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でっち上げが明らかになったサンケン第7回公判〜尾澤孝司さんが証言

尾澤邦子


*韓国国会議員の嘆願書を手にする尾澤孝司さん

 5月17日(水)第7回尾澤公判が、さいたま地裁で行われました。  韓国から国会議員68人の「国境を越えて労働者の権利保護に立ち上がった尾澤孝司の無 罪判決を切に要請する」という裁判長あての嘆願書が届きました。

 午前8時半からの事前集会では、嘆願書と韓国の全国金属労働組合からの「日本政府は 韓国労働者の闘いに連帯した人権運動家尾澤孝司さんへの弾圧をやめよ!韓国サンケン支 会との連帯活動で起訴・・裁判所は無罪判決を!」という声明が紹介されました。無罪判 決を要求するシュプレヒコールの後、9時締切の傍聴整理券配布に並びました。再三再四 大法廷での開廷と開廷30分前の整理券配布を申し入れているにも関わらず、一顧だにされ ないことに怒りを覚えます。憲法82条には裁判の公開の原則があるのに、器を小さくして 傍聴させないことは、憲法違反だと思います。53名が整理券を受け取りましたが、傍聴席 は44でした。

 公判は午前10時から始まりました。尾澤さん本人への被告人質問でした。上野弁護士か ら、逮捕当日2021年5月10日、なぜサンケン本社前にいたのか、また「韓国サンケン労組 を支援する会」についてや、第1次・第2次韓国サンケン闘争についてなどの質問がありま した。尾澤さんは、5月6日に慶南地方労働委員会から1週間の期限付きで出された「和解 勧告」を、サンケン本社の総務課長か人事課長に伝え、労組と話し合いを行うよう訴えよ うとしたこと、コロナで労組が日本に来られず、より積極的な支援が求められていたこと などを話しました。浅野弁護士からは、逮捕当日が「韓国サンケン労組と連帯する埼玉市 民の会」の月曜行動の日であったことから「市民の会」の活動についてや、当日の警備に ついてなどの質問がありました。サンケン電気は通常朝の警備は2人くらいなのに、「支 援する会」「市民の会」の行動日には6〜7人が警備にあたり、業務で行動規制していたこ とも明らかにされました。浅野弁護士は、当日の防犯カメラに映った現場写真を何枚も尾 澤さんに示し、どういう場面かを尋ねました。傍聴席からは見えませんでしたが、尾澤さ んが門の中にある受付に行こうとして前に進もうとしたのを警備員が立ちはだかって押し 戻し、また前に進もうとして押し戻され対峙し、最終的に敷地外に押し出されたというも のでした。

 「何か言いたいことがあれば」と促され、尾澤さんは「私は公的機関である地労委の『 和解勧告』を本社の責任ある人に知らせ、労組と話し合うよう伝えようとした。受付に行 こうとしたのに妨害され、敷地外に押し出された。検察は、起訴するために無理やり罪を 作り上げた」と話しました。そして「韓国の国会議員68人の嘆願書を証拠として提出しま す。この重さを受け止めて無罪判決を出してほしい」と訴えました。


*この日もたくさんの支援者が集まった(写真=内田正)

 昼休みをはさみ、午後1時半から検察官の尋問がありました。長谷川検察官は何度もし つっこく逮捕当日サンケン本社前にいた目的を聞いてきましたが、尾澤さんは午前の質問 に答えたのと同じく「『和解勧告』を伝え、労組との話し合いを求めて」とはっきり答え ました。当日の動画の一部が上映されました。法廷の両サイドにある大きな画面には映さ れず、傍聴人にはわからなかったのですが、検察官は「(尾澤さんが)押しているように 見えますが」と言っていました。検察官はなんとか尾澤さんに「押した」と言わせたかっ たようでした。「全身全霊で会社の中に入ろうとしたことはありませんか」などと聞いて いました。尾澤さんの答えが明確だったためか、検察官の尋問は30分もかからずに、あっ けなく終わりました。

 韓国国会議員の嘆願書を証拠として提出したいとの弁護側の申し出に、検察官は「該当 しない」「関連性がない」などと言って認めようとしませんでした。裁判長は「韓国語の 原本を添えてください」など体裁を整えるようにと言っていました。

 検察官は、キム・ウニョンさんがサンケン電気の社長に出した手紙を証拠として提出し たいと言っていました。手紙は本社が責任を持って解決してほしいという内容ですが、何 が言いたいのだろうかと思います。

 5月10日当日の目的については、検察側証人の3人の警備員も「尾澤さんは、韓国サンケ ンの解雇の問題で、地労委(裁判所のようなところ)から和解勧告が出たので、労組と話 し合うよう伝えたいと言ってた」と証言しています。

 検察官のあっけない尋問で、無罪判決に大きく近づいたように思いますが、どうなるの かわかりません。次回は6月20日(火)午前10時から論告求刑、最終弁論です。そして判 決は9月11日。「9.11」なにかイヤな感じがしますが偶然でしょうか。

 尾澤孝司さんは、無理やり作られた罪で7か月半も勾留され、裁判で苦労させられてい ます。私は大腿骨骨折で入院・手術してリハビリ中、乳がんがわかり、抗がん剤の副作用 で起き上がるのもやっとだった時に起こった事件です。いきなり連れ合いを奪われ、家宅 捜索で家の中を踏み荒らされ、手術前の夫との面会も接見禁止で許されませんでした。抗 がん剤の後遺症でいまだに思うように動けません。年齢のせいもあるのかもしれませんが 、もどかしく思います。多くのみなさんに支えられ、励まされてきました。感謝していま す。

 無罪判決が勝ち取れるよう、さらなるご注目、ご支援をお願いしたいと思います。よろ しくお願いいたします。

参加感想(日向よう子)


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