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子どもをテストで追いつめるな!〜大阪府小学生新学力テスト「陳情書」が採択される


*「陳情書」が起立賛成多数で可決採択された

 昨日の大阪市会教育こども委員会で大阪府小学生新学力テスト「すくすくテスト」について慎重な判断を求める陳情書が採択されました。私たちは、この採択を受け、近々のうちに大阪市教育委員会へ要望書(質問書)を出す予定です。

 大阪維新の会による教育施策は、格差を前提とし、子どもにとって本来必要な広範な学力を、テストの点数のみによる「学力」に置き換え、競争により、子どものみならず学校や教員、そして地域をも分断するものといえます。

 大阪府中学生統一テストであるチャレンジテスト制度はその最たるものですが、今秋、大阪府教育委員会は、小学生版チャレンジテストともいえる「すくすくテスト」なるものの実施要領を大阪府内の市町村教育委員会に送りつけ、その協力を迫りました。「学力向上」を看板に掲げ、その狙いは子どもの小学生から中学生への経年的データ化、そしてそのデータを元にした学校・教員・地域の評価査定にあるものと思われます。

 今般、「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」は大阪市会教育こども委員会に、「陳情書」(下記)を提出しましたが、昨日、維新以外の自民・公明・共産3会派の採択により、賛成多数で可決採択されました。

 しかし、これからが本番ともいえます。私たちは、すくすくテスト実施反対ではなく、慎重な判断を求める陳情書という、いわば採択による問題可視化を狙ったゆるめのものを出したわけですから。今後は陳情書採択を受け、すくすくテストの問題性を大いに共有していきたいと考えています。

 今後、大阪市教育委員会へ、すくすくテストの問題性がより明確になるような質問書を出す予定です。引き続き支援、連帯をよろしくお願いします。(志水博子)

「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」ブログ

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令和3年度大阪府新学力テスト(小学生すくすくテスト)実施について十分に論議し慎重な判断を求める陳情書

令和2 年11月 24 日
大阪市会議長 ホンダリエ 様

子どもをテストで追いつめるな!市民の会
濱 元 伸 彦

〔陳情趣旨〕

大阪府教育委員会は、今秋、各市町村教育委員会になかば一方的に「令和3年度大阪府新学力テスト(小学生すくすくテスト)実施要領」を通知しました。
それを受け、大阪市では第13回教育委員会会議において、協議題として同テストの実施に関する論議がなされましたが、下記のように、委員からは異論が噴出しました。

【傍聴者が聞いた教育委員の意見】
・児童、教員の負担が大きすぎる。
・府教委ではどんな論議がなされたのか。
・実施は各市の意向によると言いつつ、参加しなければ府の目標は達成できないし、参加を前提にしているのではないか。
・大阪市は市の振興計画に基づいて経年テストをやっている。20分という形だけのテストならやらん方が良いし、形だけなど言語道断。
・府教委は各市教委のように現場を分かっているのか。
・今でもテストが多い。市の経年テストですくすくの目的は既に十分網羅している。
・新たにすくすくを行うメリットがあるならはっきり示せ。

このように異論が多くあったことにより、この第13回教育委員会会議では、結局、「小学生すくすくテスト」の実施は決まらなかったといいます。これほど、教育委員から疑義が出ることはきわめて異例のことです。しかも、その後、10月27日、11月10日の教育委員会会議でも、「小学生すくすくテスト」の実施は、議案としても協議題としても提出されていません。このままでは、教育委員会会議での再論議がないままに、大阪府教育委員会の実施要領の通知どおりに大阪市で実施される懸念があります。

すでに、大阪市の小学校では、毎年、小学3年生から6年生まで「大阪市小学校学力経年調査」(以下、「経年テスト」)を実施しています。小学3年生から4教科(国・算・社・理)、5年生からは、それに加えて英語も加わります。このように小学3年から4教科で独自テストを実施している自治体はほとんどありません。こうした学力テストの実施自体、子どもたちに、低学年の段階から強いストレスと緊張をもたらすものです。加えて、「経年テスト」実施前には、市教委から大量の「振り返りプリント」が配付され、テスト対策としてそれを実施することが学校現場に求められています。その結果、テスト教科の普段の授業だけでなく、総合的な学習や図画工作などテスト教科以外の授業がしばしばテスト対策に充てられる状況があります。そうしたテスト対策は、学校教育を、子どもたちの多様な興味や関心に応える場から、テスト対策中心の教育に変えるものです。そこへ「小学生すくすくテスト」という新たなテストを追加するとなると、学校はテストの影響がより強まり、子どもにとって息苦しいものになるでしょう。

加えて、ご存知のように、現在子どもたちも教員もさらなる新型コロナウイルス感染の危険と不安の中にいます。11月22日大阪府では新たな感染者が490人確認され、過去最多を更新しました。また、これは全国でも最多であり、400人を超えるのは2日連続です。

コロナ禍が社会および学校を襲い、長期休校から再開した学校には、授業の前進を急がされ、全くゆとりのない状況に陥っています。このようにコロナ感染状況が長期に渡るにつれ、教員もそうですが、子どもも心理的な負担が大きく、不登校の増加が懸念されています。さらに、どの学校も、新型コロナウィルスの感染拡大により、授業がいつ停止するかわからない状況にあります。11月11日に開催された第28回大阪府新型コロナウィルス対策本部会議では、健康医療部長より、「…施設あるいは学校でのクラスターが連続して起こっている。…ほぼ毎日クラスターの発表を行なっているという状況」が報告されています。

このような状況の中で、「小学生すくすくテスト」の実施を早計に決定し実施することは、何のメリットもないばかりか、子どもおよび教員への負担をさらに重くし、市民の理解を得られるものではないと考えられます。

〔陳情項目〕
令和3年度大阪府新学力テスト(小学生すくすくテスト)実施については、大阪市立小学校の現在の状況、子どもたちを取り巻くコロナ感染をはじめとする社会状況などを鑑み、それが、学校における子どもの安心や健やかな成長に役立つものかどうか十分に論議し、慎重に判断されることを求めます。


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