レイバーネットTV174号報告 : 大軍拡と東アジアの平和/「安保3文書」改定を止めるために | |||||||
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●レイバーネットTV174号報告 : 大軍拡と東アジアの平和〜「安保3文書」改定を止めるために 始まっている憲法改正 「戦って勝つ」を目指す政府笠原眞弓アーカイブ https://www.youtube.com/watch?v=1_CIAacqi_A スタジオゲスト: 日本は平和憲法を持ち、原爆を落とされたのに報復しないと一目置かれてきたのに、いつの間にか憲法違反のできる国になっている。それなのに東京近辺の人たちは、その危機をリアルに感じていない。まだ間に合ううちに、そのことを考えたいと杉原浩司さんが企画した。 ・石井信久さんは琉球弧の問題を整理し、このまま進むと琉球弧が危ないという。 先ず来年3月開設予定の石垣島のミサイル基地建設現場の写真(9月30日撮影)を示し、続いて来年3月までに着工予定の馬毛島の全島軍事要塞計画図を示す。2011年から始まった南西諸島軍事基地化は、今自衛隊配備の感性に向かっている。現在は第2段階に入り、米軍はインド太平洋地域に軸足を移し、日本ばかりでなく欧州を巻き込んでの大規模演習が始まった。また中国包囲台湾有事キャンペーンが2021年から盛んになり、日米共同作戦がつくられたとオドロオドロの現状を説明する。2015年の安保法制の目的が実現に向っている。つまり9条を変えなくても、戦争態勢に入れるし、簡単に9条は変えることができる状況とか。本来なら、これに対する反対運動が、2015年と比較にならないほど盛り上がるべきなのにと、現状を憂う。中国まで届くミサイルの開発が進み、南西諸島の有人島に配備されつつあってもうすぐ日米共同作戦が完成する。そうなると、琉球弧が危ないとのこと。 ・清末愛砂さんは、明文改憲と解釈改憲の2つの改憲が進んでいて、年末までに専守防衛は消えると言うことから話が始まる。 解釈改憲には「さらなる」とつけたい。見落としている視点として、2つの改憲が同時に進んでいる。明文改憲と「さらなる」解釈改憲。「さらなる」とつけているが、これは2015年の安全保障関連法が施行された、その時に大きな解釈改憲が行われた。今後年末にかけて、安保3文書(国家安全保障戦略、防衛大網、中期防衛計画)が改訂される動きがある。すると敵地攻撃とか先制攻撃というようになり「専守防衛」が終りとなる。それは沖縄と北海道の危機を示してもいるとか。この両地方が広い意味の国境地帯だからというのではなく、戦前からの植民地という位置にあるため、すでに様々な意味で、犠牲がある。それがさらに進められていると怖い話をする。そして南西諸島の問題は、北海道と連動しているという。 ・杉原浩司さんは、日本が目指しているのは「戦って勝つ」ということ 「STOP 大軍拡 軍事費2倍」というプラカードを掲げながら話し出す。8月31日に防衛費の概算要求が出された。ところが年末に国家安全政策が変わらないと中身が決められないという「事項要求」が120以上に及ぶ異常さだ。それを除いても5兆6千億円という、過去最高額。事項要求を入れると、6兆円を超えるのではないかとのこと。更に驚いたのは、他の項目も金額が書いてないという恐ろしさなのだ。このまま進めば平和憲法のある日本の軍事費が世界第3位になるという。批判されて、有識者会議を立ち上げたが、実情はすでに「改憲反対」のレベルを通り過ぎ「戦って勝つ」ことに的が絞られている。つまり、他国を攻めることができるようになっていて、その是非を問うというより、財源の問題になっている。現在自公協議会が立ち上がり、これも茶番劇になっている。今後、アメリカが攻められた時、日本は参戦できるようになるともいうのだ。新たな安全保障条約は、4つに的が絞られる。憲法の明文改憲より重大な変化である。 1 憲法の明文改憲しなくても攻められる これまでは「攻撃されたら守る」なので、隣国に届くミサイルも持たなかった。ところが元防衛官僚の徳地秀士さんはこれからは「戦って勝つ」であり、それを周辺諸国に戦略的に示すことが必要だと言っている。しかも、すでに先制攻撃を含めた攻撃ができるように、計画されているという。ということは、憲法の明文改正をやってもやらなくてもいいことになった。すでに、敵基地攻撃能力を持つミサイルを持っている。それにお墨付きを与えることになる。ということは、日米共同の(日本の先制攻撃を含めた)戦争ができるようになる。 2 軍事費の5年で倍増 5年間で45兆円の増額になり、5年後に11兆円のレベルになるかも? そうなると、世界で第3位であるのではないか。しかも、防衛費以外の軍事関係の費用も上乗せしてくるだろう。 3 武器輸出の拡大 今までも武器輸出に力を入れていたが、さらに力を注ぎ始めた。今までは殺傷能力のないものは輸出していたが、今後は殺傷能力のあるものも輸出していけるようにする方向だという。河野太郎がウクライナの要望に応えてミサイルも供与するべきだったと言っている。そうすれば、日本の武器の性能を示せるから輸出促進になったと言った。大臣が、そういうことが言える日本になっているのだ。 4 経済安全保障と軍事研究、武器開発 次に問題になるのは、経済戦争。中国との経済戦争を仕掛けるほか、日本に軍産型複合体を作っていくため、5千億円で研究者を集めていこうとしている。第二のつくば学園都市のイメージのものが具体化に向かっているとか。継戦能力を高めるために、国が武器弾薬の工場を建てようとしている。以上のことを踏まえて、市民がこの2ヶ月弱の間に反対の声を上げられるかにかかっていると、切羽詰まった「今」を危惧する。「国葬反対の盛り上がりの中で強行された」という事実を作らなければならないと、強調する。 ・琉球弧南西諸島の人々の反応 琉球弧南西諸島への軍事化への長距離ミサイル配備して、地元はどう受け止めているか?との問いに、石井さんは以前は島民が安全になると言っていたが、ついに政府側は台湾有事があれば、日本有事だ、シェルターを作れとウクライナに乗じて危機感を煽ってきた。島の人々は米軍が来るなら反対と言っていることを理解していないと、本土と言われる側が島々の人たちの危機感を思いやれずにいることへの苛立ちを語る。 ・ヤマトの一部野党・立憲民主党ですら煽る戦争危機 杉原さんは、民主党政権の時に、北海道から南西諸島まで、自衛隊の配備を変えることを「自分たちがやった」ということで、立憲民主党が反対しきれていない。そのため、政治的争点にならないと指摘。立憲の岡田克也さんの国会で「核シェルターを作らないのかと」質問している。すると、政府は検討していくと答える。野党第1党がむしろ率先して軍事的強化を迫っている。大和の市民の責任は、南西諸島の軍拡を止める事だと思うが? ・全国で「寄ってたかって」守る 石井さんは、日本全国で寄ってたかって「端っこ」の人々を守らなければならないのに、政権交代が先だと言われて、結果放って置かれた。今みんなで注目すれば、この政策の矛盾点が見えてきて、世論で変えることができるのでは?という。 ・大国のプロパガンダに飲み込まれないために 杉原さんは、大国の狭間で、一握りの人々による軍拡競争に組み込まれていく。それが平和なんだと信じこまされていく。その皺寄せを受けるのが、島々の人たち。基地建設は、地域を分断する。その中で島々や台湾の人々を思えないと、大国のプロパガンダに飲み込まれてしまう。 ・相手を脅す もう一つ、今の軍拡のポイントは軍事力による抑止力。つまり「相手を脅して、攻撃させないようにする」である。ウクライナの戦争から防衛庁が何を学んだかというと、相手に合わせた備えをすること。箇条書きにすると ところがこの抑止論は、全く通用しなかった。相手の合理的な思考に頼るのは、他力本願で戦争は防げない。解決法は「能力を縛る」ということで防ぐことしかできないが、どこまでできるかである。 石井さんは杉原さんのいう脆弱さは、抑止力で戦争を防ごうという国が前提だが、そもそも抑止力は、軍事緊張を前提にして、軍事力による均衡状態を自分達の陣営に有利な形で保持していく力である。有事に移って行った時に、相手勢力の弱体化が計算できるなら、抑止と対処体制がある。抑止力は、戦争を防ぐものではない。つまり、冷戦構造を固定する仕組みでしかないと言い切る。 ・質問コーナー 原発/軍拡予算と市民生活/台湾有事 質問 ウクライナで原発が攻撃されたらと言われたが、日本ではどうか? 質問 これまでも、軍拡の先には市民の貧困があったが? 質問 防空壕を作るように内務省が指示した1年後に、パールハーバー。南西諸島にシェルターをとは、台湾有事を日本が仕掛けるのかと思うが、「台湾有事」は本当にあるのか? 杉原さんはじめ3人の口から出てくる言葉は、どれも恐ろしい。だからこそこれから年末迄、国民の「国家安全保障戦略」の改訂反対運動を2015年の安保法制以上に盛り上げなければならないといくことだ。差し当たって、11月18日14時30分にある院内集会『この軍拡は〈国のかたち〉を変える。』の案内があった。 ・「ジョニーと乱の5ミニッツ」の時間 大軍拡すでに戦時下かもしれぬ 乱鬼龍 ○次回175号は11月9日(水)19時30分からです。物価高騰とたたかうパリと繋ぎます。 Created by staff01. Last modified on 2022-11-01 16:36:40 Copyright: Default |