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【解説】レイバーノーツ誌10月号は全米最大のホームセンター「ホーム・デポ」で独立労働組合が結成され、組合認証選挙が行われることを報道している。ホーム・デポ社は50万人を雇用する全米第5の大企業であり、日本でも店舗を展開している。アマゾン労働組合のクリス・スモールズ委員長に触発されて、独立労働組合を結成したことが注目される。(レイバーネット国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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全米最大のホームセンターで独立労働組合結成

 2022年9月21日 ジョナ・ファーマン (レイバーノーツ・スタッフ)

9月19日、フィラデルフィア市北東部のホーム・デポで働く276人の労働者が労働組合認証の申請を提出した。組合認証選挙に勝利すれば、従業員50万人を抱える全米第5位の民間雇用主であるホーム・デポで、初めてとなる。

この店で5年間働いているヴィンス・クイルズは、組合結成を求める活動により、わずか5週間で組合認証選挙を求める署名が100人以上集まったと言う。

記録的な収益

米国、カナダ、メキシコに2,317店舗を展開するホーム・デポ社は、このコロナ禍の中、自宅を改良しようとする住宅所有者の急増に後押しされて、記録的な利益を上げている。需要の高まりに伴い、同社は商品価格を引き上げた。価格の上昇は、低所得者層の購買を減少させたが、高所得者層はその損失を補って余りあるものだった。「2022年の第2四半期は、当社史上最高の四半期売上高と利益を達成した」と、テッド・デッカーCEOは最近発表している 一方、フィラデルフィアのホーム・デポで働く労働者は、子供と自分のための食料と家賃の支払いに悩み、請求書の支払いに日々追われている。この店の初任給は約14.5ドル。同じショッピングセンターで営業しているスーパーのウォルマートはもっと高い。このため、従業員はどんどん辞めていく。競争力のない賃金、膨大な顧客数、そしてほとんど研修を受けていないため、新しい従業員も長くは務まらない。

アマゾン労働組合から学ぶ

給排水部門の責任者でもあるクイルズは経営側に問題提起したが、経営側が自発的に改革を行うことはないと考えた。そこで、彼はいろいろと調べ始めた。

ニューヨーク州スタテン島で行われたアマゾンでの組合結成活動を見て、アマゾン労働組合委員長のクリス・スモールズが歩んできた道に魅了されたのだ。スモールズもまた、アマゾンで昇進し、懸念や不満を口にするようになり、気づけば経営陣から孤立していた。そして、組合結成に成功したスタテン島でのアマゾン配送センターの規模を見てクイルズは希望を抱いた。「従業員8000人以上のアマゾン配送センターでクリス・スモールズができたのなら、300人のうちの店でもできるはずだ」と思ったのだ。

そこで彼は、労働組合認証選挙を管轄している全国労働関係局NLRBに電話して、選挙のやり方について詳しく尋ねた。スモールズ委員長がインタビューでどのように組合を作ったかを語るのを見て、職場で仕事について仲間と会話をするようになった。「『ここで働いてどう?労働条件や報酬についてはどう思う?私は管理職ではないから安心して』と聞くと、みんな率直に気持ちや経験を話してくれました。」

わずか5週間で、仲間とともに100人以上の署名を集め、NLRBに提出した。

『組合認証を申請したので、今さら心配になったか』

1カ月ほど前、ホーム・デポの経営陣がこの組合結成の動きを把握した。「質問してくれれば答えます」と書いたチラシを店内に貼り出し、従業員アンケートを送って意向調査を始めた。従業員専用トイレの設置や、お客さん用の簡易トイレの設置も検討した。しかし、労働者が労働組合に求めている核心的な問題については語ろうとしない。

管理職が店に派遣されてきて、全従業員が強制的に参加させられる集会や一対一の会話を行い、労働組合がいかに役に立たないか、説得しようとした。店長は一晩で交代させられた。しかし、クイルズは、この動きが裏目に出ていると考えている。「今、面白いことに、管理職が店内を歩き回って人々に話しかけています。何かしているつもりなのですが、それが裏目に出ています。みんな、『組合認証を申請したので、今さら心配になったか』って感じです」。


Created by staff01. Last modified on 2022-09-30 20:43:08 Copyright: Default

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