韓国:麻浦区庁退出試み、組合員団結で防ぐ | |||||||
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公務員退出制は野蛮だ[寄稿]麻浦区庁退出試み、組合員団結で防ぐ クォン・ジョンファン(公務員労組)/ 2007年03月20日9時39分 公務員退出制は人間の生を破壊する反倫理的野蛮 ソウル市庁は3月15日、公務員退出候補3%名簿を確定した。これにより公務員 社会でも本格的な構造調整が全国的に広がる兆しだ。まるで流行のように全国 の地方自治体は続々と無能で不誠実な公務員を退出させると発表している。 ほとんどのマスコミもこれを公職社会の非効率性を克服し、競争力を高める 措置だとし、いっせいに歓迎する雰囲気だ。 しかしわれわれは今起きていることが果たして望ましいのかどうかを問わなけ ればならない。さらに今回の退出者名簿に載った公務員を「無能で不誠実なの に、国民の血税を浪費するだけの人」という雰囲気は、過去の全斗煥軍事政権下 でのサムチョン教育隊や中世ヨーロッパの魔女狩りのような反人間的で野蛮な ことだ。 97年の外国為替危機以後、公職社会は一回の構造調整を味わった。その時も、 政府は退出する公務員を無能で不誠実な公務員で、さらに不正を行ったので追 い出される公務員だと言った。これは退出者の反発を押さえ込む政府の欺瞞的 な行為だった。これで退出した公務員はどこにも抗弁ができず、その上、家族 からも自分を弁護できなかった。退出の瞬間まで、彼らは社会からいかなる手 も差しのべられずに冷たい視線を受けた。彼らの子女もまた無能で不誠実な両 親を持った罪で、学校と社会から落伍者、逸脱者として冷たい眼差しを受ける 存在になった。 全国公務員労組ソウル地域本部 今回の3%強制退出名簿に載った人々は、大韓民国で暮す他の平凡な人々のよう に、数十年間、自分と自分の家族、そして韓国社会の発展のために誠実に生き てきた人々でしかない。そんな人々から食い扶持を奪い、「社会の癌」という 烙印まで押すのはあまりにも残忍なことだ。 私は、韓国社会の指導層が眉一つ動かすことなくこうした野蛮なことを実行し、 保守マスコミがこれを擁護するのは、自分たちの無能を隠し、その責任を転嫁 するものだと見る。 不正腐敗が蔓延してさらに社会の二極化が深刻化し、ますます公共サービスが 劣悪になるのは、果たして彼ら下位職公務員のせいだろうか? 彼らの利益のた めに外換銀行の資料を虚偽操作してローンスターに売却したのは、超国籍資本 と癒着した高位官僚と政治家で、決して下位職公務員ではなかった。また、社 会の二極化が深刻になり、各種の公共サービスが悪化しているのは、社会福祉 の予算を削減し、資本の利益のために企業規制を緩和して非正規職を量産した からだ。これらすべての責任は、政府とその政策を立案した政治家にあり、下 位職公務員にあるのではない。したがって今、ソウル市と各地方自治体で行わ れている公務員構造調整は即刻中断されなければならない。 公務員構造調整は社会全般の労働条件と雇用の質の悪化 今、公職社会で起きている事態は、今回の3%退出名簿に含まれた人々とその家 族だけの問題ではない。これは全公務員労働者の問題であり、さらに社会構成 員すべての問題である。 ソウル市の3%は全国の3%になるだろう。今年の3%は来年も新しい3%の追加名簿 を要求するだろう。そしてその翌年も新しい3%を、いやそれは5%、10%に拡大 するかもしれない。その範囲は毎年さらに拡大するだろう。こうして、常時的 な構造調整システムが完成する。年齢が高く勤続年数が長い公務員ほど、この 名簿から逃れられる確率は減る。事実上の法定定年制度が廃止されるのだ。し たがってこれは無能で不誠実な公務員を探し出すためのやむをえない措置では なく、全公務員の労働条件と生活の質を悪化させる措置だ。公務員の労働条件 が悪化すれば、他の産業の労働条件も同時に下落するだろう。これはまた公務員 の雇用条件をさらに悪化させるだろう。これが連続する悪循環になるだろう。 行政の効率性は公共性の破壊と資本の利潤増大 今、政府とソウル市が進めている構造調整は、無能で不誠実な公務員を探し出 すことにその目的があるのではない。政府は2005年から総額人件費制を試験的 に実施してきた。今年は全国すべての地方自治体で全面的に実施しようとして いる。総額人件費制で行政機関の自主性を高め、組織と定員を策定、運営でき るようにするという。そして行政の効率性を高めるという。 企業なら、効率性は費用を削減して収入を増やし、利益を極大化することを意 味する。まさにこの効率性の概念を行政に導入するということだ。だが、行政 サービスは私企業の生産のように計量化することは容易でない。そのため公務 員に支給される賃金費用を減らし、現在公共領域で行われている業務をアウト ソースしたり民間委託する形で効率性を高める方法しかないのだ。 行政機関が業務をアウトソースしたり民間委託すれば、その賃金費用は事業費 に化ける。これにより行政の効率性が高まったかのように見える。アウトソー スや民間委託された部門は公務員の構造調整を伴い、その職はさらに低い賃金 と劣悪な労働条件を甘受する非正規職労働者で埋められるのだ。そして民営化 された部門の公共料金値上げと共に、これまで公務員の賃金で保全されていた 費用が私企業の利益に流れて行く。中央政府と広域自治体は一番人件費を削減 した組織だけに交付税を増額、インセンティブを支給して基礎自治体を誘引し、 競争が繰り返される。 結局、社会全体ではさらに良質の雇用が減り、私企業の利益にならない社会的 弱者の支援、身寄りのない一人暮しの老人や子供だけの家への支援、そして環 境保護と緊急医療支援などの公共サービス領域は弱化する。金持ちは拡大した 市場であらゆるサービスの提供を受けられるかもしれない。だが貧しい人々に とって、これは災害そのものだ。 したがって、公務員退出制は単に基準だけが公正で明確なら受け入れられるよ うな制度ではない。公務員退出制は民衆の暮らしを破壊する制度である。その ために、われわれは公務員退出制には無条件に反対しなければならない。現在 の韓国社会において、これを防ぐことができるのは、現実的に労働組合以外に はない。さらに、当事者である公務員労働者が公務員労組に一致団結して闘争 することで防げる。今すぐ政府の政策に対して戦い、われわれの正当性を全社 会に知らせる闘争をすべきだ。 公務員構造調整阻止闘争は非正規職拡散を防ぐ闘争 2月にソウル市麻浦区庁で公務員退出制が本格的に施行された。だが麻浦区の 公務員労働者はこれに屈服せず、労働組合に団結して闘争した。宣伝戦と昼食 集会、そして区庁広場に多くの組合員を集めて大衆闘争をした。こうした闘争 の結果、区庁長はたった1人も退出させることができず、構造調整政策を廃棄 せざるをえなかった。組合員の闘争が構造調整を阻止し、勝利したのだ。これ がわれわれの代案だ。 現在、全国公務員労働組合では団体行動権を認めない政府の公務員労組特別法 の受け入れをめぐって内紛がおきている。しかし今、公務員労働者の雇用への 直接的な攻撃の前でのんびりとそんな論争をしている時間的余裕はない。今、 ソウル市庁で行われていることは単に市庁という一組織で形成されるものでは ない。ここで負ければソウル以外の全国の自治区への拡散がすぐ始まり、公務 員の構造調整が常識になるだろう。一度制度化されると廃止は難しい。今がこ れを防ぐ唯一の時期だと考えなければならない。 私たちが公務員構造調整に何もしなければ、社会に蔓延する新自由主義構造調 整と非正規職問題の解決はさらに遠のくだろう。しかし私たちがこれに賢明に 対処し、闘争で勝利すれば韓国社会の労働者と民衆もまた新自由主義の野蛮か ら自分の身を守る闘争で勝利する端緒が開かれるだろう。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-05-29 05:00:45 / Last modified on 2007-05-29 05:00:52 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |