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投稿者 : 愛知連帯ユニオン

イラン : 「女性、命、自由!」マフサ・アミニさん死亡事件に大衆決起続く

 9月13日、イランで、マフサ(ジナ)・アミニさん(22歳)が「へジャブ(スカーフ)の付け方が不適切」だとして警察に逮捕され、3日後に死亡した事件を受けて、イラン全土と世界中で抗議の声が上がり、イラン各地でデモや抗議行動が続けられている。街頭を制圧し、あるいは各地で散発的に発生し、ここ数年で最大規模のものとなっている。それは様々な創意によって、2011年の「アラブの春」以来、最も強力な民衆運動となりつつある。

 アミニさんは9月13日、西部クルディスタン州から家族とともにテヘランの親戚を訪ねた際、道徳警察のパトロール隊に逮捕された。当局はアミニさんが16日に心臓発作を起こして死亡したと発表。これに対して遺族は、アミニさんに心臓の持病はなかったと明らかにした。家族の弁護士は「名誉ある医師は彼が拘留中に殴打されたと信じていると述べた」としている。イラン国営放送が公開した編集済みの防犯カメラ映像には、アミニさんが服装に関する指導を受けたとされる「再教育センター」で倒れる場面が映っている。アミニさんの頭部の出血を認める病院のCT画像が流失しているとの情報もある。

 更に、9月20日のテヘランでの抗議行動に参加してアピールをしていた少女・ニカ・シャカラミさん(16歳)が、治安部隊に追われていると話して連絡が途絶え、その後、死亡する事件が起きている。

 SNSには、アミニさんやニカさんが生前、無邪気に楽しむ動画がアップされ、イランの人々は悲しみと怒りに打ち震えている。若い世代にとっては友人が殺されたのであり、その上の世代にとっては子供が殺されたのと同じなのだ。

 「少なくとも19人の子どもを含む少なくとも185人が、イラン全土の全国的な抗議行動で殺害された。殺害件数が最も多いのはシスタン州とバルチスタン州し、その半数が記録されている」とノルウェーに本拠を置くイラン人権団体は10月10日に発表している。

イラン全土で抗議活動が続けられている

 抗議活動の先頭には、どこでもスカーフを外した女性たちが立っている。街頭に出られなくても、家の中から抗議の声を上げ、警察の弾圧を窓から弾劾する動画がいくつも投稿されている。車を街頭に乗り出して抗議活動への連帯の意志をクラクションで示す人たちもいる。

 これらは全て命がけの行動だ。クラクションを鳴らしていて車内で頭部を警察に銃で撃ちぬかれ死亡した青年の動画がSNSにアップされている。 イランで全国的に広がっている抗議デモではこれまでなかった行動が相次いでいる。10月3日にSNSに投稿された動画には、首都テヘラン西に位置するカラジで、10代の女子学生たちが宗教教育関係者に「恥を知れ」と叫び、水の空ボトルと思われるものを、教育関係者が校門から出て行くまで投げつけていた様子が映っている。学生たちが「団結しなければ、1人ずつ殺される」と声を張り上げているのが聞こえる。南部の都市シラーズでは3日、女子学生数十人が主要道路の通行を妨害。スカーフを振りながら、「独裁者に死を」と声を合わせた。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師に向けたものだ。4日には、カラジ、テヘラン、北西部のサケズ、サナンダジュでも、女子学生の抗議デモが報告されている。また、多くの女子学生が教室で、頭部を覆わずに立っている場面の写真も出回った。学生たちは、ハメネイ師と、かつての最高指導者ルホラ・ホメイニ師の肖像画に向かって、中指を立てるひわいなしぐさで弾劾している。

 ライシ大統領は10月8日、首都テヘランの大学で演説し、そのなかでデモの参加者をハエに見立てた詩を朗読した。このライシに対して女性の学生らが集まり、「ライシは失せろ」「聖職者は失せろ」と繰り返し叫ぶ動画がSNS上で広く拡散している。

 イラン政府が抗議活動の期間のインターネットを遮断する中、間隙の接続時間帯にはテレグラムに抗議活動や警察の弾圧を撮影した動画が溢れかえる。弾圧に加担する者たちの住所・氏名も公開されている。他方、デモや抗議活動の連絡は、SNSを使わず、ゲリラ的に突然、行われるものも多いという。

 イランの国営テレビがハッキングされ、暴動の犠牲者の画像と政府に立ち向かうよう訴えるメッセージが流された。

 9月17日、クルド人都市サケズで開かれたアミニさんの葬儀で始まった反政府抗議行動は、抗議者たちは最高指導者の失脚を呼びかけた。イラン革命防衛隊は24日、隣国イラク北部にある反イランのクルド人武装勢力の拠点を砲撃した。ライシ政権はデモの背後に反体制派がいると非難して攻撃を行った。

 イランで政府を転覆させようとした罪などに問われて6年間拘束され、今年3月に解放された英国とイランの二重国籍を持つナザニン・ラトクリフさんは「マフサのために」とつぶやきながら、自身の肩の下くらいまである髪をはさみで次々と切った動画をアップした。動画の最後では「母国の女性たちのために」「自由のために」「正義のために」と語った。米国やシリア、ギリシャなど、世界各地の路上で、女性たちが抗議の意思を示すため、髪を切り落としている。SNS上にも、「#mahsaamini」や「#mahsa」などをつけた投稿が相次ぎ、髪の毛やヒジャブを切って抗議の意思を示す女性たちの動画や画像が多く投稿されている。女優のジュリエット・ビノシュさんら50人以上のフランスの俳優やアーティストたちが、カメラの前で髪の毛を切った。

 日本国内ではイラン大使館に向けて9月28日、全国から集まった約300人のイラン人たちによるデモが行われ、10月1日、渋谷駅前にイラン人たちが全国から約300人集まり、抗議行動が行われ、10月9日には霞ヶ関の外務省前には在日イラン人らおよそ200人が集まり、日本政府にイランに駐在する大使の召還などを求めている。

 「我々は死ぬ覚悟でここへきている」「(この抗議行動により)もうイランには戻れない。帰ったら死刑になる」「ヒジャブ(スカーフ)だけが取り上げられているけど、女性に対する負担が他の国よりすごく大きい」「イスラム体制による数千もの犯罪のうちの1つにすぎない」「アミニさんの件は今回が初めてではない。私のいとこもヘジャブの件でいちゃもんをつけられて、顔をボコボコにされた。日本人にも関心を持ってほしい。日本だって、いつこういうことになるかわからないのだから」等、訴えたという。

 イランの抗議活動については、以下のサイトに詳しい。ペルシア語のサイトより、英語のサイトが日本語に翻訳すると読みやすいという。

peykeiran.com, The latest breaking Iran, world and sport news - ايران

Iranian leaders hold meeting as protests enter fourth week | Protests News | Al Jazeera

VOA News on Iran - Voice of America (VOA News)


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