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フランスのイエローベストの反乱、「われわれは抵抗権を行使している」

金持ちの大統領に対する忘れられた人々の抵抗権

チョン・ウニ記者 2018.12.09 22:12

「マクロン、火遊びはもうやめろ。 あなたは全国を火の中に放り込んだ」。 ある老人が小さな横断幕を持ってパリ中心街に出てきた。 彼は定年より早く退職した年金生活者だ。 彼も「黄色いベスト」を着ていた。 フランス政府はイエローベストのデモが放火と破壊を続けていると非難するが、 彼の目にはむしろ政府が火遊びをしている。 マクロン政府はそれでも来年の年金引上げ率を0.3%に制限した。 彼は「今でも生計がギリギリなのに、物価上昇率まで考えれば本当に途方に暮れます」とし 「また選挙をしなければなりません。 彼らには正当性がありません」と12月8日に現地を取材した外信に話した。

48歳の女性倉庫労働者も似たような不満だ。 「若いでしょう。それで考えました。 マクロンが前の大統領とは違って、多くのことをやり遂げられることということです。 しかし彼はわれわれと子供たちの首をしめています。 私の家庭が攻撃されているのに、じっとしていなければならないのでしょうか。 私たちを攻撃している上の人々がやめないのなら、内戦でも起きるでしょう。」

[出処:ルモンド画面キャプチャー]

12月8日(現地時間)にも黒煙がパリ中心部を覆った。 イエローベストデモが起きてから4回目の土曜。 フランス政府の強硬な立場にもかかわらず、デモは進められた。 デモ隊は道路にバリケードを設置してショッピングセンターのガラス窓を破り、 爆竹と石を投げて警察と対峙した。 繁華街シャンゼリゼの豪華ショッピングセンターにもやはり火が飛んだ。 盛大なクリスマスツリーも黒く燃え上がった。 警察は10数台の装甲車を配置して、催涙弾と放水銃でデモ隊を追い立てた。 全国に警官8万9000人が配置され、パリだけでも8000人が投入された。 それでも全国的に約7万7000人(フランス政府推測)がこのデモに参加した。 11月17日のマクロン政府の燃料税引上げ方針に対抗して始まったイエローベスト デモは、今や反政府運動の性格を明確にしている。 誰も燃料税引上げ案が撤回されたことに満足していない。

普通の人たちの反乱

イエローベスト デモは、労組や政党ではなく組織されていない一般市民の公開請願とSNSポスティングで始まった。 しかしデモが激しくなると、言論は当初、極右がこのデモを主動したが、 途中で極右や極左が平和デモを「拉致」したと主張した。 フランス政府の話を書き写したものだった。 だが3日、パリ警察庁と検察庁が発表した資料でも、 暴力デモを主導している人々は多くが30-40代の多様な階層の一般市民だった。 単に極右が勢力を伸ばした疎外された地域出身の人が多いだけだ。 フランス極右国民戦線のマリーヌ・ルペンもこのデモからは距離をおいている。

それでもイエローベスト デモ隊の共通点がある。 デモ隊は多くがフランス北西部の大都市郊外周辺や農村出身で、 工場、配達、ケア、IT、事務職種で働きながら、みんな生計を維持するのが難しいと話しているということだ。 大都市から押し出され、郊外で低賃金雇用と失業に苦戦する人々である。

こうしたイエローベスト デモ隊がそもそも街に出てきたのは、政府の燃料税引上げ案のためだったが、 事実、値上げ分そのものは大きなものではなかった。 税金の割合だけを見れば20年前の水準だ。 物価と賃貸料は上がっているが、雇用は求め難く、見つけても低賃金のケースが大半であるということがさらに大きな問題であった。 社会インフラや交通、福祉は大都市と比べてさらに悪いことも大きな問題であった。 それでイエローベスト デモ隊は燃料税引上げ案廃棄だけでなく、 租税制度改革と最低賃金引き上げ、 そして親企業経済政策の撤回を望んでいる。 そればかりか、今は多くの人々が議会解散とマクロン退陣を望んでいる。

彼らが対抗しているマクロン大統領は、当初大統領選挙の前に自分は左でも右でもないとし、 「前進する共和国(La Republique en marche)」という市民運動を作って普通の市民に耳を傾けると約束して反響を得た。 サルコジの右派連合やオランド社会党左派に嫌気がさしたフランスの有権者は、 この若い改革家をわらでもつかむ気持ちで選択した。 しかしマクロンは普通の人々の話に耳を傾けるどころか、 実際に耳の外でも彼らの話を聞かなかった。 むしろ「超新自由主義」の改革を押し通し、金持ちの大統領を自任した。

実際にこうした親企業政策のおかげでマクロンは執権してからたった18か月でフランスの貧困をさらに深めた。 代表的には、この2年間で生活支援金を受ける25歳以下の人口は10%から15%に増えた。

金持ちの大統領に対抗する忘れられた人々の抵抗権

イエローベスト デモ隊は、こうした金持ちの大統領に対抗して暴動を選択した。 特に、道路封鎖をはじめ、商店街や主要観光地でも類似の暴動を起こして経済と秩序に直接の影響を与え、 それと共に2年前の徹夜デモとは違い、フランスだけでなく全世界を緊張させた。

イエローベスト参加者の中でも暴動に対する立場は同じではない。 しかし多くの人々がこれを正当な行為だと考えている。 11月17日の最初のデモの時から友人たちと共にイエローベスト デモに参加した40代のフランソワ・クレニアの場合にも、 多くのバリケードを張って石を投げたが、これを悪いとは考えていない。 むしろ彼は自分の権利のためなら、暴力を使ってもいいと考えている。 そうした多くのイエローベスト参加者は、暴動は自分でなく政府や警察が誘発したものだと主張する。

フランスの学界でもイエローベストの反乱を支持する声は少なくない。 外信によれば、パリ1大学名誉教授のミシェル・ピジュネ(Michel Pigenet)はこの転覆的行為が法的権利だと話す。 彼は「1793年の憲法は権力者が民衆の話を聞かなければ、反乱の権利を明示している」とし 「集団的な記憶により、民衆が立ち上がれば、執権者はそれが悪い方向に進んでも、 政府が留意しなければならないという思想として残っている」と指摘した。 歴史学者のオリビエ・カーン(Olivier Cahn)も 「フランスの街頭での直接的な対立は、政治文化に属する」と強調する。 農民が暴力的にデモをしたり、学生たちが学校を占拠したり、 ストライキ労働者たちが使用者側を監禁して交渉を要求しても、 ある程度は社会的に受容されるということだ。 実際に、フランスでは団体交渉を回避する使用者側を監禁してこれを強制した労組運動の例はめずらしくない。 70%以上のフランス人がイエローベスト デモを相変らず支持している。

ガーディアンは12月2日、 「この結果がどうなろうともイエローベストは成功した」とし 「労働階級と低所得階層がまた見えるように、 彼らが暮らしている所を見せようにした行為だったから」だと指摘した。

加勢する大衆組織

イエローベスト デモには初期から連帯していた農民団体と貨物労組とともに、 今では一般の労働組合も加勢を始めた。 学生たちもマクロンの教育改革を理由としてすでに肩を組んだ。

フランス労働総同盟(CGT)は12月8日を大規模行動の日に決め、 9日からは無期限ストライキに突入すると明らかにした。 SUDなど他の労組も連帯を示している。 貨物労組は9日の夜から全国ストライキに突入する。

中高校生はストライキ休業と学校封鎖で対応している。 6日には360の中高等学校が少なくとも一時的に閉鎖された。 87の学校は全面閉鎖された。 一方ではフランスの警察が北部マント地域で12歳の少年をはじめ、 学生約150人にひざをつかせて手を頭に上げる処罰をしたことで、議論が広がっている。

ジャン=リュック・メランションなどのフランス左派勢力も イエローベスト運動は国家権力の失敗を意味する」とし、支持の意志を示している。

12月8日晩、フランスのエドゥアール・フィリップ総理は警察の統制措置がしっかり遂行されたと評価したが、 政府がフランスをまた静めることができるかどうかは未知数だ。 来週の初めにマクロン大統領は公開演説を行う計画だ。

国境を越えて

一方、イエローベスト デモはフランス国境を超えて 広がり続けている。

ベルギーでも市民が街頭に出て生活費による苦痛を訴えて、 中道右派連立政権の解散を要求している。 テレスールによれば、首都のブリュッセル警察は8日だけで400人ほどを拘禁した。 イエローベストを着たデモ隊は、 ヨーロッパ連合の本館と政府庁舎へとデモ行進して、石を投げ、 ショッピングセンターと車両を壊した。 この8日間でベルギー首都で暴力デモが起きたのは2回目だ。

セルビア、ハンガリー、スペイン、ドイツとイラクでも、 この運動に影響を受けたデモが組織された。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-12-12 12:18:13 / Last modified on 2018-12-12 12:18:16 Copyright: Default

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