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7・8銃撃事件 : 電波芸人たちの奇怪な言説〜本質を覆い隠すための煙幕か

牧子嘉丸


*「情報ライブ・ミヤネ屋」で発言する吉川美代子氏

 セルビアでの一発の銃声が世界を未曾有の大戦にまきこんで、歴史を変えた。その規模も歴史も違うが、奈良市大和西大寺駅前広場で放たれた銃弾は一国の元総理をつらぬいただけでなく、日本の政治に巣くう巨大宗教組織の暗部をも切り裂いた。

 容疑者の動機にこの宗教組織への恨みが挙げられたが、その標的がなぜ元首相なのかは不明であった。同時にこの教団が、かつての統一教会と実体は同じながらなぜ「世界平和統一家庭連合」という長たらしいものに変わったかも多くの人間は知らなかった。

 この名称変更は2015年、当時の下村文科相のときである。取材をうけて、認証は文化庁文化部長の判断で自身は「全く関わってない」と下村は答えている。

 しかし、7月24日東京新聞「本音のコラム」で前川喜平前事務次官はすかさず「そんなことはありえない。文化庁は事前に大臣の指示を仰ぎ、指示どおり処理したことを事後に報告したということだ」と反論。霊感商法や多額の献金で悪名高き統一教会の名称変更は前川さんが宗務課長だったとき以来受け付けていなかったという。

 同じく24日「しんぶん赤旗」は「旧統一教会の名称変更 下村文科相(当時)下の認証」と一面トップで伝えて、総務課で宮本徹議員が確認したとして、下村の虚偽を暴露している。

 自民党と統一教会の癒着の実態が明るみに出だすと、各テレビ局でコメンテーターをつとめる解説者の発言が一様に同じ傾向を帯びてきた。
「銃撃はアベガー(安倍政治に反対する人々)のせい」(橋下徹)
「宗教と政治の線引きは難しい」(社会学者・古市憲寿)
「犯人は幼稚でマザコン」(元裁判官・弁護士・八代英輝)
「メデイアは印象操作して安倍さんに責任があったかのように伝えている」(国際政治学者・三浦瑠麗)
「容疑者は歪んだ特権意識で元首相に責任転嫁」(精神科医・片岡珠美)

 極め付きは「情報ライブ・ミヤネ屋」での元TBSアナウンサー吉川美代子。共産党の追及チーム立ち上げ等に対して、「それまで何も言わないで、世間の注目が集まっているこの時に、急に言い出すってパフォーマンスっぽい」と発言。

 イデオロギー上での好き嫌いはあっても、この統一教会の悪徳商法や違法な献金集めをもっとも厳しく追及し、長年警鐘を鳴らしてきたのは共産党であることは周知の事実である。吉川はメデイアの世界に長く身を置きながら、何の勉強もせず、被害者によりそうこともせずに無知なまま過ごしてきたことを自ら暴露した。

 いずれにせよ、これらの識者(?)の発言は、とにかく容疑者の生育・性癖・家庭環境など個人の劣等感やら疎外感のゆえの犯行にしたいのである。彼らは死者に鞭打つなと脅したり、意図的に論点をずらしたり、本質を覆い隠すために煙幕をはっているのにすぎない。電波芸人としてテレビに使われるためには、絶対自民党と統一教会の癒着・腐敗に」ふれてはならないのである。そして、それを追及するものへはパフォーマンスなどと揶揄・冷笑を浴びせるのだ。明らかな真実を糊塗しようとして繰り出すこれら奇怪な言説には驚くと同時にあわれさえ催す。

 今回の惨劇は警備の手抜かりでも、まして銃撃テロの訓練などしていない日本のSPの責任でもなんでもない。韓国のカルト集団へのビデオメッセージによる賛美・礼賛をやめよ、それが多くの被害者を生み、家庭も人生も破壊してきたのだ、と弁護団の再三の中止要請を無視した結果なのである。「自ら撒いた種は自ら刈り取らねばならない」という聖句が思い浮かぶ。

 事件から二日後の参院選で立憲・森裕子,共産・大門実紀史議員などの貴重な議席を失ったが、なかでも長くこの問題を追及してきた有田芳生議員の落選は大きい。しかし、いまテレビで上記のうやむやなコメンテーターなどに対して、具体例を挙げてことごとく論破している。

 最後に、これから国葬にむけて様々キャンペーンと服喪の無言の強制が予想される。それにつれて、テレビでも様々な専門家を称する人間が真実から視聴者の目をそらそうと言説を弄するだろう。 しかし、私たちはこの元首相はそれに値する人物でないこと暴いて、まさに寸鉄を帯びずに訴えていこうではありませんか。


Created by staff01. Last modified on 2022-07-25 17:40:26 Copyright: Default

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