安倍政権による日常的な報道圧力・メディア攻撃に、新型コロナウイルスの危険が相乗し、「報道の自由」が重大な危機に瀕しています。
新聞労連や民放労連などでつくる「日本マスコミ文化情報労組会議」(MIC)は4月21日、コロナ禍における「報道の自由」に関するアンケート調査の結果を公表しました(調査対象は新聞社や放送局の社員やフリーランスなど報道関係者、有効回答214人。アンケート実施時期は2月下旬から。調査方法はオンラインアンケート)。主な結果は次の通りです(MICのHPより)。
▶現在の報道現場で「報道の自由」が守られていると思うか。
守られている …15・9%
守られていない …57・9%
どちらともいえない…26・2%
▶現在の報道現場で「報道の自由」を阻害している要因は?(複数選択可)
1、報道機関幹部の姿勢 …82・7%
2、政権の姿勢 …68・7%
3、報道機関中間管理職の姿勢…60・3%
4、不安定な雇用形態 …21・0%
▶現在の報道現場で感じている「危機」について(自由記述、以下ピックアップ)。
・記者勉強会で政府側から「医療崩壊と書かないでほしい」という要請が行われている。「感染防止」を理由に対面取材も難しくなっており、当局の発信に報道が流されていく恐れがある。
・政府や自治体の長がいうことを検証もせずに垂れ流してしまっている。現場の声よりも政治家の声を優先して伝えてしまっていることに危機感を持っている。お上のお墨付きがないと、今がどういう状態なのか、判断できない。
・コロナとの関連で会見がかなり制約され、入ることさえできなくなった者もある。不都合な質問を受けて、できるだけ答えを出したくないという意図も感じる。
・テレワーク推進後、現場に入る記者が減り発表原稿が増えた。コロナとバッシングの怖さから現場を見ていなくてもやむを得ない雰囲気がある。
・外出自粛が求められているなか、会社が明確な取材ルールを示していない。現場の判断に丸投げ。
・権力側がコロナ以外の重要事案をケムに巻いていないか。そちらを追及しようとすれば、世論からも「今なのか」と批判にもさらされる。その批判が権力の暴走を許しかねないのに、目先を追うことに精一杯になっている。
・他国では報道されているコロナ治療の最前線の医療現場さえ、日本では報道されていないことに危機感を覚える。
・社が社員に渡せるマスクをほとんど用意できていない。記者の安全は社が考えるのではなく社員が個々人でなんとかやっている状態。情けない。
こうしたアンケート結果を受け、MICは、「感染防止を理由に対面取材が難しくなったり取材制限が始まったりしているが、大本営発表の過ちを繰り返してはならない。批判すべきは批判することが大切だ」(4月24日付共同配信)とコメントしています。
まさに危機的状況です。自らの感染の恐怖ともたたかいながら、安倍政権による取材制限・圧力にさらされ、会社幹部の無知・無能の下、現場記者の悲痛な声が響いています(「報道の自由」を阻害している要因として「政権の姿勢」よりも「幹部の姿勢」をあげている記者が多数なのは驚くべき実態です)。
このアンケートは安倍政権が緊急事態宣言を発する前のもので、その後、事態はさらに深刻になっていると推測されます。
「報道の自由」は言うまでもなく、「市民の知る権利」と表裏一体です。「報道の自由」を守るたたかいの最前線にいる現場の記者たちには頑張ってほしい。その“たたかう記者たち”を応援するのが私たちの責任です。