ラジオニュースリライター 実った1200日のたたかい | |||||||
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ラジオニュースリライター 実った1200日のたたかいー朝日放送ラジオ・スタッフユニオン争議が和解ー北 健一(ジャーナリスト) 7月12日、朝日放送ラジオ・スタッフユニオン争議が中央労働委員会で和解に至りました。当事者5人は、ラジオで放送するニュース原稿を仕上げる専門職(ラジオニュースのリライター)として、24時間体制の交代勤務に従事してきました。5人はDH社という派遣会社から朝日放送(以下、会社)に派遣されて働く形をとっていましたが、それは一種の偽装でした。DH社は会社が5人に作らせた「名ばかり派遣会社」であり、人選、労務管理、人事評価、賃金決定はことごとく会社が行っていたのです。そして、会社はホールディングス化と、ラジオ部門の分社化にともない、DH社との契約を切る形で5人を解雇、納得できない5人は組合を結成して立ち上がりました。 大阪府労委は、会社の団交拒否を断罪しただけでなく、「名ばかり派遣会社」を使いつつ実質は会社が5人を労務管理したカラクリを見破る画期的な救済命令を出しましたが、会社の頑なな姿勢は続きました。5人は、民放労連近畿地連、勝たせる会、大阪争議団、MICのなかまとともに運動を強め、会社を揺さぶっていきました。解雇から歳月がたち、生活や健康上の苦難もありました。それでも声を上げ続け、解決に漕ぎつけた5人に心から敬意とお祝いを言いたいと思います。 中労委での和解内容は、会社から組合(5人)への解決金支払いなど。公益委員は調印後、組合の要望を踏まえ「こうした紛争が起きないように」と再発防止を求めてくれました。ユニオン委員長として運動を引っ張ってきた吉岡雅史さんは「ここまで良くやったと自分でも思う。晴れやかな気持ちです」。書記長として縁の下の力持ちならぬ小さな巨人だった小林隆司さんは「府労委命令と和解は揺るぎない。働く者は誰でも団交ができる」と話しました。解決の功労者である民放労連近畿地連の藤井一也委員長は、吉岡さんたちが初めて参加した3年前の仙台での民放労連大会を振り返り、「吉岡さんはギリギリまで頑張ると言ったが、ギリギリ以上、振り切れるまで頑張った」と当事者を讃えました。中労委労働者委員の北口明代さんには、いつもきめ細かな対応で、解決への道筋をフォローしていただきました。新聞労連の伊藤さん、KBS京都の古住さん(もはや伝説の人)はじめ多くのみなさまとも出会えました。ごく一端を担った私にはもちろん、MICにとっても貴重な経験となり感謝しています。
この争議は、雇われずに働く者の無権利を打破することの難しさを痛感させるものになりました。会社の頑なさや法制度の限界だけでなく、組合内の合意形成にも苦労があったように思います。私は、昨年の勝たせる会総会で講演をさせていただいた時に争議の苦労を垣間見、その後思いがけずMIC事務局長になって、この争議支援にも少し関わるようになりました。近畿地連をはじめ大阪の方々の尽力で解決をめざすチームがだんだん強くなり、必ず解決できるというおもいが強まっていきました。 フリーランス、雇用によらない働き方の保護をめぐる議論が盛んです。心強いことですが、団交権の確立はその不可欠の論点のように思えます。ベルコ、ワットラインサービス、スーパーホテル……。「労組法上の労働者」にあたることは明らかと思えるケースでも、使用者側の団交拒否は後を絶ちません。その意味で、会社による団交拒否を断罪した府労委命令を経て和解が成立した意味は大きく、他の争議にも力になると思います。当事者のみなさま、支援者(特に大阪)のみなさま、たいへんおつかれさまでした。この解決を、明日につなげましょう。 Created by staff01. Last modified on 2021-07-13 15:21:43 Copyright: Default |