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レイシスト帰れ!〜ヘイト団体の「慰霊の公園」使用に市民が抗議のシットイン

松本浩美

●市民と報道を締め出す東京都

 関東大震災朝鮮人虐殺から今年で100年。毎年9月1日に横網町公園で行われている追悼式典に、東京都が「そよ風」に使用許可を出したと聞き、抗議行動に駆けつけた。

 そよ風はここで毎年集会を開催。2019年の集会での発言は、翌2020年東京都の人権尊重条例に基づくヘイトスピーチと認定された。今回そよ風はこれまで行っていた場所から30メートルほど離れた朝鮮人追悼碑の前で集会を開くという。明らかな犠牲者への冒涜である。

 午後2時30分過ぎ、現場到着。警官と東京都の職員、メディア、そして大勢の市民の姿。追悼碑周辺は柵で囲まれ、近づくことができない。3時30分までは東京同朋追悼会(総聯東京都本部と東京朝鮮人強制連行真相調査団主催)なのに、1時間も前に立ち入り禁止にしたのだ。その場にいた市民の猛抗議の末、都は封鎖を解いたが、一般市民やメディアを締め出す姿勢に怒りを覚えた。

 4時近くなると、抗議に訪れる人が増えてきた。

 そよ風はすでに日本庭園のある東屋付近で待機して、4時になったら移動するという。そよ風が毎年ヘイト集会を行っている場所である。

 そよ風のいる日本庭園へ向かう道は封鎖されている。それも柵を置いたうえ、都職員数人が並ぶ。さらに、柵の中では大勢の警官がそよ風をガードという徹底ぶり。とにかく、近寄らせたくないのだ。

 メディアであっても自由に入ることはできない。大手は許可するが、独立系の媒体は不許可。とはいえ、フリーランスで柵の中に入った人もいたので、基準はかなりあいまいのようだ。

 そんな中、NO HATE TVの野間易通さんが柵を突破。しかし、前へ進もうとすると職員が立ちふさがるなどして妨害する。「報道ぐらい入れろ!」「報道されて困ることがあるのか!」「恥を知れ!」市民の怒号が飛び交い、公園は騒然となった。

●追悼碑前でシットイン

 4時過ぎ、誰かが「みなさん、追悼碑の前で休みましょう!」と呼びかける。すぐに50人くらいが追悼碑の前に座り込んだ。周囲では「警察は市民に退去命令を出すつもり」と話している。

 シットインした人々の中には東部労組のメンバー、韓国から来日した犠牲者の遺族の姿もあった。あちこちで「レイシスト帰れ!」とコールが湧き上がる。

 私も座り込んでみたが、石畳が熱い。日は傾いてきたとはいえ、容赦なく照り付ける。背中からじわじわと熱気が広がる。喉が渇いてきたのですぐに離脱した。

●追悼碑前でのヘイト街宣阻止

 開始の4時30分を過ぎても、「レイシスト帰れ!」コールは続く。 柵越しにそよ風が移動のため並んでいる姿が見えた。列は動き出したが、途中で止まってしまった。

 その間も市民は抗議する。ある人は声を張り上げて、ある人はプラカードを掲げて。やがて柵の向こうを見ると、列が元の場所へ引き返していくのが見えた。

 阻止できた!

 追悼碑前での集会はやめさせることができたのだ。
 そよ風は例年通りの場所で集会を開催せざるを得なかった。なお、そよ風のホームページを見ると、東京都と警察から、「もう、碑の前に居座る人々を全く排除できません、危険ですから、碑の前には行かないで下さい」と告げられたとのことである。

●公による歴史の否定がヘイトを生む

 ネット上で今回の一件について、「追悼の日なのに、騒動を起こして」と集まった市民を非難する投稿を何件か目にした。

 しかし、例年、そよ風の抗議に市民が集まることは東京都も警察も知っていたはずだ。まして今年は虐殺から100年目という特別な年に、都は使用許可を出したのである。批判は都と追悼文の送付を拒否し続けている小池百合子に向けてほしい。公による歴史の否定がヘイトスピーチの原因をつくったのだから。

 今回数百人の市民が結集した。歴史の否定に怒る市民はたくさんいる。この力が、ヘイトスピーチ規制を含む包括的差別禁止法の制定に向かえば、と願わずにはいられない。


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