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【解説】2022年4月にアマゾン社で初めての労働組合が承認され注目を集めた。しかし、その後もアマゾン社はアマゾン労働組合と対決姿勢を取り、労働協約交渉も進んでいない。その後アマゾン労働組合の中で執行部批判の改革派コーカスが活動を展開していた。独立組合だったアマゾン労働組合がチームスターズ労組に加盟することを組合員投票により決定したことをレイバーノーツ7月号が報じたので、翻訳して紹介する。(レイバーネット国際部 山崎精一)*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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アマゾン労働組合、チームスターズ労組加盟を決定

2024年6月18日
ルイス・フェリス・レオン (レイバーノーツ・スタッフ・オーガナイザー)


*ニューヨークのスタテン島のアマゾン労働者たちにビラまきするチームスターズ労組ローカル 804 と272の組合員たち

 アマゾン労働組合(ALU)の組合員は6月17日、チームスターズ労組に加盟することを決定した。ニューヨーク州スタテン島にあるアマゾンJFK8配送センターの労働者878人が票を投じ、加盟賛成が829票、反対が14票、10票が無効だった。8,000人の労働者のうち投票したのは11%だった。しかし、閑散期の労働者数は5,000人から6,000人にまで落ち込んでいると推測されている。

 チームスターズの声明によると、同組合は今後、「およそ5,500人のアマゾン倉庫労働者を代表する」という。この数字に基づくと、投票率は16%になる。

 「アマゾン労働組合を代表して、勝利への道を選んだ組合員を誇りに思う。私たちはかつてないほど強くなった。」とアマゾン労働組合のクリス・スモールズ委員長は声明の中で述べている。「130万人のチームスターズの支持を得てアマゾンに挑むことで、私たちはとてつもない労働者の力を得ることができ、組合員の待遇改善を要求し、最も重要なこととして、JFK8での労働協約を勝ち取る機会を得ることができる」。

 この加盟協定により、ニューヨーク市5区を管轄するチームスターズ・アマゾン労働組合(ALU-IBT)ローカル1と呼ばれる新しいローカルが結成される。これは、アマゾンの労働者がチームスターズの他の職種の既存のローカルには統合されないことを示唆している。

 チームスターズのショーン・オブライエン会長は声明で、「努力と勇気と信念をもって、チームスターズとALUは共に、アマゾンの労働者が労働協約に値する良い仕事と安全な労働条件を確保できるよう、恐れを知らず闘っていく」と述べた。

 ALUは2年前、スタテン島にあるアマゾンのJFK8配送センターで8,000人の労働者を組織化する画期的な選挙に勝利し、労働運動に衝撃を与えた新しい独立組合である。同労組の現指導部と改革派コーカスはともにチームスターズへの加盟を支持し、加盟の内容について数週間にわたって話し合った後、5月20日にワシントンでオブライエンや他のチームスターズ幹部と会談した。

 「組合員による加盟批准投票は歴史的な瞬間であり、私たちが尊敬、賃金改善、安全な雇用を求めて長年取り組んできたキャンペーンを諦めていないことをアマゾンに強く印象づけるものだ」と、ALU民主的改革コーカスのコナー・スペンスは語った。スペンスは新しいローカルの委員長選に立候補しており、JFK8での組合組織化運動の主要な組織者の一人である。

 「チームスターズと提携し、強力で自律的な組合ローカルを結成することは、多くの労働者とこの流通産業界にとって新たな一歩を踏み出すことを意味する。」

新しい役員選挙

 アマゾンの労働者たちは、間もなく組合指導部選出の投票を行う。郵送投票は6月27日に開始され、返送期限は7月18日だ。投票は米国仲裁協会が管理運営する。

 加盟協約によると、チームスターズは「役員候補者がJKF8のできるだけ多くの適格組合員に平等に接触できるような方法で、ALU-IBTローカル1の役員選挙を実施するための資源を提供する」という。

 役員選挙が可能になったのは、改革派コーカスが昨年、「2023年3月までに予定されていたはずの役員選挙の実施を拒否した」として、ALUの規約違反で組合を提訴した結果である。

 ALUは全国労働関係局が組合を認証してから60日以内に選挙を実施することになっていた。しかし、全国労働関係局の認定を受ける前に、役員選挙をアマゾンとの労働協約を批准した後に実施するよう変更する、新しい規約案を組合指導部が提案した。改革派コーカスはブルックリンの裁判所に、組合指導者に選挙の実施を強制するよう求めた。裁判所はこの要求を支持した。

 アマゾン労働組合は2023年1月に認証された。しかし、アマゾンは裁判所を通じて組合認証選挙に異議を唱えるためにあらゆる手段を講じてきた。2年半経った今でもアマゾンは交渉を拒否しており、組合運営を支えてきた寄付金も途絶えている。

 アマゾンは昨年、組合潰しコンサルタントに300万ドル以上を費やした。ニューヨーク・タイムズ紙によると、チームスターズはALUに対し、アマゾンの組織化を支援するために800万ドルを拠出することを約束した。

 「労働協約締結にこれほど時間がかかるとは思わなかった」と委員長立候補予定のクロ―ディア・アシュターマンは言う。「多くの人からの寄付金にも頼っていた。もう疲れ果ててしまった」。彼女は倉庫内では闘士として知られている。「この歩行器を使用するために、アマゾンと徹底的に戦わなければならなかった。」2020年、彼女はアマゾンに箱詰め作業中に座ることを許可するよう要求した。何度も腹部の手術を受けた彼女は、仕事のペースが速いため、適切な設備がなければ転倒の危険があると主張した。最終的に会社は同意した。

職場委員のネットワーク

 改革派から出馬したスルタナ・ホセインは6月12日、加盟に賛成票を投じると述べた。

 「しかし、組織化にはボトムアップが必要だと信じている。一般組合員が一緒になって、自分たちの要求のために闘う。そうやって全国的な連携を組織するつもりだ」。

 改革派のリーダーたちは、非公式な職場委員の組織化や上司への押しかけのような職場行動など、既存の組合よりも強力な組織構造を配送センター内で構築してきたと言う。現在のALU指導者たちは、苦情処理を担当するためにリナ・カミングスに報酬を支払っていたが、予算がなくなって雇用できなくなった。しかも、その活動スタイルは労働者の失業手当申請を支援するなど、よりサービス指向のものだった。

 2022年の大勝利以来、他のアマゾン施設に進出しようとするALUの努力は失敗に終わっている。また、アマゾンを交渉のテーブルに着かせようとする努力も失敗に終わっている。

 こうした組織化の失敗が改革派コーカスを生み出し、コーカスは組合幹部の民主的選挙権を獲得した。

 ALUがアマゾンでさらに前進しようと苦闘する中、北ケンタッキー州の航空貨物ハブKCVGで働く労働者は、ALUに加盟するための組合支持カード集めを開始していたが、4月にチームスターズとの加盟を決議した。

 チームスターズは昨年、さまざまな組織化活動を1つの大きな組織の下にまとめるため、アマゾン部会を発足させた。チームスターズの活動家とスタッフは過去3年間、アマゾンの労働者を支援し、全国の主要都市圏で組織委員会を立ち上げることに関与してきた。 アマゾンのチームスターズ組合員たちは、昨年4月にカリフォルニア州パームデールで配達ドライバーが組織化された後、他のアマゾン施設にもピケットラインを拡大した。この84人の労働者は、請負業者であるバトルテスト・ストラテジーズ社に名目上雇用されていた。バトルテスト・ストラテジーズ社は、アマゾンが全権を保持しながら荷物の配達を行う2,500の「デリバリー・サービス・パートナー」のひとつである。アマゾンは同社との契約を違法に打ち切った。

 それ以来、アマゾンで組織化する多くの独立系グループは、チームスターズ労組からの支援を得ることを期待して、チームスターズと協力してきている。


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