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 第90回・2024年5月7日掲載

パレスチナ〜停戦と平和を求める世界の若者たち

 パレスチナ市民の大量殺戮(国連特別報告者はジェノサイドと表現)が進むのを止めようとしないどころか、いまだにネタニヤフのイスラエル政府(当国内でも抗議が高まっている)に武器を送るフランスでは、停戦とパレスチナ支援を語る人々に対する弾圧がさらにひどくなっている。憲法で保障された自由と人権、民主的な法治国家の基盤が日に日にがらがらと崩れていく。自由と人権の侵害は2015年連続テロ後の緊急事態宣言以来、オランド政権下で既に進んでいた。2014年に国会で採択された「テロリズムの擁護(賞賛)」という定義が曖昧な罪が濫用され、移民系などの市民の弾圧に利用され始めたのだ。昨年10月7日後のイスラエル軍のガザ攻撃以来は、ネタニヤフ政府とイスラエル軍による虐殺を告発し、停戦とパレスチナ支援を求めると「反ユダヤ主義」で「ハマス擁護=テロ擁護」と中傷されるどころか、訴えられるようになったのだ。根拠のない「勘ぐり」に基づく訴え、つまり言論・思想・表現の自由の侵害だ。以下、3月9日からフェイスブックに投稿した内容をここにまとめる。

 3月9日、停戦を求めジェノサイドを止めよ!と強く要請するパレスチナ支援デモがパリで行われた。10月8日から5ヶ月続くパレスチナ市民に対する無差別攻撃に加え、救援物資を入れないイスラエル政府・軍の行為を国際司法裁判所が「ジェノサイドの危険」と判断し、それを回避せよとイスラエル政府に要請したが、ネタニヤフ政府は態度を変えない。今やアメリカさえラマダンに向けて休戦を提案している。ガザの非人道的な状況、3万人以上の死者(過半数が女性と子ども)、飢餓で死ぬ子どもがいる悲惨な現実が報道されるようになり、パレスチナ市民を救え、ジェノサイドをやめさせろという国際世論が高まってきたのだ。フランスでも「イスラエルへの無条件支持」を語った国民議会議長(ネタニヤフに会いに行きそれを伝えた)さえ、「それを言った時はイスラエルの攻撃前で今と状況が異なった」と嘘をつき、ガザ市民への人道援助を語るようになった。テレビ・ラジオの一部でもイスラエルへの一方的支持の姿勢を変え、現地の人道団体の声を多く伝えるようになった。国境なき医師団や世界の医師団など人道援助団体は、イスラエル軍による攻撃開始当初から状況を正確に把握しているので警告をし続けてきたのだが、SNS以外のメディアでは報道されなかったのだ。


*「トラック(救援物資)を通せ」

 しかし、アメリカや各国政府は「人道援助」を言いながら同時にイスラエルへの兵器移送を止めない。アメリカ(フランスも)ヘリコプターで援助物資を投下し、援助物資用の港を作ると告知したが、国連機関や人道団体その他からの援助物資はエジプトにすでにたくさんあるのに、イスラエル軍が輸送を阻むのでガザに届けられないのだ。「人道」の演出によって政治的決断を避けずに、イスラエルに援助輸送の許可を強制させろと「世界の医師団」など人道団体は抗議している。

 今日のデモでのジャン=リュック・メランション(「服従しないフランスLFI」)のスピーチは力強かった。「私たちには責任がある。ジェノサイドは始まった。何もせず黙って他を見ている人たち、無関心な人たち、恥を知れ!アメリカなどイスラエルに武器を提供する国々がそれをやめれば、大虐殺は回避できる。ロシアを制裁したEUはイスラエル政府を制裁できるはずだ、今すぐ!労働者、労組、あなたたちはネタニヤフに武器を輸送できないようにできる!そして世界中の知識人、あなたがどんな意見を持っていようが、ジェノサイドは絶対に受け入れられないものだから抗議してほしい!前の世代のようにジェノサイドから目を背けず、あなたたちの世代はジェノサイドに抗議できる、私たち民衆には責任があるのだ!」

 メランションはじめ服従しないフランスLFIは、10月7日のハマスの襲撃を「国際法」による戦争犯罪だと表現してハマスに対する「テロとの戦争」の論理を拒んだために、ハマスに好意的だと言いがかりをつけられ、反ユダヤ主義だと攻撃されてきた。今年6月9日に行われる欧州議会議員選挙に向けて、LFIは比例制候補者リストの7番目に、シリアのパレスチナ・キャンプで生まれた法学者リマ・ハサンを選び、今日のデモで彼女もスピーチを行った。得票率が取れて彼女が当選すれば、欧州議会でも活躍できる。彼女は昨年10月からずっとハマス側だと攻撃を受けている。フランス、ヨーロッパは目を覚ますだろうか?

 4月18の夜にリール大学で予定されていたメランションとリマ・ハサンのパレスチナについての講演会が、主催の学生団体のロゴが反イスラエルだという言いがかりをつけられて、地元のマクロン党、保守党、極右が大学に圧力をかけたために禁止された。急遽、別の民間施設を確保したが、今度は県知事が公共の秩序が脅かされる恐れがあるという口実で禁止した。メランションとハサンは前日の17日、同じくノール県(フランス北部)のルーベで欧州議会選挙に向けた集会を行った。1200人以上を集め、もちろん何の秩序の乱れもなかった。

 リマ・ハサンはシリアのパレスチナ難民キャンプ出身で、フランスに来て国籍を得た国際法の専門家の女性だ。聡明で論理的、国際法と人権に基づくパレスチナ問題の解釈を展開し、パレスチナ人の自由と人権、民族自決を主張する。そこでネタニヤフ政府支持の人々から、ハマス支持や反ユダヤ主義などと根拠のない中傷と脅迫を受けている(メランションも同じく)。

 リール大学は最初許可を出したにもかかわらず、政治的圧力に屈して講演会を禁止した。誰が県知事に禁止せよとの命令を出したかはわからないが、マクロン政権の上部から命令が出たのは明らかだ。ハサンとメランションは欧州議会選挙の候補者(メランションは象徴的にリストの最下位)であり、選挙キャンペーン期間中に彼らが講演や集会を開くことを禁止するなど、これまでの「民主主義」では考えられない自由の侵害である。

 そこで彼らはリール市内の広場で集会を開き、1000人以上が集まった(この地方の議員だけでなくパリからもLFIの議員や活動家が来た)。リマ・ハサンは微笑みを絶やさず、私たちには尊厳がある、最初から停戦を求め、ジェノサイドを危惧し止めようと声を発した勇気があると言った。こんなひどい状況でも相手の挑発に乗って怒りや暴力に向かってはならない、とメランションも強調した。そして、知性を失わずに平和を求め、フランス共和国の人民を一つにする自由、平等、友愛を求め続けようと訴えた。平和を求めて暗殺されたジャン・ジョレスを受け継いでいこうと。メランションやハサンを攻撃する人々、根拠なく反ユダヤ主義や「共和主義でない」と中傷する人々やその言説を垂れ流すジャーナリストたちは、本人たちのスピーチを一度も聞いたことがなく、政策や書いたテキストを読んだこともないのだろうか。レイシズムと植民地主義を拒み、地に落ちたフランス(西洋)の人権、ヒューマニズム、民主主義の理念を語り続け、政策綱領を展開する人たちは、今やフランスではメランションとLFI のまわりの「民衆連合Union Populaire」にしかいないようだ。「左翼」や民主主義を自称する人たちからの支援はあまりにも少ない。ブルジョワ陣営は自分たちの利益を守り存続するために、抜本的な政策転換への道を退け、極右やパレスチナ人の大虐殺を選んだようだ。いつか歴史が裁くだろう。私たちは平和と社会正義、人間の尊厳を主張し続ける。


*「レイシズムは殺す」

 4月21日(日)に予定されていたレイシズム、イスラム差別に抗議するデモをパリ警視庁は禁止した。弁護士がコンセイユ・デタ(国務院)に禁止のキャンセルを要請して認められ、パリで大勢の市民がこのデモに参加することができた(許可後にさらに禁止しようと警視庁は訴えた)。ガザでの虐殺に抗議しパレスチナ人民を支持するプラカード、垂れ幕と旗もたくさんあった。メランションらLFIの議員や活動家、反資本主義党NPAなど極左は参加したが、他の「左翼」政党はほとんど不在(緑の党ごく少数のみ)。4月18日にメランションとリマ・ハサンのリールの講演会が禁止された大な権利侵害について前述したが、翌日リマ・ハサンのもとに「テロリズム擁護」の疑いで警察から呼び出し状が届いた。イスラエル・ネタニヤフ政権を盲目的に支持する団体の訴えに検察が従ったもので、これまで他にもパレスチナ人民の権利を主張して虐殺に抗議する人たちが同じ呼び出しを受けている(労働組合員など)。むろん誰もテロリズムの擁護などしていない。この異常な司法の態度は、表現の自由に対する侵害がさらに進んだことを意味する。リマ・ハサンの場合は、野党の選挙候補者に対する政治的な脅しと弾圧であり、フランスで民主主義がさらに後退したことを示す。

 驚くのは、この民主主義の危機に対して、他の「左翼」や「民主主義」を自称する人たちの反応が鈍いことだ。「黄色いベスト」や移民系の若者に対する警察の暴力についてもそうだったが、イスラエルとパレスチナ問題についても、マクロン政権と保守、極右の主張・解釈が唯一の「正しい」立場となり、その主流意見に抗議する人々の表現の自由と人権が侵害され、弾圧される。そして、かつての「左翼」やその支持層にも、不当な扱いを受ける人たちに連帯し、一緒に抵抗しようという意思や姿勢が見られない。ちなみに、今日のデモに社会党と共産党は不参加、緑の党の参加者は少数だった。

 フランスのヴァネサ・コダチオーニという政治学者によると、「テロリズムの擁護(賞賛)」は19世紀末にアナーキストを弾圧するために発明されたコンセプトだが、刑罰として特化されたのは社会党カズヌーヴ政府の2014年。曖昧な解釈の法律が可決されて罪が重くなった。2015年のフランスの連続テロ以降、頻繁に使われるようになり、多くはインターネット上の表現に対する「通告」にもとづいている。移民系の人への弾圧(不当な言いがかりも多数)に使われるケースが多かったが、今回新たな要素は、それが労働組合員、知識人、政治家、活動家、学生に対して頻繁に使われるようになったことだという。「テロリズム」という法的な定義が曖昧なコンセプトが世界の善悪を分ける基準になった9.11以来、民主主義の危機が増大したといえるだろう。それにしても、今日のデモのアピールにある「すべての子どもを擁護する」という理念は、人間性の基盤だったはずなのに、なぜこれほどいとも簡単に人間性を失う人が増えたのだろうか?


*左の垂れ幕:パレスチナは生きのびる

 4月23日、「服従しないフランスLFI」の国会の会派の長マチルド・パノーが「テロリズムの擁護」の疑いで警察から呼び出しを受けたと発表した。リマ・ハサンを訴えた同じ団体の訴えによるもので、国会の主要野党会派の長を検察の指示で警察が呼び出すなど、第五共和政で前代未聞のことだ。これでは反対勢力の口を封じようとするオルバンのハンガリーやプーチンのロシアのようではないか。10月7日の直後にパレスチナ市民への連帯デモが禁止されたり、その後パレスチナ支援を表明する人たちが「テロリズムの擁護」で呼び出されたり、自宅に朝の6時に重武装で押し寄せた大勢の警官たちに子どもの目の前で逮捕され拘留されたり(その労働組合員は執行猶予つきでも有罪になった!)、リマ・ハサンとメランションの講演会が禁止されたり・・・表現の自由と人権の侵害はどこまで進むのだろうか。

 イスラエルによる大量殺戮、破壊、飢餓の誘発などジェノサイドと呼べる戦争犯罪は6ヶ月以上続き、ようやくその映像や内容も少し報道されるようになったが、それでもネタニヤフ政権の言い分・プロパガンダが大々的に報道され、パレスチナ市民に対する差別的な発言(主に極右の24時間テレビで流布されている)が問題にされることはない。しかし、大量殺戮の事実に気づき始めた人が増えてきたので、それを告発し停戦を主張する人たちの声を消そうと、弾圧が強まったのだろう。コロンビア大学などアメリカでは大学で学生たち(教員も)がガザの虐殺に抗議し、パレスチナ人民に連帯してキャンプを始めた。他国の大学でも運動が起きているという。そうした世界の動向からフランス(の政権と主要メディア)はますます孤立していくのだろうか。

 そして、極右のデモや言動に対しては相変わらずマクロン政権、司法、警察はいたって寛容で、何の批判もされない。極右は笑いが止まらないだろう。左派は何人かの例外(共産党のトップ、社会党の一部)を除けばLFIのパノーに連帯してこの呼び出しに抗議したが、反資本主義新党NPAのブザンスノーなどが提案しているように、表現の自由と民主主義の擁護のための統一集会・デモが必要だ。連帯した抵抗がなければ、マクロン政権は民主主義(同時に福祉国家もだが)の破壊をますます進めるだろう。


*ソルボンヌ大学前広場

 4月29日 ガザ市民の大虐殺(国連の特別報告者も今はジェノサイドと形容し、国際司法裁判所はまもなくイスラエルの高官への逮捕状を出すという)に対する自国政府の無為やイスラエル軍への援助に反対し、停戦と平和を求めて学生たちが動き出した。アメリカのコロンビア大学で始まった抗議キャンプは合衆国の各地、カナダのモントリオールやヨーロッパや日本の大学にも広がってきた。

 フランスではパリ政治学院SciencesPoでキャンプと封鎖が始まり、しばらくして警察が介入しようとした。LFIの議員たちが駆けつけて学生を擁護し、警察による弾圧は免れた。学生たちは交渉により、学院の指導部から「処罰なし」を獲得して平和的に解散した。人権と国際法に基づいて停戦を要求する学生たちの運動は最初から最後まで非暴力なのに、マクロン政権とそれに追随するイスラエル支持の政治家や主要メディアのコメンテーター、ジャーナリストたちは、学生たちを暴力的でハマス支持だと中傷する。

 4月29日、ソルボンヌの中庭でもキャンプが始まったが、すぐに機動隊が出動して、学生たちは暴力的に撤去させられた。外の広場にどんどん学生が集まったが、機動隊に囲まれる不自由な集会となった。1968年5月革命以来、フランスの学生や高校生たちは定期的に運動を起こすが、大学に機動隊が即座に出動するなど、以前は考えられなかった。保守勢力は常に若者の運動を弾圧してきたが、学生たちが集まって議論を続けることさえ拒否するこの強権的な対応は、異常としか言いようがない。

 ガザの状況はますますひどい。だが、爆撃された病院で多くの死体を埋めた穴が見つかるなど、他の場所で起きれば大ニュースになることが、主要メディアではほとんど報道されない。停戦を求めてパレスチナ人民を支援する人々が敵視され、彼らの表現の自由への侵害はますますエスカレートしている。そんな中、学生たち若者による平和を求める運動が世界的に広がりつつあるのは希望であり、堕落した西洋の誉れだといえるだろう。

 4月30日の朝、「テロリズム擁護」の疑いで呼び出しを受けたマチルド・パノーとリマ・ハサンを支援し、この信じがたい表現の自由の侵害と政権の権力濫用に抗議する集会が、警察署近くの17区の広場で行われた。双方ともネタニヤフ政権を絶対支持するユダヤ系の団体が訴えたものだ。昨年の10月10日、フランスの法務大臣は検事たちに向けて「10月7日以後イスラエルが受けたテロ攻撃と関係のある違反行為を優先的に取り扱うように」という通達を出した。以後、停戦を求めてガザ市民への大量爆撃、虐殺を告発する人たちをハマス支持だと、イスラエル支持の団体が訴える件が多発した。

 この「テロリズム擁護・賞賛」の罪は、2014年にオランド政権下で法制化された(前述)。移民系の人たちに対して不当に使われたため、2022年にヨーロッパ人権裁判所はそれについてフランスを非難し、国連の特別報告者は内容が曖昧なこの犯罪の濫用が表現の自由を侵すことを指摘している。それに革命以来、議会での討論の自由を保障するために、国民議会の議員には免責特権がある。野党の会派長を訴えることは従って、思想の自由に対する侵害だ。今年4月3日に、フランスの人権委員会の委員長も、「テロリズム擁護」の罪を使った訴え濫用が表現と討論の自由を侵害するから改めるべきだと、法務大臣にあてて書いた。

 つまり、マクロン政権は反対する人々の口を封じるために、警察による暴力だけでなく司法にも圧力をかけている。野党に対するこんな行為は、第五共和政で初めてである。

 5月1日のメーデーはレピュブリック広場からナシオン広場まで、マクロン政権が進める労働者の権利攻撃政策に対する反対やパレスチナ連帯など、いろいろなテーマで大勢の市民が行進した。「服従しないフランスLFI」では大勢の国会議員と欧州議会議員が参加し、出発前にメランションのスピーチもあった。彼は、マクロン政権下で階級闘争が激化したが、労働者が闘いによって獲得してきた生きる権利、社会保障など人類の公益のために闘い続けようと強調した。あまりに大きい不正と不平等、侮蔑に抗する、「意識(良心)の蜂起」の時が来ていると。

 「蜂起」という言葉をメランションが使ったのは、パリ政治学院の学生運動についてリマ・ハサンが「蜂起の時が来た」とツイートしたことを受けている。この表現についてあるテレビ局のジャーナリストは、LFIの議員マニェエル・ボンパールに「あなたも蜂起に賛成か?アラブ語で蜂起を何というかご存知か、インティファーダなのだが」と聞いた。ボンパールはそのジャーナリストの悪意ある勘ぐりとレイシズムに驚き、抗議した。完璧なフランス語を駆使して的確に議論するリマ・ハサンの発言について、アラブ人だからとアラブ語に翻訳してわざわざインティファーダを持ち出したわけだ。メランションに対してもずっとそうだが、発した言葉と表現を主流のメディアは文脈から切り取り、とんでもない別の含意を勘ぐったり違う意味に解釈したりする。メランションやハサンは人の心に届く言葉と人間的な内容の意見・政策を語り、記すが、ほとんどすべてのコメンテーターとジャーナリストはそれらをちゃんと聞いたり読んだり理解しようとしたりしないばかりか、このように揚げ足をとって壊し、汚す。マクロンなどの虚ろなコミュニケーションとマネージメント言語、正反対の意味に言葉を使うオーウェル『1984年』のニュースピーク(ダブルスピーク)、そしてトランプ流のフェイクニュースに染まった人々は、言語をこれほどまで堕落させるようになるのだろうか。

 パリ政治学院の学生たちの運動は、他の都市の政治学院や大学に広がっている(即座に機動隊が動員されるが)。5月6日にはパリの高校いくつかで封鎖が行われた。この日、カタールで交渉中の停戦は実を結ばず、イスラエルは拒否してラファへの侵攻を開始した。世界各地の若者たちは、10分間にひとりの子どもが殺され、数ヶ月で3万人以上の死者を出し、建物の7割以上を廃墟にし、病院や学校を破壊し、医療や人道援助スタッフ、ジャーナリストまで攻撃して殺すイスラエル政府の戦争行為にノーを突きつけた。彼らの健全な感性と知性、ヒューマニズムから生まれた発言と運動を反ユダヤ主義やイスラム原理主義支持などと中傷してジェノサイドに目を瞑る人たちは、自らが歴史に残す汚点の責任をいつか引き受けるべきだ。

 2024年5月6日 飛幡祐規


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