故で死に、怪我をし、結局は 街頭に飛び出した。半額登録金公約を履行しろと叫び警察に殴られ連行された。

では差別される心配なく、子どもの学費は会社が支払う正規職労働者に変った ことはなかったのだろうか? 双竜自動車と韓進重工業では整理解雇、ヴァレオ 空調コリアでは偽装廃業、ユソン企業では職場閉鎖で、労働者が工場から追い 出された。

そのたびに用役チンピラと公権力は労働者を残忍に踏みにじり、今、労組破壊 コンサルティングという華やかな事業で成長する状況になった。2011年の韓国 社会は絶望を印刷する大きな工場になっている。

絶望の終わりで笑いながら出会う人々

それなのに、1万人の人々が『希望』という聞き慣れない名前のバスに乗った。 絶望に満ちた世の中でもがいていた彼らが、また『希望』という単語に熱狂し て楽しみながら、笑いながら、釜山韓進重工業に集まった。

もちろん、彼らの2日間は楽しいだけではなかった。韓進重工業へ向かうところ はチョ・ヒョノの新しいおもちゃで詰まっていたし、多くの人々が催涙液に、 盾に倒れた。だが翌朝、人々は再び笑いながら『希望』を話した。

彼らはなぜ希望バスに乗り、なぜあれほどキム・ジンスク指導委員と会おうと したのだろうか? パク・チャンス、キム・ジュイク、クァク・ジェギュ。3人の 死を背に、今は彼自身の死と向かい合って座っているキム・ジンスクが見せる 微笑とうれしそうに振る手。必ず生きて降りて行くという約束と勝利の決心。 それが極限の絶望の中でも希望があることを証明しているためだろう。

絶望的な現実とものすごい苦痛の中でも、互いの手を取り、何とか生きていこ うとする自分たちの姿とあまりにも似ているためだろう。あれほど見つけよう とした希望を見つけたからで、またその希望が私たち中にあることを確認でき たからだろう。

絶望の工場を希望の工場に! - 九青年漂流期

『絶望の工場を希望の工場に!』ドンヒオート解雇者がいつも叫んだスローガン だ。ドンヒオートは起亜自動車モーニングを作る最初の完成車外注下請工場で、 最初の生産職100%非正規職工場だ。

『絶望の工場』の元祖と呼ばれるここで、労働組合を作ったことを理由に解雇 された9人のドンヒオート社内下請組合員は、3年間の復職闘争の末に全員復職 に合意して、6月30日一次に3人の組合員を復職させた。

彼らは解雇された後、『やらなかった闘争はない』程、多くの出来事を体験し た。工場の前では出勤闘争をしたし、労働部に抗議して、市庁を相手に問題解 決を要求するテント座り込みも1年を以上繰り広げた。退職金をピンはねした 名ばかり社長の家まで行って受け取ったりもした。

そして最後に現代起亜車本社に向かい、115日間の野宿闘争で復職を実現した。 彼らのどたばたの3年間は本当の社長を探して出かけた漂流期のようなものだ。 彼らの旅程は鄭夢九に達して復職で終わったのは、ドンヒオート労働者の本当 の社長は結局、鄭夢九だったことを示す。

▲昨年11月、使用者側と復職に合意した後の調印式でのイ・ベギュン支会長の姿[出処:チャムセサン資料写真]

正規職0人工場、もうこれ以上『漂流期』という必要ない

非正規職労働者が非正規職のない工場を作る全国巡回闘争に出る。7月18日から 6日間、不法派遣正規職化闘争が行なわれている事業場を訪問し、全国的な流れ を集める一方、ドンヒオートの後に従って『正規職0人』で作られた工場を訪問 し、現実を暴露して糾弾する。

ドンヒオートのような『正規職0人』工場は、すでに製造業で急激に広がっている。 自動車、造船、重工業、鉄鋼など、部門を問わず非正規職の割合は増えていて、 新規の工場は初めから非正規職だけで運営されているのが実情だ。

現代モービスの8つの工場、現代ウィアの3つの工場、現代重工業群山造船所、 STX重工業、現代ハイスコ蔚山工場などの大企業が、正規職は管理者だけで、 生産現場はすべてが非正規職で満たされた『正規職0人』という野蛮の工場を 運営している。それでこの希望バスは蔚山現代モービスから出発し、こうした 現実を暴露する。

『正規職0人工場』を『非正規職0人工場』にすることは、一度の巡回闘争で できるものではないだろう。だが、少なくとも今の非正規職労働者にはドンヒ オートのような漂流の時間は必要でない。

これまでの闘争で、大法院の判決で誰が本当の社長なのかははっきり表われて いるためだ。われわれは今、彼らが作った非正規職という迷路の中に閉じ込め られ、どこでうっぷんを張らせばいいのかわからない程、弱気ではない。発注 元の会社がまさに私たちの本当に使用者だという原則を忘れず、本当の社長に 向かって真っすぐ進み、正確に喉首を捉えよう。

非正規職希望バスに乗って行こう!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-07-15 06:36:52 / Last modified on 2011-07-15 06:36:55 Copyright: Default

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