〔週刊 本の発見〕レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』 | |||||||
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毎木曜掲載・第231回(2021/11/25) 自然と触れ合う喜び『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著、新潮文庫 2021年刊、590円)評者:佐々木有美本書の著者、レイチェル・カーソン(写真)による警告の書『沈黙の春』(1962年)を読んだのは20年以上前になる。農薬が自然の営みを破壊していくさまに大きなショックを受けた。化学薬品は生物の体を通して濃縮し、ついには死をもたらす。自然を人間の都合の良いようにコントロールすることが結局は自然の破壊につながる。1960年代、この本が世界に与えた影響は、はかり知れない。 だが、いまも農薬は使用され続けている。日本では、大規模化による強力な農薬散布で、田んぼにはカエルもトンボもいなくなったと最近聞いた。「沈黙の春」は現実となっている。気候温暖化、そして今回のコロナ禍。人間の経済システム(資本主義)の暴力で地球全体が壊されようとしている。 本書『センス・オブ・ワンダー』は、『沈黙の春』に先立つ1950年代、雑誌に連載された著者のエッセーをまとめたものである。がんで1964年に56歳で亡くなった著者の死後、友人たちの手によって出版された。まさにレイチェル・カーソンの遺言ともいえる本だ。 2年ほど前から、わたしは家の近くの公園緑地を歩くのを日課にしている。ゆるやかな崖の斜面に雑木が枝を広げ、その中を土のままの遊歩道が幾本か伸びている。林に入れば、鳥の声が聞こえ、木の匂いがする。空気が外の世界とは明らかに違う。無数の名も知らぬ雑草の花が咲き、今はドングリが地面を埋めている。家のすぐ近くなのだが、足を踏み入れたことはなかった。身近にこれほど豊かな自然があったとは、驚きとともに感謝の気持ちが湧いた。『センス・オブ・ワンダー』が新潮文庫に新たに収録されたと新聞で目にしたとき、既読ではあったが心を動かされたのは、たぶんこの林の体験があったからだ。 著者の甥ロジャーとの自然体験をつづった本書は、子どもにとって自然に触れることがいかに大切かが書かれている。それは大人にとっても同じである。「「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要でない」という著者は、「美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものにふれたときの感激、思いやり、憐み、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります」と書いている。 五感を使って自然と触れ合う喜び。見ること、触ること、耳を澄ますこと、匂いをかぐことのすばらしさ。それが知識につながる通路になると。最近はやりのデジタル教育とは正反対の真実が語られている。「目にしながらほんとうには見ていないことも多いのです」と著者は言う。虫めがねをもって森の苔をのぞけば、そこは熱帯のジャングルに見えてくる。虫のオーケストラの、ひとつひとつの楽器を聞き分け、その弾き手のいる場所を突き止める楽しみ。 「自然がくりかえすリフレインー夜の次に朝がきて、冬が去れば春になるという確かさーのなかには、かぎりなくわたしたちをいやしてくれるなにかがあるのです」。四季の変化さえ滞りがちな異常気象が続く。カーソンの遺言自体、不可能になる日が迫っているのではないか。散歩する林がこれからも四季の営みの恵みをもたらしてくれるように、わたしは願う。 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・志水博子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・根岸恵子、黒鉄好、加藤直樹、ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2021-11-25 08:11:30 Copyright: Default |