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再び悲劇を繰り返さないために〜〈関東大震災100年 隠蔽された朝鮮人虐殺〉展を観る

志真斗美恵

 高麗博物館で開かれている〈関東大震災100年 隠蔽された朝鮮人虐殺〉展(7月5日から12月24日まで)を訪れた。

 昨年刊行された新井勝紘著『関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』(新日本出版社刊)を読み、わたしは今回の展示を心待ちにしていた。7月6日『東京新聞』朝刊に、「後世よ 省みて 絵巻の訴え」「関東大震災の朝鮮人虐殺 描写生々しく 新宿の博物館初公開」というタイトルで、新井の本で紹介された絵巻が掲載され、この展覧会が紹介されていた。高麗博物館は、在日コリアンと日本人市民が協力して、2001年、新宿区大久保にできた。新井は、ここの館長でもあった。

 今年は、1923年9月1日の関東大震災から100年目で、それに関連した本やイベントが計画され、福田村事件を取り上げた劇映画も公開される。

 だが、現実はそう明るいものではない。小池東京都知事は2017年以降追悼の辞を朝鮮人犠牲者追悼式に送らず、虐殺がなかったかのように歴史を書き換えている。そうした中での展示である。博物館のスペース決して広くはないが、そこには「1 関東大震災と朝鮮人、2 描かれた朝鮮人虐殺を読みとく、3 日本政府と虐殺否定論、4 日本・韓国・中国で進む真相解明の取組み、5 再び悲劇を繰り返さないために」とあり、この100年間の動きがわかりやすく展示されてる。訪れた人びとは、掲載されている文章・写真・絵をじっくりと読んでいる。

 椅子まで用意され、当時の雑誌や記録の本も自由に読むことができる。直後に発行された雑誌『改造』や『9月、東京の路上で』(加藤直樹著)、『オサヒト覚え書き 関東大震災編』(石川逸子著)もあった。2巻の「関東大震災絵巻」は、一部が展示されていて、ここでは、カラーコピーにしてファイルされ、すべてを見ることができた。『東京新聞』は、この絵巻の作者の身元が判明したということだった。新井勝紘さんは、7月31日新宿区立四谷区民ホールで本と同じ題で話され、徐京植さんも「韓国現代アーティストの映像作品にみる『ルワンダ虐殺の記憶』」を講演する。

 展示のパンフレットには、展示の中身に加えて資料や証言が多数あり、購入をお勧めする(500円)。また高麗博物館では、次の講演会も開かれる。慎蒼宇さん「軍隊と」自警団の朝鮮人虐殺」(9月16日)、加藤直樹さん「朝鮮人虐殺をなかったことにしたい人たち」(11月11日)、西崎雅夫さん「関東大震災時の朝鮮人虐殺」(12月9日)。(オンライン申し込みもできる)


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