渡部通信(1/19) :
明けない夜はない(230)<米・英・イスラエルの孤立とグロー
バルサウスの台頭>
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昨日(1月18日)、衆議院第一議員会館の第会議室で、
<共同テーブル 第8回シンポ>「なぜ、いまガザの攻撃なのか」
が開かれ、200人以上が参加した。
その中で、羽場久美子・青山学院大学名誉教授は、
「国際政治から見るパレスチナ・イスラエル問題
ーー欧米のイスラエル建国の原罪」
というテーマで講演をされた。
この講演は極めて分かりやすく、
かつ私たちに展望をあたえてくれるものであった。
以下、少し長くなるがその内容を紹介したい。
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私は現場を知っているわけではないが、現場はガザだけではない。
ワシントン、ヨーロッパ、国連で決められていく。
イスラエル・パレスチナ戦争では圧倒的にパレスチナ人の死者が多い。
しかも多くは一般の女性や子どもたちだ。これはテロではないか。
南部のラファへ移動中の人々までが空爆で殺害されている。
ヒズボラの司令官もハマスのリーダーも殺害された。
ハマスは多くの人々が民主的に選んだものだ。
国連は10月に「休戦決議」を121か国の賛成で可決した。
そのとき、アメリカ・イスラエルやウクライナなど14か国が反対した。
12月には「即時停戦決議」に153か国(8割近い)が支持した。
安全保障理事会でも15か国中13国が支持、イギリスが棄権、
アメリカは拒否権を発動、停戦実現を阻んだ。
孤立しているのはイスラエル・アメリカだ。
にもかかわらず、世界の軍事力を支配している。
ハマスはテロ組織ではない。2006年にガザの選挙で選ばれた政体だ。
しかし、米・英は認めない。民主主義って何か?
民主主義はハマスで行われている。
そもそも、今回の問題はイギリスの「三枚舌外交」による。
それは第一次大戦末期、オスマン帝国を崩壊させるため、
・1915年 フセイン・マクマホン協定で、アラブ国家の独立を約束。
・1916年 サイクス・ピコ条約で、イギリス・フランス・ロシアでの分割を決める。
・1917年 バルフォア宣言で、パレスチナにユダヤ人国家建設を約束。
をしたことだ。
それが、第二次大戦後、
・1947年11月29日 国連総会決議181により、
イスラエルとパレスチナの二国間共存が認められた。
・1948年5月 イスラエルの建国(パレスチナの建国は認めない)
その後、イスラエル占領地は日増しに増大してきた。
だが、現在まで、139か国がパレスチナを国家として
承認している。米・英・日は承認していない。
アメリカの覇権はもはや成立している状態ではない。
今は、SNSでガザの状態が世界中に大量に伝えられる。
アメリカではユダヤ人社会が強靭だが、
この3か月で若者たちは非難し始めた。
ハーバード大、マサチューセッツ工科大、ペンシルベニア大などの
女性学長が辞任させられた。ハマスのテロを攻撃しなかったというので。。
ユダヤ人の猛反撃にあったのだ。
いま、ユダヤ人と若者たちは人権をめぐり対立している。
ユダヤ人財閥・資本家の力がいかにアメリカや国際社会で
大きいかが明らかになり、多くの人々が反発するようになってきた。
ユダヤ人はホロコーストの犠牲になった。
しかしガザ攻撃はそれ以上だ。人として許されない、として。
この背景には時代錯誤的な植民地政策がある。
イスラエルが、パレスチナの人々を「人間の皮をかぶったけだもの」
と呼び、何万人殺しても平気というのは、
むしろイスラエル軍がけだものではないのか。
アメリカやイギリスは、植民地時代に同じことをやってきた。
アジア、アフリカ、ラテンアメリカで地域の文明を崩壊させ、
白人支配を実現した。
はじめヨーロッパ各国はイスラエルを支持し、ハマスを非難した。
今は変わりつつある。ホロコーストの影響でドイツやフランスはあ
イスラエルを批判しにくかった。
しかし、日本はユダヤ人を迫害していない。
だからニュートラルな態度でイスラエルのやっていることを、
イスラエルの良心的な人とともに批判できる。
イスラエルもアメリカも、Z世代の若者たち6割以上が批判的だ。
何故ガザ攻撃が終わらないのか。
それは、国連の機能不全や国際社会が無力だからではない。
それは、アメリカ・イスラエルとイギリスが
終わらせようとしていないからだ。
国連では153か国が即時停戦を要求している。
国際社会の8割がイスラエルはおかしい、
アメリカはおかしいと言っているのだ。
ロシアとウクライナ戦争も同様だ。
この12月から1月にかけて大きな変化が起きている。
ゼレンスキーは10月にイスラエル支持を言った。
そのため、多くのウクライナ支持者が離れるようになった。
これまでは、ロシアは悪、ウクライナは善だった。
そして、米・欧・日はウクライナに軍事支援をした。
しかし、アラブ、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの国々は
ウクライナはおかしいんじゃないかと思うようになった。
アメリカは9月以降支援を止める方向になり、
ウクライナはアメリカの武器援助がなければ戦えない。
欧州からの支援も止まりつつある。
マスコミでも、ゼレンスキーに対する逆風が起きている。
彼がいなければ戦争は始まらなかtったのでは、と。
ウクライナは5〜6月に大統領選挙が行われる予定だったが、
ゼレンスキーは延期することを決めた。
ウクライナの男性2万人が、西のモルドヴァ国境を越えて脱出、
厭戦気分が高まっている。
ウクライナは民主主義的に支配されていない状況が起きている。
米・英は劣化ウラン弾、クラスター爆弾を与え、
ウクライナ東部で使うことを認めている。
そこに住む3割はロシア人でアルメニア人などマイノリティが多い。
米・英やウクライナは彼らを二級市民と考えているのだ。
しかし、これ以上の支援がなければウクライナは戦えなくなる。
1月15日にスイスでダボス会議が開かれた。
欧州はこれまでイスラエル支持だったが、
各国は停戦を言い出すようになった。
英・米・イスラエルが戦争継続を言っているのだ。
ガザ・イスラエルともに、政治的な力が戦争を継続させている。
岸田政権は自国産のパトリオットをアメリカに輸出し
ウクライナに送ろうとしている。
パレスチナ問題については、即時停戦に賛成したが、
イスラエル支持ということでパレスチナから失望の声があがった。
では、どうすればよいのか?アジアからの新国際秩序を。
この間、岸田首相は忙しく訪問外交やヒロシマG7などをやったが、
日本は「アメリカの植民地、アメリカの言うなり」が定着した。
国際情勢を見誤っていないか。
今、国際情勢は、
・アメリカの覇権の衰退、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの成長。
IT人口は中国10億、インド6億、もはやアメリカの時代ではない。
・GDPにおける日本の著しい衰退、2,3年後は5位、50年後は12位に。
一人当たりGDPは更に下がり30位以下か。アベノミクスで下がった。
こうした中、日本は何時までもアメリカについて行っていいのか。
40年後には人口は半分、そのうち65歳以上が半分。
それなのにパトリオット、トマホーク、イージスショア。
そして自衛隊は軍事演習をしている。
今は世界の大転換期であり、
先進国はその危機を戦争・武力で止めようとしている。
日本は急速に転落し、貧しくなり生活は苦しくなっている。
アラブの大海の中でイスラエルは生きて行けるか。
アメリカにしがみつくのではなく、
重要なことは、近隣諸国やアジア諸国との連携。
グローバルサウスと呼ばれる、平和と安定を求める国々との連携だ。
戦争準備をして武器を購入している場合ではない。
新しい国際環境に依拠して、日本の市民も、
その「勤勉さ」や「平和主義」を武器に闘わなければならないだろう。
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この講演は非常に分かりやすいものだった。
ウクライナ戦争とガザ戦争において欧・米・日が
かつての植民地主義的な政策を続けている事、
しかし世界はそうしたことは許さず、
新たな国際秩序をもとめて動いている事を知ることができた。
また、そうした中で私たち日本の市民は
いつまでもアメリカにしがみつくのではなく、
新たな勢力と結びつき、ウクライナ停戦やガザ停戦にむけ、
さらにアジアからの平和な新世界秩序形成に向け、
共に声を上げることの重要性とその展望を指し示してくれたと思う。
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