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司法よ、そこに憲法と人権はあるのか!〜大阪「君が代」不起立「梅原再任用拒否事件」で不当判決

志水博子(グループZAZA)

 11月26日、秋天の中、原告をはじめ支援者は大阪地裁大法廷202に集まった。今回の裁判は、思想・良心の自由や教育の自由を問う側面よりも、労働裁判として雇用と年金の関係から裁量権の逸脱を問うものであった。そしてそれ以上に、大阪府教育委員会(以下、府教委)が「君が代」不起立者に提出を迫った、思想転向を迫る「意向確認書」が問題であった。

 教員以外の方にはわかりにくいかもしれないが、大阪府立高校の教員はすべて、府教委の指導のもとに、人権教育の一環として、就職面接等において「愛読書は何か?」「尊敬する人物は誰か?」等も含め思想をチェックし、それにより差別に繋がる違反質問には答えなくてよいと指導している。

 原告梅原聡さんは、意向確認を迫る校長に、「生徒に指導している以上、自分が違反質問にあたる『意向確認』に答えることはできない」と応じた。府教委はそれにより「意向確認」ができなかったと再任用を拒否したのだ。明らかな思想差別である。府教委が思想差別によって再任用を拒否したわけだから、これが認められるわけはない。

 よって、原告をはじめ支援者も、いくらなんでも今回の裁判は勝訴であろうという思いがあった。ところが、その思いは見事に裏切られた。大法廷でマスメディアによるビデオ撮影に応えた後、中山誠一裁判長は、“原告の訴えを棄却する”と聞き取れないほどの小さな声で判決主文を読み上げた後、1分もしないうちにそそくさと退廷してしまったのである。傍聴席からは非難の声があがったが、そんなこともお構いなしの体であった。

 「君が代」裁判ー不当判決! 私たちは何度司法に裏切られたことか!

 報告集会においては、判決文について会場から多々問題点の指摘があった。例えば、意向確認について、「再任用の可否は基本的に任命権者の裁量に委ねられており、任命権者が非違行為の再発の有無を確認するための資料を集めること自体は必ずしも否定されるものではない。」ーーなんと、ここまで裁量権を委ねればどんな資料でも許されるということになるではないか。裁判官よ!あなた方は憲法と人権をどのように学んだのか?

 ただ、原告の表情は決して暗くない。むしろ明るいと言ってもよい。間違ったことをしているわけではない、間違っているのは裁判所の方だという確信に基づくものだろう。私たちグループZAZAは、当初から「君が代」が相手ゆえ、易しい闘いでないことは百も承知している。

 なぜ、「君が代」に疑義を持つことが、これほどまでに学校から排斥されることになるのか?そのことをこれからも多くの方々に訴え続けたいと思っている。


Created by staff01. Last modified on 2020-11-26 23:10:02 Copyright: Default

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