アリの一言 : DHCヘイト・辛淑玉さん勝訴が示すもの | |||||||
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沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設反対運動をめぐり、DHCテレビジョン(山田晃社長)が制作した番組「ニュース女子」(2017年1月2日)で、「テロリスト」「黒幕」などと誹謗中傷された辛淑玉(シンスゴ)さん(在日コリアン3世、写真左)が、同社などを訴えていた裁判で、東京地裁(大嶋洋志裁判長、写真中)は1日、名誉棄損を認定し、550万円の支払いとウェブサイトへの謝罪文の掲載を命じました。 画期的な判決です。辛さんのたたかいが実りました。辛さんは番組で攻撃されただけでなく、その後もSNSでヘイトスピーチを浴びせられ、脅迫を受け、身の安全のためしばらく海外へ移らなければなりませんでした。命がけのたたかいでした。 1日の記者会見で辛さんは、「私を使って沖縄の平和運動を愚弄する、最も悪質なフェイクニュースでした」「反戦運動に声を上げること、沖縄に思いをはせること。そこを巧みに利用された」(2日付沖縄タイムス)と述べました。 在日コリアンに対する差別に乗じて人権活動家を悪者に仕立て上げ、同時に沖縄の反基地運動を攻撃する。ここには二重の差別・レイシズムがあります。その相乗効果を狙ったまさに最悪のフェイトです。 辛さんは会見で、声を詰まらせながら、こうも言いました。 「沖縄で起きていることが見て見ぬふりをされるのは、どんな司法判断が出ても変えられない。私たち一人一人が真摯に目を向けなければ」(同沖縄タイムス) これは「本土」の日本人へ向けた言葉です。この訴訟は、けっしてDHCを裁くだけのものではありません。沖縄、そして在日朝鮮人に対する差別に無関心な日本人、結果、差別に加担している日本人と日本のメディアに対する警告でもあります。そこにこの裁判の重要な意味があります。 辛さんは以前、ある雑誌にこう書いたことがあります。 「耳を澄ましてほしい。見えていないものを見てほしい。そして、一人でも泣いている人がいたら、その人のそばに寄り添ってほしい。それが、ジャーナリストの仕事ではないだろうか」 これが辛さんの一貫したジャーナリズム論であり、人間論であり、思想です。 DHCテレビジョンは「不当判決だ」と居直り、控訴するとしています。辛さんもまた、今回認定されなかった長谷川幸洋氏(番組司会)の名誉毀損や番組の配信停止を求めて控訴する意向です。 辛淑玉さんのたたかいは続きます。一緒にたたかいたいと思います。とりわけ、差別・ヘイトスピーチを名誉毀損ではなく差別そのものとして罰する差別禁止法の制定は急務です。 見て見ぬふりをすることは許されません。沖縄の構造的差別に対しても、在日コリアンに対する歴史的差別に対しても。問われているのは私たちです。 Created by staff01. Last modified on 2021-09-04 11:50:27 Copyright: Default |