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【解説】5月にアラバマ州バーミンガムでのアマゾン社の配送センターでの労働組合組織化の敗北の評価をお伝えした。その記事の中に草の根労働組織アマゾニアンズ・ユナイテッドの活動への期待が語られていた。7月号は早速の成果を伝えているので翻訳した。（レイバーネット国際部　山崎精一） ＊毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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組織つぶしに対抗して夜勤手当増額を勝ち取ったアマゾン労働者たち

＊異動先のDIL3配送センターでの一日ストライキ行動

　1月、アマゾン社はシカゴのDCH1配送センターの労働者に壊滅的な打撃を加えた。まず、アマゾンはその職場を閉鎖し、労働者たちは市内の他の施設に異動しなければならなくなった。2つ目は、全国の配達センターで働く従業員が、週4回、午前1時20分から11時50分まで働く「メガサイクル」と呼ばれる新しい夜勤シフトを強制されたことだ。

　配送センターは荷物を仕分けして配送運転手に渡すという、配送の最終段階である。「メガサイクル」は、顧客の注文が夜遅くても来ても、1〜2日で届けられるよう、配送のスピードアップを目指している。

●非公式な労働組合

　DCH1配送センターはアマゾニアンズ・ユナイテッドで最初に結成されたシカゴ支部の拠点職場だった。アマゾニアンズ・ユナイテッドはアマゾンの倉庫で働く労働者の全国ネットワークであり、現在アメリカ全土に広がっており、他の国の同様のグループとも連携している。

　そのシカゴ支部は、2019年に活動を開始し、職場での飲料水の支給を要求した。メンバーはすぐに他のアマゾン施設の労働者と連絡を取り、安全衛生や有給休暇などを要求して組織化を開始した。その後2年間、DCH1の労働者は署名活動、職制への抗議行動、ストライキなどを続けた。

　アマゾニアンズ・ユナイテッドは、正式に認められた労働組合を結成することをすぐには考えておらず、代わりに、職場で組合のように活動できる持続的な労働者組織を作ることを目指している。

●異動先でのストライキ

　シカゴのアマゾニアンズ・ユナイテッドは配送センターの閉鎖とメガサイクルへの強制切り替えに直面し、以下の要求をまとめ賛同署名を急いで始めた。

・新しい夜勤シフトに対応できない労働者への配慮
・新しい夜勤従事者に時給2ドルの夜勤手当の上乗せ
・シカゴの地下鉄や多くのバスは夜間運行していないか、時間を短縮して運行しているため、通勤にタクシー利用を認める。
・20分間の休憩。会社側は15分間の休憩しか認めていない。

　アマゾニアンズ・ユナイテッドのオルグたちはシカゴ地域の他の施設でもこの要求を掲げて活動を始めた。DCH1の労働者が異動したシカゴ地域の配送センターの一つであるDIL3では、労働者が4月に1日だけの職場放棄を行った。当日、出勤予定の50人の労働者のほとんどがスト参加したり、早退したり、欠勤したりした。ストに参加した労働者のほとんどはDCH1での組織化には関わっていなかった。

　管理職、労務担当、警備員が、出勤した10人の労働者と一緒にスト参加者の穴を埋めることになった。「管理職の中には作業が初めての人もいた。カートを動かしたり、袋や小包を選んだり、配送の準備をする遅さや不器用さがそれを物語っている」と、オルグたちはレイバーノーツの取材に答えている。

　DIL3がサービスを提供している地域への一部の配送は、1日から2日遅れた。これは、アマゾンが顧客に送った配送が遅れるという通知で確認されている。

●夜勤手当での勝利

　5月の給料日に、全国のメガサイクルシフト勤務の労働者は、曜日によって夜勤の時給が1.5ドルから2ドル上昇した賃金を受け取った。シカゴの労働者たちは自分たちの闘いの成果だと確信している。

　わずかな数のアマゾン施設の労働者がアマゾンに働きかけて全国的な改善を勝ち取ったのは、今回が初めてではない。パンデミックの前の数ヶ月間、アマゾニアンズ・ユナイテッドの旗の下に組織された労働者たちは、シカゴ、ニューヨーク、サクラメントで署名活動やストライキを行って、有給休暇を要求した。サクラメントの労働者は2019年12月23日、4,015人の署名を集めた要求書を届けた後、シフトの途中で職場放棄した。アマゾンは譲歩し、労働者は有給休暇を取れるようになった。

　元の職場から分散されてしまっても、シカゴのアマゾニアンズ・ユナイテッドの活動家たちは、「仲間と団結し、最も切実な課題を取り上げ、その実現のために行動する」ことをこれまでどおり続けるつもりだ。