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先輩たちの遺骨を冒涜するな!〜「ガマフヤー」具志堅代表が防衛省に迫る

全動画(3時間20分)

 遺骨の混じる沖縄南部土砂を辺野古基地建設のために使うことに、大きな反対の声が起きている。反対運動の中心は、沖縄戦遺骨収集ボランテア・ガマフヤー(ガマを掘る人)の具志堅隆松さんだ(写真)。いっぽう厚労省は現在、アジア・太平洋全域の約12000人の収集遺骨の鑑定を進めている。10月からは遺族にDNA鑑定を呼びかける予定で、遺骨をめぐる問題は正念場を迎えている。

 そんななか、9月14日「沖縄戦・太平洋地域遺骨問題」院内集会が衆院議員会館で開催された。たくさんのメディア、野党の国会議員が見守るなかで、戦没者遺族・政府担当者(厚労・外務・防衛)の意見交換会がオンラインを交えて行われた。主催は、「ガマフヤー」「戦没者遺骨を家族のもとへ連絡会」「平和を作り出す宗教者ネット」の共催。

 太平洋戦争が終わって76年も経つのに、100万人以上の日本軍関係者の遺骨は置き去りにされたままだ。そのうちの2%は朝鮮・韓国の軍人軍属である。出身地の特定をするには「DNA鑑定」だけでなく「安定同位体比検査」が必要である。この国際基準になっている「安定同位体比検査」の理解を深めるために、この日の院内集会では冒頭に防衛医科大学・染田英利氏のレクチャーがあった。主催者は「安定同位体比検査」など最新の技術を使うことで遺骨の出身地特定をすすめ、日本人だけでなく韓国の遺族への返還を厚労省に強く求めていく方針だ。

 戦没者遺族の発言もあった。サイパン周辺で海没戦死した潜水艦乗組員(当時29歳)の遺族、安間妙子さん(76歳)は海図を示して「この地図にあるとおり沈没場所はわかっている。私の命あるうちに亡くなった母のお墓に入れてあげたい。父の遺骨を引き上げてくれ」と訴えた。戦争を引き起こし兵士を動員し死に追いやった日本政府には、遺骨を家族や故郷にかえす責任がある。沈没船の引き上げには確かに膨大な費用がかかるだろう。しかし、それをすることが戦争責任を果たすことではないのか。76年経っても放置されている現状に、戦争の傷の深さをあらためて突きつけられた。

 院内集会のメインは政府担当者との意見交換会。ガマフヤーの具志堅隆松さんは、沖縄南部のガマから持ってきた遺骨が混じる土砂をテーブルに広げて、こう語った。「沖縄戦では沖縄全土が戦場になり遺骨だらけだ。それを埋め立てに使うなどとんでもない。辺野古の計画を撤回してほしい。きょう持ってきた土砂は大きな遺骨はとってあるが、米粒大の細かいものは残っている。あなたたちは大きな遺骨を除いたとして、米軍基地の埋め立て工事に使おうとしている。この遺骨は、旧日本軍兵士の遺骨でみなさん方の先輩・戦友です。その遺骨がまじった土砂を旧敵軍だった米国の基地のために使うんですか? それは戦友に対する裏切りじゃないですか!」。

 仁王立ちで訴える具志堅さんの迫力に、防衛省担当者はたじたじ。「しっかり検討したい」と弱々しく答えるだけだった。具志堅さんは、同席している厚労省職員にこう付け加えた。「厚労省は戦没者の遺骨を収集して家族に返す国家事業を取り組んでいる。かたや防衛省は遺骨の入った土砂を海に捨てようとしている。厚労省は防衛省に抗議すべきではないか」と。

 最後に、沖縄南部土砂の採取中止を求める署名、3万3千人分を国に提出した。主催者はこの日の院内集会を踏まえて、政府との協議を続けていきたいとしている。(M)


Created by staff01. Last modified on 2021-09-25 20:02:25 Copyright: Default

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