韓国:産前検査と堕胎、その裏にある「生命権力」 | |||||||
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産前検査と堕胎、その裏にある「生命権力」「死ぬままにする」生命権力とネガティブ優生学の作動
カン・ヘミン記者 2015.11.23 11:47
今日、慣例化された手続きで行われている産前検査の裏には、どんな生命権力(biopower)があるのだろうか。 予備父母の選択権という名目で施行される産前検査が、今日のネガティブ優生学のひとつの流れだという主張が提起された。 韓国障害学会が「障害学と生命倫理:出生から死まで」という主題で11月20日に汝矣島イルムセンターで推計学術大会を開いた。 この日最初のセクションで発表したビーマイナーのキム・ドヒョン発行人は、 フランスの現代哲学者フーコーが提示した概念の「生命権力」が産前検査と堕胎などにどのような影響を及ぼしているのかを分析した。 ▲韓国障害学会が『障害学と生命倫理:出生から死まで』という主題で20日汝矣島イルムセンターで推計学術大会を開いた。[出処:ニュースミン] フーコーは近代以前の君主は人民に「死なせるか、あるいは生きるままにしておく」権力を振るったとすれば、 近代以後の国家は人民に「生かせるか、あるいは死ぬまままにしておく」生命権力を働かせていると話す。 これは生産手段の変化とも連結する。 資本主義以前に生産者である農民は、生産手段である土地に集まり自給自足して暮らし、 君主は「死なせる刃の権利を使って」彼らを統治した。 しかし、資本主義社会では生産手段を持たない無産階級は、 資本家に雇用される時、つまり資本家と連結しなければ生きていけなくなった。 しかし生命権力が関心を持つ対象は個別の生命ではない。 それは一つの「しもべとしての人間」、人口という全体集団だ。 生命権力は全体人口集団の生産性を上げる存在と下げる人々を分離してながめ、 このうち生産性を下げる者を除去する。 ここには精神・情緒・身体上の障害を持った人が該当する。 「人口論」を書いたトーマス・マルサスは、食糧の増加が人口の増加について行けないため、 残る人間は「死ぬままにしておくことが社会全体の増大をもたらす」といった。 このような観点は、20世紀の初中盤までは積極的な批判の対象ではなかった。 1946〜1948年に初代ユネスコ議長だった生物学者ジュリアン・ハクスレーもまた優生学を積極的に支持した人物の1人だった。 彼女は1937年、英国優生学会が製作した宣伝映画の解説を担当した。 その映画の最後は、次のような話で締めくくられる。 「障害者をきちんと管理することは社会の当然の義務だが、 彼らが生まれない方が自分のためにも、社会のためにも、より幸せなことになるだろう。」 これに対してキム発行人は 「障害者が生まれないことが過去の優生学者たちの夢だったが、 当時はそれなりの科学技術がなかった」とし 「医療遺伝学や生命科学が発展し、技術力を確保した。 それがまさに産前検査と堕胎」だと話した。 すなわち、今日ではネガティブ優生学が、産前検査と堕胎という形態で進行しているということだ。 キム発行人は「劣等な遺伝子を持つ人を除去し、全人口集団の質を改善することがネガティブ優生学」とし 「断種手術、ナチ時代に障害者を安楽死させることなどがこれに該当する。 優生学という国家の強圧的な抑圧で実行され、『現在はない』と言うが、 そうとばかり理解するわけにはいかない」と説明した。 キム発行人は「すべての産婦を対象として産別検査を実施することは相当な費用がかかる。 しかし障害者が生まれなければ、彼らにかかる医療費、福祉費などが節約されたりもする」とし 「このような費用-便益の分析は、過去にナチが障害者を虐殺して『ソーセージと肉をいくら節約した』といったことと共鳴する部分がある」と伝えた。 しかしこのような理由は表面的には見えてこない。 表面的に産別検査が正当性を得るのは、妊娠に関して父母に選択権を与えるということにある。 だがキム発行人はこれは厳密な意味での「選択」ではないと反論する。 ▲キム・ドヒョン ビーマイナー発行人 [出処:ニュースミン] キム発行人は「選択ならAまたはBを選択する客観的な状況が確保されなければならない。 どれか一つを選択するに当たって自由でなければならず、それを放棄させる圧力もあってはならない」とし、「だが障害児を生んで育てる気持ちがあっても、障害への差別、障害児を育てる時に放棄すべき経済的問題、周辺の烙印などがこの選択を難しくする圧力として作用する」と話した。 これは「産前奇形児検査」に対する国家の案内でもひそかにあらわれている。 保健福祉部が提供する国家健康情報ポータルにはこれについてこう案内している。 「妊娠婦やその家族は妊娠期間中、ずっと胎児が健康かという不安感でとても心配をするようになります。 もし遺伝的疾患や先天的奇形を持った新生児が生まれれば、両親以外の家族はもちろん、本人も身体的、精神的、経済的負担で苦しむからです。 …特に染色体異常がある場合は一生障害を持つことになり、ほとんどが多発性奇形を伴うため、さらに深刻な問題です。」 この監修者としては保健福祉部、大韓医学会、大韓産婦人科学会が明示されている。 国家権力と医療権力が結びついていることが分かる。 保健福祉部の「公式立場」についてキム発行人は 「『身体的、精神的、経済的苦痛』、『深刻な問題』についてどう対処しろという方向がはっきり出てはいないが、 この言及の中に指示的な方向が含まれている」とし 「その言及が実現される堕胎ということが、今この瞬間にも行われている」と指摘した。 また、キム発行人は 「現代のネガティブ優生学は国家の強圧ではなくこの社会のある生命を生きられなくさせるシステムを通じて行われている」と整理した。 付記
カン・ヘミン記者はビーマイナー記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2015-11-24 00:14:21 / Last modified on 2015-11-24 00:15:16 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |