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龍山4区域再開発は惨事の背景でしかないのか

[人権オルム]見逃すべきではない竜山惨事真相究明の課題

ミリュ(人権運動サランバン) 2015.02.27 17:22

竜山惨事真相究明の課題は、次のようないくつかの質問で構成される。 火災はどう発生したか? 6人を死に至らせた原因は火災か、鎮圧作戦か? 惨事を防ぐことができた決定的瞬間を逃した鎮圧作戦の指揮ラインは現場からどこまで繋がっているのか? ソウル警察庁長官か? 青瓦台か? そして見逃せないもうひとつの質問がある。 警察の鎮圧作戦と龍山4区域の都市環境整備事業はどんな関連があるのか?!

もちろん、竜山惨事後に再開発事業の多くの問題が確認され、再開発制度改善、強制退去禁止法制定などはこれとは別に重要な課題だ。 しかし同時に惨事の原因から再開発事業を排除する何の根拠もないことを忘れてはならない。 龍山4区域の再開発を惨事の背景でしかないと断定してはいけない。 ナミルダン・ビルの屋上占拠が始まるとすぐに特殊部隊をはじめとする大規模鎮圧作戦を決めた速度は類例がない。 1960年代から行われた他の再開発現場と比較しても、 李明博(イ・ミョンバク)政権時期の他の抵抗の現場と比較しても同じだ。 龍山4区域には、いったいどんな力が介入していたのか。

再開発事業の手続きに逆行する力の順序

再開発関連法律によれば、一般的な再開発事業が推進される手続きはこうだ。 地方自治体は、基本計画および整備計画により、住居環境や基盤施設が遅れた地域を開発区域に指定する。 該当区域の土地などの所有者は開発事業を進めるために推進委員会を設立し、土地などの所有者の3/4以上が同意する組合を設立する。 専門性がない住民で構成された組合は、整備専門業者の支援を求めながら施工者を選定し、契約を結んで事業施行計画を樹立する。 事業施行認可後、管理処分計画まで認可されれば本格的な撤去および着工に入る。

しかし実際に進められる再開発事業は法が定めた手続きではなく、力が決める順序に従う。 再開発事業で収益をあげようとする企業が町に入る。 施工者の影響の下で「同意書受領運営代行(OS)」という業務が形成される。 不動産市場や開発事業についてよく知らない住民は、バラ色の幻想に惑わされる。 この過程で事実上、再開発組合の母胎が組織される。 開発区域指定の要件は非常にいい加減なので、よさそうな場所が開発区域に指定されて事業が進められる。 推進委や組合設立過程を主導する住民は、すでに施工者の後光を背負った所有主たちだ。 所有主の間に対立が起きると総会警備という名目で、あらかじめ用役業者が投入されたりもする。 しかし組合の設立過程さえ無事に済ませば施工者の主導の下で管理処分の認可まで簡単に進む。

あとは入居者の退去と移住、しばしば「用役暴力」が発生する時期がこの時だ。 その前までの段階でどんな迂余曲折の対立があっても、他のすべての主導者は利害関係を共有する。 事業が完了すれば、常に期待は離反するのが現実だが、利益を期待する可能性が存在するという点で入居者とは違う。 入居者は再開発事業から何の利益も期待できない。 したがって、入居者が自分の権利に気付いて享受することを放棄しなければ、その瞬間に開発事業は抵抗に直面することになる。 言い換えれば、入居者が権利に気付いた瞬間、暴力に直面し、権利を知らなかったり、知っていても放棄すれば、開発事業の最終段階が終わる。

2008年5月31日以後に延びていなければ

龍山4区域の都市環境整備事業がどう推進されたのかを調べよう。 竜山区庁は2006年4月20日、龍山4区域を都市環境整備区域に指定する。 半年後の10月12日、龍山4区域都市環境整備組合が設立される。 そしてまた半年ほど経った2007年5月31日に都市環境整備事業施行計画が認可される。 また半年ほど経った10月31日、撤去業者と契約が締結され、2008年5月31日に管理処分計画までが認可される。 整備区域の指定から管理処分計画の認可まで、2年ほどかかったわけだ。 利害関係の調整などが容易ではなく、普通は3〜4年、時には5〜6年かかったりもすることに較べると、一瀉千里で進んだ。

2010年11月、裁判所は龍山4区域の管理処分認可に重大な瑕疵があるとし、無効判決を出した。 暴行、セクハラ、いじめ、営業妨害などの暴力で強制された退去は、開発事業の「合法性」を理由に強行された。 龍山4区域の住民たちは、すでに元に戻せない被害をこうむった。 少なくとも不適切な管理処分認可が出された2008年5月31日以後の時間は、味わわなくてもいいはずで、味わってはならない時間だった。 龍山4区域の住民たちが、そして彼ら・彼女らと連帯するために喜んで駆け付けた他地域の撤去民が味わわなくても良かったはずの時間の中に2009年1月20日がある。 暴力の言い訳は消えたが、暴力の傷痕は死として、生き残った者のトラウマとして依然として残っている。

龍山4区域の再開発事業が2008年5月31日以後に延びていなければ、竜山惨事は発生しなかった。 では「重大な瑕疵」がある認可を組合-施工者が申請し、区庁が承認した過程で何があったのかを明らかにしなければならない。 惨事の真相究明は「殺人者」を捜し出すことではない。 誰かを死に追いやった惨事の過程を明らかにすることだ。 それでこそ責任が明らかになり、再発防止も可能になる。 管理処分認可の決定にかかわった個人や機関を調査して責任を確認する理由もそれだ。

再開発と鎮圧の間の輪

ここで質問を止めてはいけない。 管理処分認可が行われたという点が警察の鎮圧を説明するのではないからだ。 前に話したように、再開発現場での暴力は、ほとんどが管理処分認可以後に発生する。 管理処分認可の後、組合は強制退去のための明け渡し訴訟などの手続きを取る一方、用役業者を動員して法を超える暴力を加える。 入居者たちは抵抗のために多様な方便を検討して実行する。 建物の占拠や櫓での籠城もそのひとつだが、籠城を選択した瞬間、直ちに警察が鎮圧した事例は空前絶後だ。 なぜ龍山4区域再開発事業だけで、抵抗を鎮圧するために無理な作戦が行なわれたのかを明らかにしなければならない。 再開発事業を急いで終わらせなければならない主導者と、鎮圧作戦指揮ラインの間の関係を確認しなければならないということだ。

再開発事業の推進主体が法的に組合だということとは別に、再開発事業を推進する力は別のところにあるという点を思い出そう。 施工者、整備業者、撤去業者、地方自治体などが真相究明の対象である理由がそれだ。 鎮圧作戦の指揮ラインとの関係を確認するためにも、上のような対象の間の関係が明らかにならなければならない。 2012年2月、当時の竜山区庁長パク・チャンギュは、他の開発区域での不正によって拘束された。 2006年9月と2008年4月には、竜山区庁の都市管理局長が工事の受注を助けた代価として賄賂を受け取り、拘束された。 龍山4区域の開発事業推進の各段階ごとに速戦即決で認可をした竜山区庁長は、果たして龍山4区域の再開発でどんな役割を果たしたのだろうか。

竜山区と整備業者(株)パークアンドシティ

普通、開発事業の専門性に欠ける組合は、整備業者から事業推進についてのコンサルティングを受ける。 龍山4区域の整備業者は(株)パークアンドシティで、2006年6月に組合によって選ばれる。 しかし(株)パークアンドシティは登録もしていない無許可状態で2004年から住民に開発についての同意を集める業務を行った。 この時期は都市環境整備区域指定のための住民供覧(2003.12.1.公告)や住民説明会が行われた時だ。 手続きにより、住民供覧が終われば地方議会の意見を聴取するなどの手続きを踏んで、区域が指定される。 当然、組合は設立前だった。 開発事業の推進主体が組合ではなく、(株)パークアンドシティだったのだ。

それだからか。 普通は1坪当たり3〜5万ウォンで契約する整備雇用費を、(株)パークアンドシティは1坪当たり9万ウォン、総額105億ウォンで契約した。 特に坪当たり4万ウォンの追加支払い契約の「業務条件」は、地区単位計画変更、容積率約720%、5区域の統合および地下統合など、 区庁が許認可権を持つ内容で、契約当時はすでに達成された状態だった。 組合が泣いて費用を負担する条件だったのか、契約前にすでに「業務条件」達成のための何かの関係があった可能性がある。

パークアンドシティの会長は1995年に竜山区議員に選出され、暴力恐喝などの容疑で拘束されて議員職を失った前歴がある。 パク・チャンギュ区庁長は、彼が運営する食堂の上得意で、彼はパク・チャンギュ区庁長の選挙を支援するなど「格別な関係」を維持していたという証言もあった。 二人は交代で竜山区の忠清郷友会会長と副会長についた。 組合が設立される前から、組合が設立された後も、パークアンドシティと竜山区庁の間に緊密な関連があったことが推測できる。 また、事業許認可権を持つ竜山区庁の元幹部がパークアンドシティの役員に在職しているという事実もあらわれた。 開発事業は各種の不正が蔓延していたことがわかる代表的な領域だ。 こうした場合、具体的な不正関係がないと確認されるまで、不正があるものと見なして厳正に捜査する必要がある。

施工者サムスン物産と撤去企業など

一方、施工者のサムスン物産、デリム産業、ポスコがすでに開発事業に介入していたという事実も忘れてはならない。 組合と公式に契約を結ぶ前の2003年に、すでに推進委員会から5992億ウォン(1坪当たり512万ウォン)の工事を取りつけた。 当時、推進委員長の口座に「入札保証金」10億ウォンを送金することもした。 住民間の紛争でこの契約は無効になったが、結局推進委の決定を認めるという組合定款を決めて、競争入札なしで施工者に再選定される。 契約内容も2003年のままであった。 開発事業の法制度的な手続きと実際の進行がむしろ逆になり、前に話したようにサムスン物産も区ごとに5人程度の本社職員が再開発事業の営業を行ったという。

龍山4区域再開発組合関連の業務を担当したサムスン物産の嘱託社員は、惨事前にホラム建設の理事になった。 サムスン物産の再開発事業で撤去用役をする協力社のホラム建設は、龍山4区域撤去のために契約を結んだ撤去業者だ。 2007年10月31日、組合と施工者、撤去業者(ホラム建設、ヒョナム建設産業)は「建築物解体および残滓処理工事請負契約」を締結する。 撤去工事金額は51億ウォン、約定期間内に撤去を終わらせられなければ一日に510万ウォンずつ組合に遅滞補償金を支払うという契約だ。 撤去業者にとって時間は金だ。 しかし契約の「甲」と「丙」である組合と施工者にとっても時間は金だ。 再開発事業は竣工してから分譲するまで、負債の借り換えを続けて進められるためだ。 撤去業者が前に出るという点が違うだけで、暴力の動機はすべて同じだ。

一方、竜山惨事当時、POLICIAの私製盾を持って警察と誤認された人々がいる。 組合と契約を結んだホラム、ヒョナムではない彼らは、ナミルダンの屋上に上がった撤去民の退路を遮断して、下の階で備品を燃やして上に煙を送り、放水銃も撃った。 彼らの中の2人は懲役6か月と執行猶予の判決を受け、5人は150〜200万ウォンの罰金刑を受けて終わった。 彼らは「モノS&E(S&E)」と推定される。 龍山4区域再開発組合の第13次代議員会議で用役契約が追認されたこの業者の業務内容は「不動産占有移転禁止仮処分執行、明渡執行、入居者集会防御用役」だ。 用役費用は一日344万7千ウォン、総額6億2千万ウォンだった。 入居者の証言によれば、撤去用役職員の中には竜山一帯で商売をしている人々がいるとのことだったが、ホラムとヒョナムは「4区域住民出身の職員はいない」と明らかにした。 入居者が目撃した撤去用役職員はモノS&Eかもしれない。 開発現場で住民の一部を用役業者職員に採用することはたびたびある。 モノS&Eが竜山に地域的な基盤を持つパークアンドシティと関係がある疑いがあることを念頭に置けば、実質的な撤去暴力の指揮がモノS&Eによるものだった可能性は濃厚だ。

龍山4区域再開発をめぐる力関係

以上の関係を総合すれば、「竜山区庁-整備業者(株)パークアンドシティ-用役業者モノS&E-用役業者ホラム、ヒョナム-施工者サムスン物産など-龍山4区域都市環境整備事業組合」の間には形式的な独立性と異なる実体的な関連性が明らかにある。 その関連を透明に明らかにすることが竜山惨事真相究明の重要な課題だ。 ここでは、「檀君以来最大の詐欺」と名付けられた龍山駅勢圏開発事業-漢江ルネサンス事業の推進者であった呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長も排除してはいけない。 「龍山駅勢圏国際業務地区開発事業」のコンソーシアム代表がサムスン物産だったという点も思い出すべきだ。 大統領選候補の時から再開発の規制緩和を約束し、執権期間中は再開発活性化を叫び続けた李明博(イ・ミョンバク)前大統領も、真相究明の舞台から退場させてはいけない。

龍山4区域再開発をめぐる力の関係のどこかに警察の鎮圧作戦との輪がある。 どの水準で「ホットライン」が作動したのか、臭いにおいがする不正と癒着が作用したのか、 開発物神主義がすべての行為主体の信念になってまるでイカサマ賭博のように協力が行われたのか、全てが不透明だ。 鎮圧作戦の指揮ラインそのものが真相究明の課題として残っているのだからなおさらだ。 しかし真相究明は不充分な端緒を棄却しないところから出発するほかはない。 端緒が明らかな事件の課題は、真相究明ではなく事件解決であるからだ。 竜山惨事6周年にあたり、再確認すべきことは、今までの検察の捜査は上のような端緒らを棄却するいかなる理由も説明できなかったという点だ。

真実を明らかにすることは責任を明らかにすることだ。 責任を明らかにすることは未来を明らかにすることだ。 惨事の現場だった龍山4区域は、特別な事件が発生した現場での再開発の一般的な問題点を表わした現場だ。 一般的な問題点が例のない惨事につながった情況を明らかにすることで、一般的な問題点も変えることができる。 問題は制度や政策ではなく力だからだ。 経済構造や不動産市場の推移を見ると、再開発事業に飛びついた多くの主導者が利益を狙い、無理に再開発事業を進めることができる時期は過ぎた。 権力を持つ、賢明な投資家や資本は、再開発事業には力を入れないのだ。 しかし持てる者たちに許された権力、命より、人権よりも利益を優先視する賢明さはむしろさらに力をつけている。 その力が常に国家暴力を通じて保証されたという点を忘れてはいけない。 竜山惨事真相究明の課題には、龍山4区域都市環境整備事業の実際の推進過程が必ず含まれなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-02 09:07:26 / Last modified on 2015-03-02 09:07:26 Copyright: Default

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