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LNJ Logo レイバーネットTV(4/26)詳細報告 : 徹底的に人権を無視する日本の入管庁
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レイバーネットTV183号報告(2023年4月26日)
<難民をいじめてどうするの〜入管法改悪反対運動の現場から>

徹底的に人権を無視する日本の入管庁

これを書いている最中の4月28日、最悪の「入管改悪法」が衆院法務委員会を通過した。廃案一択と叫ばれる中で、修正案協議を自公維民の4党で行ってのことだった。そのニュースを聞きながら、日本って、世界に敵を作っているのよねと改めて認識する。

再び戦争をしないためにと始めた私の初めての社会活動は、主にアジアからの留学生との交流だった。世界に友だちがいれば、戦争は起こせないと。そこで出会った入管問題、そしてベトナム戦争後の国費留学生の難民化問題だった。それゆえ、2年前に続く今回の入管法の改悪には、心を痛めている。

当事者家族として話してくださったナオミさんの一つ一つの言葉に涙が滲んだ。後ろに貼られたフリップの「法が終わるところ 暴政が始まる」に強く共感し、ヒットラーがワイマール憲法を止めたような今の日本の状態に、心底の怒りを感じる。(報告:笠原眞弓)

アーカイブ:https://www.youtube.com/watch?v=_iFEIUIipEg
*レイバーネットTV専用サイト https://www.labornettv.org

・企画担当 松本浩美
・司会   根岸恵子
・コメント 松本浩美(フリーライター 連日の抗議行動)
・ゲスト  ナオミ (仮放免者スリランカ人の配偶者/在留資格を求めて裁判中)
      小池宏之(支援者・#FREEUSHIKU)

 2021年5月廃案になった入管法改正(悪)法案が、今年4月13日に再び審議入り。内容は 当時とほぼ同じ。しかも2回難民申請すると、3回目から申請中であっても強制送還の対象 となるなど、さらに厳しいものになっている。

◆動画は訴える 4月21日の国会前集会の動画

・「私たちは人間だ!」と言わせている現実から目を背けないで!
・今こそ国際情勢に合わせて変えていくべき時
・1本の線引きで、権利が守られない人が出ることはやめよう
・入管庁自らの招いた犠牲者をこれ以上出さないように
・国籍、在留資格を持っていないだけで人としての権利を持てない人を見過ごすな

議員会館前での採決阻止行動の現場から駆け付けてきた松本浩美さんは、本日26日の法務 委員会は立憲民主の反対動議があり、採決は28日となったと報告があった。

◆弁護士指宿昭一さんの怒り 廃案一択で!

続く動画は、指宿弁護士の怒りがさく裂する。「野党は修正協議をするな!もしすれば、 廃案にできない」「市民の反対の声が多くなれば、国会内の力関係に関係なく止められる 」と声を振り絞る。

◆基本知識の解説

・難民申請、在留資格⇒日本の難民受け入れ率1%に満たない。難民申請が受け入れられ なければ、在留資格がないとされ、入管庁に収容される

・収容⇒在留資格のない者が無期限で収容施設に収容されること(国連の拷問委員会は、 日本に是正の勧告を出している)

・仮放免⇒一時的に収容所外で生活できるが、働くことは出来ず、居住地都道府県を越え ての移動は許可がいる。健康保険もない

・送還忌避者に対する刑事罰⇒帰国を拒否(帰国すれば命が危ないなど)する人を罰する 。現在の対象者は、4233人

・難民申請は2回まで⇒これまでは申請中には送還されなかったが、改定案では、3回目以 降は送還停止規定が適用されず、強制送還できる

◆小池宏之さんが参加する#FREEUSHIKUとは

2018年に長期収容のインドの人が収容を苦に自殺したことがきっかけで、収容者の抗議活 動がおこった。それを知った人々によってつくられたのが#FREEUSHIKU。そのメンバーの お一人、小池宏之さんは牛久の入管での収容者と面会などのボランティアをしている。他 にも物質的支援や入管問題の勉強会、議員へのロビーイングなどの他、HP、SNSでの告知 なども。若いメンバーが中心で、得意分野で活動をしている。

◆収容施設で毎年のように起きる自殺や病死事件〜刑務所の方がまし!

牛久の収容施設は、以前は400人くらいいたが、コロナになってから60人前後に。

難民認定不許可を受けた人のうち、半数以上は帰国(自発的・強制送還)しているが、残 りの半年以上収容されている人たちが問題になっている。帰国を拒否した場合「送還忌避 罪」という刑事罰が科されるのだが、それらの人々は、自国の政情不安から故国に戻れな い人の他、日本に生活の基盤がある人や日本で生まれた子どもたちなどである。

長期収容者の健康状態、特に先が見えない(懲役と違い期限が決まっていない)ことによ る精神的不安などが問題で、期間の決まっている刑務所の方がましと言わせている。

◆決定権は入管庁だけにある

これら収容の決定権は入管庁にだけあり、プロセスが外部に見えないことか大きな問題だ と指摘。他にも体調不良を訴えると市販薬はくれるけど、医者の診察はなかなか受けられ ないなどもある。 今回の法改正をみると、これまで言われている問題点は何一つ改正されていないうえ、入 管庁にとって都合のいい改正という印象だ。

◆仮放免者を民間に監視させる⇒入管庁の手抜き

民間の管理人を定めて監視させるということも含まれているが、怠れば罰則もあるだろう から委託された民間組織は、つい「監視」するようになるので、自分の考えとも既存の民 間組織の方針とも乖離するので、引き受けないだろう。

◆悪法改正阻止の国会前行動の動画が流れる

議員会館の前で行われているシットインの19日の動画上映から始まる。労働基準法に使用 者は国籍・信条・社会的身分によっての差別を禁止しているにも関わらず、入管法に象徴 されるような国籍差別が現存していると、労働現場からの怒りの声が上がる。また外国籍 と思われる方からも「難民を犯罪者と決めつけるな」「強制送還を合法化するな」と声が 上がる。

◆夫のナヴィーンさんが仮放免中のナオミさんは訴える

仮放免中のナヴィーンさんを含め、家族4人を支える妻、ナオミさんがオンライン参加する。 スリランカ国籍のナヴィーンさんは難民申請を2回拒否されているのでもし法改正された場合 、次回拒否されれば強制送還になる。それで彼は、精神的に追い詰められ、ベッドから離 れられない状態だという。

彼が22歳の時、父親と反政府のポスターを張っているとき、政府側の人の暴行を受ける。 その後、父の配慮で留学ビザをとり、日本に脱出。ところが4か月後にはその学校が封鎖 され、ビザを失う。2016年にナオミさんと結婚するも、ビザは下りなかった。

◆正規の婚姻を認めながら実子がいるかどうかにこだわるのはなぜ?

ナオミさんは入管庁へ行き、正規の結婚であることの調査を依頼するも(ビザのための偽 装結婚があるため)、入管庁は正規の結婚であることは認めつつ、調査もせずに配偶者ビ ザを出さない。その理由が、組織で動いているから、窓口の一存では決められないとか!  開いた口が塞がらないとはこのことだ。

◆難民申請をなかなかしなかったわけ

・難民申請をすると、母国の家族に難が及ぶ可能性がある
・難民申請のやり方を知らなかった(入管庁は、やり方を教えたがらない)

◆仮放免とは人権・生存権のない状態

・就労も社会保障、公的サービスも受けられない
健康保険証はもちろんないので、病院に行かれないなどの他、家族なのにナオミさんを妻 と認めず、人間として扱われない。加えて、施設に強制収容される恐怖もある。

◆ナヴィーンさんの病気

ナヴィーンさんは、椎間板ヘルニアの手術をし、その後自殺未遂を2度ほどした。適応障害か らうつ病と診断される。その症状について話すナオミさんは、とても辛そうである。

◆それでも母国に帰れないのはなぜ?

2つの理由がある。1つは、帰国すると政治犯として命の危険があること。もう一つは、家 族と一緒に平穏に暮らしていきたいという強い思いがあるから。 一人で帰せば、本当に自殺するかもしれない。それだけは避けたいと悲痛な気持ちを語る 。

◆在留資格を求めて裁判を起こす

ナオミさんたちが、面倒な裁判を起こした訳を語る。願いはただ一つ、家族みんなが穏や かに日本で暮らしたいから。

医師は在留資格を得て安心して暮らせなければ、病気の回復は望めないというので、どう しても在留資格が必要。だから、裁判に踏み切ったという。

ここで第1回口頭弁論のナヴィーンさんの陳述のメモが読み上げられた。人としての当たり前 の生活がしたいと切々と訴える言葉は、涙なくしては読むことも、聴くこともできなかっ た。

◆ナヴィーンさんの次回の法廷は「6/6東京地裁703法廷14: 00から」

傍聴だけでも支えることになるということだ。

*「ジョニーと乱の5ミニッツ」
・川柳 入管の字が入棺に見えている     奥徒
   白人にはヘラヘラアジア人にはトゲトゲ 一志
   入管解体希望の明日はきっと来る    乱鬼龍

・歌 作詞作曲:ジョニーH 「私はコスタリカ憲法31条だ」

→次回は5月17日(水)放送予定。


Created by staff01. Last modified on 2023-04-29 21:00:02 Copyright: Default

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